緑資源機構官製談合、「甘い汁連鎖」の生体解剖で公務員制度改革実現を!
2007年04月24日07時19分 / 提供:PJ
農林水産省の所管する農林漁業信用基金や農畜産業振興機構など14の独立行政法人のひとつ「緑資源機構」(理事長前田直登)に19日、公正取引委員会は同機構が調査業務発注に係る「官製談合」を行っていたとして独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で同機構および受注先である公益法人等の家宅捜査に入った。
公取はすでに昨年10月末に同機構の「幹線林道事業の測量・建設コンサルタント業務に係る入札」に関する独禁法違反の疑いで立ち入り検査に入り、調査を続けていたところであった。今回、家宅捜査という強制捜査へ踏み切った背景には、同機構が行っていた官製談合がその悪質性、継続性において看過できぬとの強い判断が働いたものと思われる。
同機構は10月の立ち入り検査を受けて急きょ、前田理事長を委員長とし、5人の理事が一般委員、弁護士、大学教授、公認会計士の外部の人間3人を特別委員とした「入札制度等改革委員会」を設置した。そしてこれまで1月22日、2月20日、3月27日と立て続けに委員会が開催されてきた。ただしその会議時間は同機構の議事概要によると通算でわずかに6時間20分であった。
さらに3月27日開催の第3回の委員会において、早くも「入札制度に関する改革方向」という本文2ページ、付属資料たった3ページの「中間とりまとめ」がまとめられた。そのあわただしい小役人的な対応には、何とか逃げ口上を用意したいとの魂胆があまりにも見え透いており、浅ましささえ感じてしまう。
また議事概要を読む限りでは、特別委員を引き受けた委員からそうした付け焼き刃的な「緑資源機構」の姿勢、体質そのものへの言及、批判もなかったことも、この委員会の性格がその場しのぎのお手盛りであることをそのまま正直に表しているように思える。
さてこの「緑資源機構」とは耳慣れぬ組織名だが、かつて森林開発公団(昭和31年設立)と呼ばれていたものが、平成11年に農用地整備公団(昭和30年設立)の業務を継承し緑資源公団と改称、その後「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づいて平成15年10月に「独立行政法人緑資源機構」として衣替えした典型的かつ由緒ある天下り機関である。またこの巧妙な「早変わり」こそが「改革なくして成長なし」と叫び続けた「小泉改革」の実態でもある。
同機構の役員は総勢8名(内監事2名)からなり、その前職は理事長以下4名が農林水産省、森林開発公団が3名、会計検査院出身者が1名となっている。ちなみに現在の理事長前田直登氏は2代前の林野庁長官である。林野庁にはこれまで33代の長官が存在するが、農水省の事務次官に登りつめた9名と国会議員となった7名(除く事務次官経験者)を除く17名の内、4割にあたる7名が「緑資源機構」およびその前身である森林開発公団の理事長に天下りしている。この事実から同機構が林野庁と一心同体の由緒ある天下り先であることは明らかである。
現在、国政の場において渡辺喜美行政改革担当大臣を中心に公務員制度改革についての法案策定に向けた動きが活発化している。この13日には制度改革に関する協議会が政府、与党間で開かれ、省庁斡旋による天下りを、非営利法人を含めすべて禁止、その代わりに再就職斡旋機関として「官民人材交流センター」(仮称)を2008年中に内閣府に設置することで合意した。
許認可権限を有する各省庁がその影響力を行使して天下り(再就職)先を決めるこれまでのやり方を根本的に改めようとの目的であるが、非営利法人を禁止対象からはずせなど激しい揺さぶりが霞ヶ関ならびに族議員のなかで目立ったことは公の知るところである。
その結果でもあろうか、13日の合意も、官民人材交流センターの制度設計を議論する有識者懇談会を改革推進に強い意向を示す渡辺行革担当大臣の手元からはずし、官房長官の下に置かせるなど玉虫色の決着をみた。永年にわたり官尊民卑の意識を育ててきた公務員制度の改革の帰趨はまさに端緒についたばかりと言ってよい。
そうした大きな流れのなかで小泉改革において透明性を増したはずの独立行政法人、「緑資源機構」の官製談合疑惑である。官製談合が管轄省庁の業務に付随した業務内容を有す独立行政法人で発生することは、OB人事と表裏一体の構造となっていることから、特殊法人から独立行政法人へ看板を付け替える程度の衣替えでは何の解決策にもならないことを今回の事件はよく物語っている。逆に独立行政法人として経営の自由度を増した分だけ、官製談合という構造的な闇の深さは一段と深まったとも言える。
その意味で公正取引委員会には緑資源機構の官製談合疑惑について、その構造解明につき本腰を入れた捜査を望みたい。またその徹底した生体解剖を通じることによって農林水産省、林野庁、緑資源機構、公益法人といった一連の税金の無駄遣い、不正利用といった「甘い汁連鎖」の実態をまず国民の前につまびらかに示してもらいたい。
