「八百長問題」はどう決着するのか?

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   「週刊現代」が白鵬・朝青龍戦で「八百長」があったと報じた問題で、日本相撲協会は07年5月25日、「今のところ提訴はしない」方針を明らかにした。「週刊現代」の一連の記事に対して、これまで3度の提訴を行ってきた同協会だけに、「不透明な」対応であることは間違いない。今回は決定的証拠ともいえる「八百長テープ」があったことが影響していると思われるが、「提訴せず」以外の一切の事実関係について「コメントできない」としている。

「コメントできない」「弁護士に聞け」繰り返す

   07年6月2日号(首都圏での発売は5月21日)の「週刊現代」で、前年の名古屋場所での白鵬と朝青龍の間で「八百長」が行われていたという証言テープを入手したと報じた。宮城野親方(白鵬の親方)の愛人女性と親方との会話を録音したもので、その中で「八百長」の内容や詳細な取引額が明かされている。女性は親方と決別したいとしてテープを同誌に提供した。

   21日に「週刊現代」が報じた内容を受けて、同日、相撲協会の北の湖理事長は両国国技館で会見を行ったが、「専門家と話をしていないので、コメントを控えさせてもらう」(22日付東京新聞)としただけで、記事に対する反論は全く行わなかった。
   さらに翌、22日には相撲協会顧問の伊佐次啓二弁護士が、北の湖協会理事長とともに、渦中の宮城野親方を事情聴取した。弁護士は、

「聴取の中身はノーコメント」(23日付朝日新聞)
「 (係争中の民事訴訟の)証言の中で(テープが)関連するようになったら対応を考える」(同、読売新聞)

とし、「提訴せず(同、日刊スポーツ)」「静観する考え(同、毎日新聞)」だと、各紙が報じた。

   これらについて、J-CASTニュースが協会広報に話を聞くと、提訴を行わないという事実を認めただけで、「八百長」テープ存在の有無や真偽については、「裁判中なので何も言えない」「弁護士に聞いてくれ」を繰り返すばかりだった。

「週刊現代」側は「いつでもテープ出せる」

   「提訴せず」という不思議な対応を、「週刊現代」側はどう受け止めているのか。一連の「八百長問題」を執筆しているノンフィクションライターの武田頼政氏に聞いた。

   同氏によるとこのテープ(ICレコーダーで録音された)は、間違いなく宮城野親方とその愛人女性が話したもので、音声もクリア。武田氏は、

「(テープは)いつでも出せますよ。ただ、内容が刺激的すぎて、他のメディアが扱えないのではないか」

と話した。さらに「八百長テープ」を掲載した6月2日号に続き次号でも、

「違うファクトを出せる」

とし、相撲協会と徹底抗戦を続けることを明らかにした。