「東洋経済」によると、幼稚園教諭の時給が上がるのだそうだ

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   幼稚園教諭の時給が将来上がるのだという。2004年の時給が「1564円」。それが「2246円」になる。2007年5月19日付の週刊東洋経済が「あなたの給料は激変する!『未来時給』」という特集のなかで報じた。先進国では見られるように、幼児教育が拡大し、それに伴って上昇する可能性があるとし予測している。

時給がボーダーレスになる

   幼稚園教諭は、先進国と比べると英国、ノルウエー、米国、ドイツ、カナダに次ぐ第6位の水準にある。

   「未来時給」とは、将来仕事が同じであれば国が違っても時給は同じ水準に収斂するという仮説のもと、週刊東洋経済が米・英などの先進国の職業別時給を参考に弾き出した独自の指標だ。今後、グローバル化が進み、時給がボーダーレスになると、企業は就労者に仕事をさせるのに「どの国の、どの人がよいのか」を世界中からさがすことになると指摘している。同誌は中国・大連にあるコールセンター業務を例に、日本人と中国人が同レベルの賃金水準で働いていると伝えている。すでに時給のボーダーレスは始まっている。

少子化なのに、幼稚園教諭の時給は上昇?

   「幼稚園教諭」といえば、「キャビンアテンダント」とともに人気の職業だ。派遣や契約など雇用形態が多様化して、賃金が値崩れを起こした「キャビンアテンダント」だが、それでも04年時点の時給は「4018円」で、欧米と比べても「ダントツ1位」の水準にある。それが未来時給は「2220円」まで大幅ダウンするという。

   一方、幼稚園教諭の04年の時給は「1564円」。それが未来時給だと「2246円」に上昇する。いまや小学校受験がブームとなり、「受験に勝たせる」幼稚園教諭のニーズが高いのが理由の一つのようだ。

   東京私立学校教職員組合連合(東京私教連)によると、04年の1564円の水準も「ちょっと、高めですね」と苦笑する。

   「幼稚園の先生は安いんですよ。時給1500円だと8時間労働で月24万円。でも、勤続10年でも貰えませんね」(東京私教連の役員)

   幼稚園教諭の初任給は、短大・専門学校卒で15万〜16万円。それが勤続10年で20万円。20年勤めて、ようやく25万円程度になる。いったいどうやって暮らしていくのか、という水準だ。

   幼稚園教諭は学校の先生の中でも、勤務する学校による賃金格差が大きいともいう。一般的に、個人が経営する町の小さな幼稚園よりも、いわゆる有名私立幼稚園のほうが賃金水準は高く、なかでも幼稚園から小・中・高校までの、いわゆる一貫教育校になると、幼稚園教諭でも高校教諭並みの賃金を貰っているという。

   その役員氏はこう説明する。「低賃金からなのか、幼稚園の先生は26、27歳で辞めていってしまいます。それでも人気がある職業ですので、募集すれば苦労しなくても集まる。だから経営者も賃金を上げようとしないんです」

   人気があだになるという、なんとも皮肉な話だが、「未来時給」についてはどうか。J-CASTニュース全国私立学校教職員組合連合の役員にたずねると、「最近は民間の幼稚園に預かり保育を委託する自治体が増えています。それを受け入れている幼稚園には助成金を充てたりしていていますから、その分手当てが厚くなっています」と、仕事も増えるが賃金もアップする傾向にはある。「未来時給」を手にするためには、まず幼稚園教諭と保育士の両方の資格を取得し、しかも有名私立幼稚園に勤めることが「条件」のようだ。