史上最高勝点「97」やリーグ新記録の17連勝など記録尽くめで、インテルが06-07シーズンのセリエAを制した。
 昨季発覚したスキャンダルの影響を受けたラツィオ、ミラン、フィオレンティーナといった強豪チームにとっては、勝点剥奪のペナルティが苦しい重荷となったシーズンだった。だが、これら3チームはカルチョ界において資金面と政治面で有数の力を有する「ビッグ・チーム」に他ならず、後半戦が進むに従い復調を遂げるポテンシャルを持っていた。今回は同じ勝点剥奪というハンディを抱えながら、5季連続となる残留を見事成し遂げたレッジーナにスポットライトを当ててみたい。

 シーズン途中で軽減処分が下ったものの勝点剥奪「マイナス11」は、資金力・組織力に乏しくスター選手獲得など夢にも望めないレッジーナに重くのしかかった。02-03年シーズンから続けてきたA残留は絶望的だった。だが、中村俊輔(現セルティック)の在籍3年目から就任していたマッツァーリ監督は、連動性の高い中盤と驚異的な決定力を持つFWコンビを今季新たに構築し、地道に勝点を積み重ねていった。フィニッシャーとしてリーグ有数の破壊力を見せたビアンキとアモルーゾの2トップは合わせて35ゴールをたたき出した(レッジーナの総得点は52でリーグ8位)。

 大事を成すには、目先の大勝に捉われるより地味でも勝点1の積み重ねしか方策はない。それには何より、貧弱な戦力によって劣勢に立たされる試合が多くとも、毅然と立ち向かう強い精神力が必要だった。志溢れる指揮官とそれに呼応した選手たち。国内経済を牛耳る北部イタリアへの反骨精神に満ちるイタリア半島の爪先の小さな町、地元レッジョ・カラブリアの人びとは「奇跡」を信じ、チームを決して見放すことはなかった。【続く】

弓削高志