ドコモのCMにはブーイングも

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   NTTドコモがテレビで盛んに流しているCM、「そろそろ反撃していいですか?」の評判が悪い。評論家、大前研一さんは自身のブログで、経営者の視点から「私がドコモの社長なら、今回の広告を作った人を解雇する」とまで言い切っている。毎日新聞もユーザーの視点から、「端末の機能やサービスの説明が消費者に伝わっていない」と批判的に書いている。個人のブログを検索しても評判は最悪なのだ。

「今回の広告を作った人を解雇せよ」

   番号ポータビリティ実施後に「一人負け」となったドコモが、巻き返しを図るため「ドコモ2・0」をキャッチフレーズに作られたのがこのCMだ。ライバルの「au」のCMに出ていた俳優を含む人気のタレント8人を起用し、CMの本数は前年の3倍という力の入れようなのだ。「ドコモ2・0」のケータイ「904i」シリーズは07年5月25日に発売されたが、CMの評判はというと、かんばしいとはとてもいえず、毎日新聞は2007年6月1日付でドコモのCMに対する疑問を投げかけた。

「若者受けする『新しさ』『カッコ良さ』を前面に押し出す戦略だが、携帯利用者からは『イメージ先行で分かりにくい』という声も漏れる」

   こうしたCMが生まれた背景については、「ドコモのイメージを壊したい」との気持ちが「攻撃的」なものになってしまったため、本来のイメージを消費者に伝えられなかった、と分析している。

   大前さんにいたってはさらに厳しい。ブログ「ニュースの視点」07年5月18日付けで、こんなことを書いている。

「ドコモの経営陣は、このタイミングで経営者としては絶対にやってはいけないマーケティング上の重大なミスを犯しました」

   それが、「そろそろ反撃してもいいですか?」のキャッチコピー。業界他社に反発し打ち負かすことだけを考えるのを、経営学では、「コンペティティブ・リタリエーション(競合反発)」と呼ぶらしいが、それに該当するのだという。この挑戦的なキャッチコピーで、消費者は「値下げするのかな?」と思い、結果、消費者の買い控えを引き起こす。

「つまり、大々的な広告は打ったが、買う人はいなかったという最悪の結果につながる危険性が高いと私は思います」

   それはドコモだけでなく、業界全体に影響が出るとし、

   「もし私がドコモの社長なら、今回の広告を作った人を解雇するでしょう」

と噛み付いている。

「皆様が、お感じいただいた通りに取って良い」

   ブログではどんな反応なのか。07年6月1日に書かれたものを検索すると、やはり批判的な記事が並んでいた。

「『そろそろ反撃してもいいですか?』って?勝手にしてください(笑)」
「新機種にどんな機能がついてるか全くわからない」
「あのCMはウザい!金かけりゃいいって感じで印象が悪い」
「でも、あのCMにはちょっと夢中ですわ〜。光一くんも出て欲しかったくらい。まぁ、ドコモに変えようとは思わないけどね〜〜」
「CM制作者を呼んで問い詰めたい。CMという作品の向こうに全然顧客を見ていないぞと」

   批判をしているブログに共通しているのは、「ドコモは何様?」。巨額の宣伝費を使って、新製品をアピールしているが、上から目線の自己満足感が漂い、けたたましく、消費者を無視しているようで鼻につく、という感じだ。
   一連の批判にドコモはどう受け止めているのだろうか。ドコモ広報はJ-CASTニュースの取材に対し、

「あのCMは数多いプロモーションの一つ。仮にその一つにブーイングがあったとしても、総合的にはどうか、ということもあります。このCMに限ったことでなく、(批判する)皆様が、お感じいただいた通りに取っていただいて良いと思います」

と話す。「一人負け」でも依然トップシェアの「王者」は、余裕だった。