若い女性が短くあいさつするだけの動画にアクセスが殺到している

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   インターネット動画サイトのYouTube(ユーチューブ)で、不正にアクセス数を増やして人気を煽る手口が横行し、米国で論争を呼んでいる。ロサンゼルス・タイムズのWeb版(2007年5月3日)が報じたもので、ほかにもいわゆる「やらせ」でランキング上位を狙う手口も紹介された。クリック広告のほかに、動画サイトでも「不正アクセス」が深刻な問題になりそうだ。

   ロサンゼルス・タイムズによると、「グリーンティー・ガーリー」という若い女性が短くあいさつするだけの動画が登場初日に17万アクセスを記録した。動画の女性は緑茶の販売員で、友人の大学生が投稿した。自動的にアクセスを繰り返すプログラムの利用などを使って、人為的にアクセスを増加させた。

動画だけの問題ではない

   アクセスはランキング上位に集中する傾向があるため、上位入りを果たせば人気が加速してアクセスが増えていく仕組みになっている。いまのところ、即収入に結びつくことはないが、YouTubeはランキング上位の一部に近く報酬を出す方針で、「不正アクセス」が増える可能性が高い。

   ほかにも「無名の少女」が日常を語る謎めいた画像が人気となった。実は、少女はオーディションで選ばれた女優の卵で、制作のプロも参加した「やらせ」作品だったと指摘した。

   「ネット広告のすべて」などの著書がある日本総研の紅瀬(こうせ)雄太・主任研究員は今回の「不正アクセス」について、以下のように指摘した。

――動画投稿サービスは、日本では今から伸びていく分野だ。ユーチューブの今回のような例は、動画サービスに限れば国内では聞いたことはないが、ネットサービス全体で見れば珍しくない。今回の報道は氷山の一角で、すでに国内でも起きている可能性もある。
   ネット広告の場合は、自動的にクリック数を増やすソフトなどを使う不正は多く、防ごうとするサイト管理者といたちごっこになっている。「やらせ」についても、企業側から金銭をもらいながら、それに触れずにブログでその企業の商品についての話を書く行為などが問題となっている。ユーチューブでもおカネがもらえるようになれば、ネット広告と同じ事態は予想できるし、国内の動画サービスでも同様の事態が起こる素地は十分にある。

   また、対策について紅瀬さんはこう考えている。「自動クリック」などはサイト管理者の対応に期待するしかないが、「やらせ」に近い仕掛けについては「正体」をどこかで明らかにすべきだ、とする。利用者の不信感を招くからだ。

   自動クリックもどこまでが不正なのか線引きは難しい。J-CASTニュースでも2006年5月、不正クリックとみられて広告を削除されて驚く人たちがいることを報じている。