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【よこ顔】東京下町の魅力を描く=札幌の椎名次郎さん(下)

2007年05月31日08時26分 / 提供:PJ

pj
【よこ顔】東京下町の魅力を描く=札幌の椎名次郎さん(下)
東京下町は「界隈性」があるといい、スケッチブックを見せてくれた。(撮影:穂高健一、23日) 写真一覧(2件)
(中)からのつづき。椎名さんに、東京の古い町を描きはじめた動機について聞いてみた。プロとして独立する前から、川本三郎・エッセイや永井荷風の作品を読み、東京への憧れがあったという。「勤め人の時代は長逗留のチャンスがありませんでした。そのうえ、当時はいまの技量で、お金と時間をかけて東京に行っても、良いスケッチが描けるとは思えませんでした。つまり、町に圧倒されて太刀打ちできないと思ったのです」と話す。腕を磨いてから、東京に行こうと決めたのだ。
 
 椎名さんは会社勤めの頃から、絵の仕事が入った。現在のペンネームを使う。長年にわたって札幌、小樽、室蘭などでスケッチをつづけてきた。それが東京下町を描くウォーミングアップになったという。

 03年には勤め先を辞めてフリーになった。椎名さんは、『米の飯とお天道様はついて回る』という信条を持ち、厳しいプロの道に入ったのだ。それを機に東京下町に足を運んだ。最初の年は4日間滞在して10点ほど描いたという。

 風景画でも建物一棟だけだと、プラモデル的な絵になってしまう。ビルのなかに埋もれた建物や、電車が遠くに走っているとか、生活感や「世界」を感じさせる絵とかを描きつづけたいという。

 スケッチに対する論評で、『なつかしい』という評価は好きではないという。古い建物の場合、スクラップ・アンド・ビルドが早い。まさに一期一会だという。「次に来たとき、もうこの街の風景、この建物に会えないかもしれない。『なつかしい』ではなく、『はかない』とか『切ない』という情感を描き留めたい」と椎名さんは話す。

 スケッチはまさにタイムレースだという。「筆の遅さを感じます。もうすこし速く量を描きたい」という。

 水彩画は札幌市内の個展に出したり、絵はがきやグッズにしたり、絵本の挿絵などに使用したりする。「私は作品というよりも、売るための商品と考えています。芸術家や画家でなく、『絵描き』に徹しています。肩書は画業です」と、職人気質な姿勢である。

 「一般的な水彩画の個展では、額に入れた絵をギャラリーの壁に展示して、客は一周して帰るだけです。印象のうすい絵は一週間も経てば、忘れられてしまいます」と話す。

 椎名さんの個展では、絵を古いマッチ箱の中に折りたたんでみたり、蛇腹方式の絵本を作ってみたり、なにかと仕掛けや工夫がされているという。「展示の面から見ても、私がやっていることは駄菓子屋です」とつけ加えた。

 いつか東京でも個展を開きたい。「でも画廊代が札幌に比べると高いですからね」と笑う。「東京下町は、界隈性が豊かです。今後もずっとつづけていきます」と椎名次郎さんは語ってくれた。【了】

■関連情報
椎名次郎さんHP

記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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