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【書評】『プロ脳のつくり方』塩野誠著、ダイヤモンド社

【書評】『プロ脳のつくり方』塩野誠著、ダイヤモンド社
塩野誠著『プロ脳のつくり方』、ダイヤモンド社、1500円(税別)
【PJ 2007年05月27日】− 「なんで、パレスチナからなんだ???」。先日、友人からパレスチナ発のメールが届いた。ライブドアを退社した後、世界中を奥さんと歩き回っているそうだ。「ジム・ロジャースばりだな」なんて考えながら、うらやましく思った。彼とは仕事の話をしたことがない。話すことはもっぱら「メディア論」。わたしはこれまで、著者の塩野さんからかけがえのない示唆を受けてきた。

 塩野さんは金融・経営のプロフェッショナルだ。見た目から鋭い。ライブドア事件についてちっとだけ彼に聞いたことがあった。わたしの見立てを検証するためだった。理路整然とした説明を受け、その話はすぐに終わった。その後、なぜかメディアの話に移った。すると塩野さんは相好を崩し、持論を展開。子どものような表情になっていた。そして、二人で話に夢中になった。

 この時、塩野さんの思考回路のすごさを知った。話に軸がある。ことばの定義をしっかり捉えている。分かることと、分からないことを分けて話す。だから説得力がある。これはなかなかできることではない。この文章にしてもそうだが、わたしなど、思いついたことを思うがままに話したり、書いたりするだけだ。

 わたしはこれまで否応がなしに経営書を嫌と言うほど読んできた。簡単なことを回りくどく解説していたり、ただの一事例を無理矢理に普遍化させたり、先人を褒め称えたりと、あまり役だった記憶がない。経営学の分野で、本を読まなければ身に付かないものはファイナンスとアカウンティングの分野だけだ、とわたしは考えている。あとは経験談を「理論化」しただけ。

 もっといえば、経営の神様と崇められているピーター・ドラッカーにしても哲学・社会学の言説からのコピーが多い。ちまたで流行した「ロジカル・シンキング」など論理学のほんのさわりの部分だ。マーケティング学は語呂合わせ学なのかと疑ってしまう。これらを駆使する経営コンサルタントなどはパワーポイントを使った漫画家のような存在にすぎない。

 これからコンサルタントを目指す読者にはこれまでの経営本を熟読することはお勧めしない。むしろ、一秒でも早く現場に行き、知力・体力の続く限りそこにしがみついて、くまなく観察するほうが結果が出る。その前に、塩野さんの著書「プロ脳の作り方」に目を通しておくと効率的に仕事ができそうだ。

 この本は法学的思考と批判的視座を基本に据え、経営学のエッセンスを過不足無く解説したものだ。2時間もあれば十分。これを読めばMBAの学校に行く必要などない。

 はてさて、塩野さんはいまごろ、地球のどこにいるのだろう。日本に帰ってきたら、またメディアの経営分析の話をしたいものだ。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
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