現在、日本国内で飼われている犬の総数は、約1200万頭。過熱するペットブームに目をつけ、素人ながら「ブリード(繁殖)」に手を出したり、インターネットオークションに犬猫を出品するなど、ペット関連事業に乗り出す人々が後を絶たない。その結果、動物の不適切な飼育管理や無責任な飼育放棄の実態が、あちこちで明るみになっている。動物愛護法が改正されて1年がたとうとする今、ペット産業を取り巻く現状を追った。

 佐賀県鹿島市の動物取扱業者「コウエイドッグハウス」が運営する犬の繁殖施設が、昨年11月から数回、県の杵藤保健福祉事務所(同県武雄市)による立ち入り調査を受けた。その結果、施設での定期的な清掃は行われておらず、犬を入れたオリは汚物が溜まった状態のままであることや、計12頭の白骨化・ミイラ化した犬の死骸が確認された。コウエイドッグハウスは、柴犬や秋田犬など約1 00頭を繁殖場で飼育、同じく販売店内でも約50頭の犬が飼育されていた。その後改善勧告を受けたが、今年1月の期限までに飼育状況の改善が見られなかったため、県は同業者を佐賀県警へ告発した。さらに同月、大阪府和泉市内の繁殖業者が飼育していた犬が、流産や死産を繰り返す人畜共通感染症「ブルセラ症」に集団感染するという事件も発生した。この業者はすでに、飼育していた260頭余りの犬の所有権を放棄している。
 それ以外にも、世間一般にはあまり知られていないが、地方の愛犬家のブログサイトでは「パピーミル(子犬工場)」と呼ばれる、鶏のブロイラー飼育施設のような繁殖場が多数告発されている。そこでは、繁殖用の犬たちが体に合わない狭小のケージに入れられ、短い鎖でつながれているという。
 昨年6月1日に改正施行された「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動愛法)は、こうした悪質な繁殖業者を規制する側面を持つ。これまで、所属する自治体に届け出をすれば、審査を受けることもなく、誰でも動物取扱業を営むことができた。だが、改正後の動愛法では、各業者は今年の5月31日までに所属する都道府県知事に動物取扱業登録申請書を提出し、しかるべき審査を受ける義務が発生する。さらに審査の結果、悪質とみなされた場合は、営業停止処分とされることも定められたのだ。これにより、前述のような杜撰な動物の飼育管理を行う業者は、経営続行が難しくなった。つまり、不良業者が手を引こうとしたがために、冒頭に列挙したような問題が噴出している、ともいえよう。では今後、適切な飼育を行えない業者は、確実に淘汰されていくのだろうか?
 トラや犬の生態に詳しい動物行動学研究家で、ジャーナリストでもある堀明氏は、ペット産業を取り巻くさらなる問題点を指摘する。
「今回の法改正自体、まだまだ十分とはいえない。そもそも、各自治体の“愛動愛護”にかかわる担当者に、プロフェッショナルがいない。そのため、業者のいい加減な飼育や販売のやり方にメスが入らず、パピーミルのような劣悪な繁殖場が放置されたままになっていたりする」
 動物取扱業者の届出制から登録制への移行に伴う監視体制が、施行から1年経過した現在も整っていないというのだ。これではせっかく議論を重ねて施行に至った改正法も、正常に機能せず、ザル法となってしまいかねない。(つづく)

サイゾー編集部|取材・文

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