雑誌のインタビューでは、「投げやり」とも取れるやり取りも

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   「霊と交信をしてカウンセリングする」という、スピリチュアル・カウンセラーの江原啓之氏を「ニューズウィーク日本版」が大きく特集している。9ページにわたって同氏と、「スピリチュアル・ワールド」について扱っており、同氏のインタビューも掲載している。挑発的な質問に江原氏はキレかかり、特集中では「経歴詐称疑惑」まで提起され、踏んだり蹴ったりという形だ。

会員簿に江原氏の名前がないことが判明?

   執筆したのは、ジャーナリストのコリン・ジョイス氏。英高級紙『デイリー・テレグラフ』の東京特派員などの経歴を持ち、日本滞在歴は15年を越える。記事では、江原氏の「スピリチュアリズム」が日本で受けている背景を「入り口のハードルを巧みに低くすることで、信仰を持たない人々の心をつかんでいるようだ」と分析。江原氏を追う形で「スピリチュアリスト」が続々と登場し、スピリチュアリストの「見本市」の盛況ぶりを伝えている。

   その一方で、江原氏を初めとする「スピリチュアリスト」への懐疑的な記述も多い。例えば、スピリチュアリストは英国を「聖地」と仰ぐのに対して、「(英国では)一般市民もスピリチュアルにはほとんど関心がない」としていたり、江原氏が留学中に学び、しばしば特別な敬意をもって語られる「英国スピリチュアリスト協会(SAGB)」のことを

「ドイツや日本など、国外からの問い合わせも増えているというが、会員数は2,000人前後止まり。実際はごくマイナーな団体に過ぎない」

と断じている。
   さらに、江原氏は、自身の著書では「世界ヒーリング連盟会員」という肩書きを使用しているが、

「本誌が問い合わせたところ、現在は同会の会員簿に江原の名前がないことが判明した」

と、「経歴詐称疑惑」まで提起している。
   この特集では、2ページにわたって江原氏のインタビューが掲載されているが、挑発的な質問が多く出された。例えば、こんな具合だ。

「芸能人の霊視は、事前にリサーチができると思うが」
「私は霊的世界を信じていない」
「信じない人は魂のレベルが低いとか?」

「私の読者は分かってくれていると思う」

   さらに、インタビュー中に、記者が江原氏の著書を全部読んだ訳ではないことがわかり、最後の方には、こんな「投げやり」とも取れるやり取りも登場する。

「霊的視点で見ると、9・11テロは、アメリカの行いが原因か」
「ご想像におまかせします。私の本をちゃんと読んで理解してくれていない方に、そういう話をしても意味がありません」

   インタビュー記事は、江原氏の、このような発言で終わっている。

「私の読者は分かってくれていると思う。テレビだけだと浸透力は大きいが、まちがった伝わり方になってしまうかもしれません」

   結局は「分かってくれる人だけ分かってくれればいい」と取れなくもないが、では、江原氏が、わざわざ雑誌のインタビューに応じた意図は何だったのだろうか。事務所に質問をぶつけてみたが、5月14日19時半現在、回答は得られていない。