2002のWCG日本予選の審判員。一方のチームの申告を受け不正行為を審議している
 今年3月、韓国で10歳のプロゲーマーが誕生した。その選手が5月17日のゲーム大会で優勝し、賞金2000万ウォン(約200万円)を手にした。プロゲーマーの本場韓国でも、さすがに10歳の公認選手の誕生とその優勝は大きなトピックとなったようで、ゲーム開始前のインタビューは10歳の選手に時間を大きく割いていた。

 韓国は政府公認のプロゲーマー協会もあるほどオンラインゲームが盛んで、優秀なゲームプレイヤーがプロゲーマーとして活躍している。プロゲーマーになればスポンサーから活動資金を提供してもらえるし、協会主催の公式戦にも参加できる。野球やサッカーのように、ゲームプレイだけで生活できるプロ選手もいるのだ。Eスポーツが発展し、興行的にも成功すれば、選手のプロ化は必然的に進むだろう。例えば、アマチュアスポーツであるレスリングがオリンピックのような国際交流や教育的な分野でポジションを獲得しつつ、一方で興行的に特化したプロレスリングが派生したことと同じと言える。

 しかし、プロゲーマーはEスポーツが生み出す職業の一部にすぎない。モータースポーツがドライバーだけでは成立しないように、ゲームプレイヤーだけではEスポーツは成立しない。では、Eスポーツを成立させるためにはどんな職業があるのだろうか。Eスポーツ大会で活躍する「選手以外のプレイヤー」を捜してみよう。

 観客としてEスポーツ大会に参加する場合にお世話になる人の筆頭は、Eスポーツアナウンサーだ。ゲームの内容を解りやすく説明し、いま画面の中で何が行われているかをプレゼンテーションする仕事である。韓国の人気ゲームアナウンサーは、2年前に情報収集をしたときは年収1億ウォンだった。今はもっと高収入ではないだろうか。

 大きな大会となれば、ゲームアナウンサーの他にゲーム解説者が登場する。日本の野球中継だと実況担当はアナウンスの専門家で、解説担当は選手出身者というペアだが、ゲームでは、実況担当者もゲームの内容を熟知していないと状況が把握できないため、実況担当者と解説担当者の分担が不明確になりがちのようだ。ただし、韓国のテレビをちょっと見た感じでは、解説者はゲーム内容よりも選手の気持ちを代弁するのが多く見受けられた。ちなみに予算が少なければ実況解説はひとりで担当するので、かなり忙しく喋りっぱなしである。

 実況アナウンサーの周囲を見ると映像技術者がいる。カメラマン、スイッチャー(画面の表示の切り替えを行う係)、テロップ制作などの仕事をする人たちだ。

 ゲームの実況中継では、ゲーム内カメラマンがカメラワークのメイン担当となる。ゲームの名勝負を追い続けるゲームカメラマンは忙しい。格闘ゲームなら画面を映し続ければいいが、一人称視点のゲームだと、どのプレイヤーの視点にするかをゲームの状況を把握して追い続ける必要があるのだ。傍観者の視点でログインした場合は、見せ場が生まれる場所を事前に予測して待ち構えなければならないなど、瞬間の判断力が必要で、常に緊張を強いられる。それだけに良い場面を撮ったときの達成感は大きい。

 選手のそばに視点を戻すと、試合中に選手以外のスタッフが立っている。選手の真後ろにいて、しかし選手への関与はなく、選手ひとりひとりの画面を見つめている。彼らは決して特等席の観戦者ではない。彼らは選手が不正な行為をしないようにチェックしている審判員である。

 オンラインゲームではゲームの中で対戦ルールが確立されていることが望ましい。しかし、ソフトウェアの不具合やズルイ機能を追加するチートツールの使用といった不正行為が起きる可能性がある。例えば「カウンターストライク」では、屋根や塀の上など、開発者も意図しなかった場所に上れてしまう。そこに立つと戦況がかなり有利になるため、多くのEスポーツ大会では禁止エリアと定められている。そのほかにもゲーム上では死んでいるのに、オブザーバー画面から見える戦況を仲間に伝えることも禁止行為のひとつだ。審判員はこうした行為のないように監視する役目となっている。