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農民文学賞は、乳しぼりと花栽培をする女性作家2人に!(下)

農民文学賞は、乳しぼりと花栽培をする女性作家2人に!(下)
出かけてくる朝には、いつもの通り乳しぼりをしてきたと語る、第50回農民文学賞の受賞の荒井登喜子さん。東京・飯田橋のレインボービルにて。(撮影:伊藤昭一、4月29日) 写真一覧(2件)
【PJ 2007年05月08日】− 上)からのつづき。第50回農民文学賞を受賞した荒井登喜子さんの小説「ドラマチック」は、北海道を舞台に、男40歳の十勝の酪農家2人がお見合いイベントに参加、その紆余曲折をリアルさとユーモアも交えて物語る内容。

 選評では「嫁取り作戦の最中に、母牛の出産が逆子であるからと、母親に呼び戻されるところ。その母親が搾乳の途中で脳溢血に倒れ、汚物まみれを拭きながら主人公が『母さん、ごめん。ごめんなぁ……』と涙するところが、酪農ドラマの頂点である。『思えば五十二坪の家の中を、百五十センチほどしかないお袋がしっかりと埋めつくしていた。』その母親に存在感があり、主人公の涙に素直に共感することができた。」(秋山駿)。「ほっとする後味も実に良い作品だ」(伊藤桂一)。「都合よく出来すぎの感があるけれども、暗くならない。おおらかな結末に救いがあり、よしとした」(南雲道夫)と、意見が一致。小林ぎん子さんの「心ささくれて」と本作品は、どちらかで選考に討議があったが、「どちらも落とせない作品として、2作受賞とした」(木村芳夫)という。

農業の後継者に幸せな結婚を=荒井登喜子さん
 荒井登喜子さんは昭和63年、結婚のため北海道に渡り、夫と共に酪農に従事している。文芸同人誌「山音文学」(札幌)、「文学街」(東京)、「ペタソス」(帯広)の同人。地元の上士幌町で、後継者対策推進委員に任命された。5年になるが成果がない。夫が結婚相談所に行ってくれたが、農家は人気がないから登録しても無理」と告げられてきた。「これが現実です。小説を書き始めて何年にもなりますが、今まで農家関係のことはあえて題材にすることはしませんでした。しかし、今回は絶対に書かなければならないと、心が燃え上がりました。農業を誇りとして後を継いだ人達に、前向きに結婚に取り組んで、幸せになって欲しい」というが受賞の言葉である。

 日本の農民文学の歴史は古く、戦前の作品で長塚節の「土」を代表にして、戦争中の農民文学懇話会を経て、戦後の昭和26年から27年に山田多賀市(たかいち)や犬田卯により雑誌「農民文学」が発行されたが、2年で休眠。昭和29年に伊藤永之介や和田傳らを中心に再び日本農民文学会が結成され文芸誌「農民文学」が発行された。

「最近では、信濃毎日新聞が当会の活動に注目、社説で『危機の発信読み取ろう』と題し、農民文学を大きく取り上げてくれました。今、何が必要か。農民文学はそれを考える手掛かりとなる、と激励されました」と木村芳夫会長は語る。たしかに、農業の現場からしか生まれない農民文学賞は、日本の農家の現状を、ダイレクトに伝える社会派文学であることは、確かである。【了】

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パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一【 東京都 】
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農民文学賞は、乳しぼりと花栽培をする女性作家2人に!(下)
選考委員の作家・伊藤桂一氏より受賞作品の講評を聴く、荒井登喜
   
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