社会はどこまで狂うのか・・・自殺した生徒遺族に加害者が慰謝料の請求(中)
2007年04月29日08時59分 / 提供:PJ
(上)からのつづき。一昨年(2005年)12月に自殺した、長野県立丸子修学館高校(当時は丸子実業高校)の高山裕太君(当時16歳)の遺族が、いじめの加害者とされるバレーボール部員らから3000万円もの損害賠償を求められている。
事件の流れからわかること
この流れをていねいに読む限り、裕太君はいじめを非常に苦にしていたと推測される。記者が第1に注目するのは、家出をした日付が8月30日であることだ。8月の末といえば、2学期が始まるか夏休みの最後の時期だ。
この時期に問題行動を起こすのは、これから始まる2学期から逃げようとする回避行動である場合が多い。なお逆に夏休みに入ったとたんに家出をしたりすると、それは家庭がくつろげない場所であるからだということが多い。これは心情的にも素人にも大いに理解できることであろう。
第2に注目するのは、裕太君が自殺した前日に、学校の教頭と担任・教育委員会からの家庭訪問があり、数時間にわたり説得をしていたことだ。
裕太君側では、登校をできない理由について、精神的な治療の専門医の診断書を3回も提出している。言い換えれば、何度診断書を提出しても、じゅうぶんに配慮されずにきたということだ。
最後の診断書は11月6日(自殺の一ヶ月前)に書かれた。内容はこうだ。「病名 神経衰弱常態。本年8月30日、学校生活のストレスから家出等の行動があり発声困難・不安・めまい・腹部不快・顔面痛の身体症状と共に希死念慮も出現していた。このため現在 当院通院加療中であるが、現在も精神症状は動揺傾向にあり、学業に服することが困難な状況である。よって当面の間、休学と加療継続を要すると診断する」。
このような診断書があるにもかかわらず登校を強要して、その夜のうちに自殺したとすれば、その原因が登校の強要でなくてなんだろうか? しかも、数時間にわたる話し合い。ひとつのことを執拗に数時間にわたって強要され続ける辛さは、味わったことのある人にしかわからないのかもしれない。
しかし、ニュースで冤罪事件が報道されるたびに警察が指摘されるように、何時間にもわたってひとつのことについて質問され、ひとつの考え方を強要される苦痛があると、強要されている側は、もう本題についてはどうでもよくなりその場を逃れたくなる。そのため、いい加減な返事をしても場を終わらせてしまいがちだ。こんな大事なことがなぜどうでも良くなるのか? という謎については、記者は「実際に体験してみてください」と答えることしかできない。
以上に指摘したように、裕太君は登校すら回避するほどにいじめを苦にしていた。特に、前日の数時間にわたる説得(裕太君にとっては強要)が自殺を招いたことは、議論の余地もなく明らかなように思える。それなのに、一方のいじめた側は、それはいじめではないと主張する。
おそらく、このバレーボール部の伝統の中で見れば、「この程度の行動はいじめには当たらない」というように見えたのだろう。しかし、いじめのような暴力的行為は、加害者によって定義されるものではない。そんなことをしていれば、階級制度も男尊女卑も奴隷制度も殺人も、何一つ暴力ではなくなってしまうのではなかろうか? 大事なのは、「いじめていない」という確信よりも、「いじめられていない」という確信なのではないだろうか? 記者はそう考える。
そして何よりも、学校やバレーボール部員たちが加害者に見えるのは、一人の仲間の死に対し、「私たちにも非があったかもしれない」と振り返る姿勢を一切見せないことだ。 私たちは、知人の死にすら、「もしこんなことができたらあの人は死ななかったのではなかろうか」「こうしてあげればよかった、そうすればあの人は死ななかったかもしれない・・・」という後悔と自責の念を持つことが多い。それが人情というものではなかろうか。
人情の片鱗をも見せなかったことで、丸子実業高校(現 丸子修学館高校)は図らずも自分が責任逃れをしている様子を暴露してしまったといえる。【つづく】
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事件の流れからわかること
この流れをていねいに読む限り、裕太君はいじめを非常に苦にしていたと推測される。記者が第1に注目するのは、家出をした日付が8月30日であることだ。8月の末といえば、2学期が始まるか夏休みの最後の時期だ。
この時期に問題行動を起こすのは、これから始まる2学期から逃げようとする回避行動である場合が多い。なお逆に夏休みに入ったとたんに家出をしたりすると、それは家庭がくつろげない場所であるからだということが多い。これは心情的にも素人にも大いに理解できることであろう。
第2に注目するのは、裕太君が自殺した前日に、学校の教頭と担任・教育委員会からの家庭訪問があり、数時間にわたり説得をしていたことだ。
裕太君側では、登校をできない理由について、精神的な治療の専門医の診断書を3回も提出している。言い換えれば、何度診断書を提出しても、じゅうぶんに配慮されずにきたということだ。
最後の診断書は11月6日(自殺の一ヶ月前)に書かれた。内容はこうだ。「病名 神経衰弱常態。本年8月30日、学校生活のストレスから家出等の行動があり発声困難・不安・めまい・腹部不快・顔面痛の身体症状と共に希死念慮も出現していた。このため現在 当院通院加療中であるが、現在も精神症状は動揺傾向にあり、学業に服することが困難な状況である。よって当面の間、休学と加療継続を要すると診断する」。
このような診断書があるにもかかわらず登校を強要して、その夜のうちに自殺したとすれば、その原因が登校の強要でなくてなんだろうか? しかも、数時間にわたる話し合い。ひとつのことを執拗に数時間にわたって強要され続ける辛さは、味わったことのある人にしかわからないのかもしれない。
しかし、ニュースで冤罪事件が報道されるたびに警察が指摘されるように、何時間にもわたってひとつのことについて質問され、ひとつの考え方を強要される苦痛があると、強要されている側は、もう本題についてはどうでもよくなりその場を逃れたくなる。そのため、いい加減な返事をしても場を終わらせてしまいがちだ。こんな大事なことがなぜどうでも良くなるのか? という謎については、記者は「実際に体験してみてください」と答えることしかできない。
以上に指摘したように、裕太君は登校すら回避するほどにいじめを苦にしていた。特に、前日の数時間にわたる説得(裕太君にとっては強要)が自殺を招いたことは、議論の余地もなく明らかなように思える。それなのに、一方のいじめた側は、それはいじめではないと主張する。
おそらく、このバレーボール部の伝統の中で見れば、「この程度の行動はいじめには当たらない」というように見えたのだろう。しかし、いじめのような暴力的行為は、加害者によって定義されるものではない。そんなことをしていれば、階級制度も男尊女卑も奴隷制度も殺人も、何一つ暴力ではなくなってしまうのではなかろうか? 大事なのは、「いじめていない」という確信よりも、「いじめられていない」という確信なのではないだろうか? 記者はそう考える。
そして何よりも、学校やバレーボール部員たちが加害者に見えるのは、一人の仲間の死に対し、「私たちにも非があったかもしれない」と振り返る姿勢を一切見せないことだ。 私たちは、知人の死にすら、「もしこんなことができたらあの人は死ななかったのではなかろうか」「こうしてあげればよかった、そうすればあの人は死ななかったかもしれない・・・」という後悔と自責の念を持つことが多い。それが人情というものではなかろうか。
人情の片鱗をも見せなかったことで、丸子実業高校(現 丸子修学館高校)は図らずも自分が責任逃れをしている様子を暴露してしまったといえる。【つづく】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 広觜志保子
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