そのうえで政府は国民の批判に真摯に耳を傾け、「国家公務員法等改正法案」や次期通常国会に上程予定の「国家公務員制度改革基本法(仮称)」の立法作業の過程でそうした意見を十分に反映してもらいたい。
その一方で、われわれ国民も公務員制度改革を真に実効あるものとするために、今回の「緑資源機構」の捜査動向には注意深い視線を送り、今後の制度改革の議論に対しても事あるごとに「正当な民の声」を上げ続ける必要があると考える。【了】
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公取はすでに昨年10月末に同機構の「幹線林道事業の測量・建設コンサルタント業務に係る入札」に関する独禁法違反の疑いで立ち入り検査に入り、調査を続けていたところであった。今回、家宅捜査という強制捜査へ踏み切った背景には、同機構が行っていた官製談合がその悪質性、継続性において看過できぬとの強い判断が働いたものと思われる。
同機構は10月の立ち入り検査を受けて急きょ、前田理事長を委員長とし、5人の理事が一般委員、弁護士、大学教授、公認会計士の外部の人間3人を特別委員とした「入札制度等改革委員会」を設置した。そしてこれまで1月22日、2月20日、3月27日と立て続けに委員会が開催されてきた。ただしその会議時間は同機構の議事概要によると通算でわずかに6時間20分であった。
さらに3月27日開催の第3回の委員会において、早くも「入札制度に関する改革方向」という本文2ページ、付属資料たった3ページの「中間とりまとめ」がまとめられた。そのあわただしい小役人的な対応には、何とか逃げ口上を用意したいとの魂胆があまりにも見え透いており、浅ましささえ感じてしまう。
また議事概要を読む限りでは、特別委員を引き受けた委員からそうした付け焼き刃的な「緑資源機構」の姿勢、体質そのものへの言及、批判もなかったことも、この委員会の性格がその場しのぎのお手盛りであることをそのまま正直に表しているように思える。
さてこの「緑資源機構」とは耳慣れぬ組織名だが、かつて森林開発公団(昭和31年設立)と呼ばれていたものが、平成11年に農用地整備公団(昭和30年設立)の業務を継承し緑資源公団と改称、その後「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づいて平成15年10月に「独立行政法人緑資源機構」として衣替えした典型的かつ由緒ある天下り機関である。またこの巧妙な「早変わり」こそが「改革なくして成長なし」と叫び続けた「小泉改革」の実態でもある。
同機構の役員は総勢8名(内監事2名)からなり、その前職は理事長以下4名が農林水産省、森林開発公団が3名、会計検査院出身者が1名となっている。ちなみに現在の理事長前田直登氏は2代前の林野庁長官である。林野庁にはこれまで33代の長官が存在するが、農水省の事務次官に登りつめた9名と国会議員となった7名(除く事務次官経験者)を除く17名の内、4割にあたる7名が「緑資源機構」およびその前身である森林開発公団の理事長に天下りしている。この事実から同機構が林野庁と一心同体の由緒ある天下り先であることは明らかである。
現在、国政の場において渡辺喜美行政改革担当大臣を中心に公務員制度改革についての法案策定に向けた動きが活発化している。この13日には制度改革に関する協議会が政府、与党間で開かれ、省庁斡旋による天下りを、非営利法人を含めすべて禁止、その代わりに再就職斡旋機関として「官民人材交流センター」(仮称)を2008年中に内閣府に設置することで合意した。
許認可権限を有する各省庁がその影響力を行使して天下り(再就職)先を決めるこれまでのやり方を根本的に改めようとの目的であるが、非営利法人を禁止対象からはずせなど激しい揺さぶりが霞ヶ関ならびに族議員のなかで目立ったことは公の知るところである。
その結果でもあろうか、13日の合意も、官民人材交流センターの制度設計を議論する有識者懇談会を改革推進に強い意向を示す渡辺行革担当大臣の手元からはずし、官房長官の下に置かせるなど玉虫色の決着をみた。永年にわたり官尊民卑の意識を育ててきた公務員制度の改革の帰趨はまさに端緒についたばかりと言ってよい。
そうした大きな流れのなかで小泉改革において透明性を増したはずの独立行政法人、「緑資源機構」の官製談合疑惑である。官製談合が管轄省庁の業務に付随した業務内容を有す独立行政法人で発生することは、OB人事と表裏一体の構造となっていることから、特殊法人から独立行政法人へ看板を付け替える程度の衣替えでは何の解決策にもならないことを今回の事件はよく物語っている。逆に独立行政法人として経営の自由度を増した分だけ、官製談合という構造的な闇の深さは一段と深まったとも言える。
その意味で公正取引委員会には緑資源機構の官製談合疑惑について、その構造解明につき本腰を入れた捜査を望みたい。またその徹底した生体解剖を通じることによって農林水産省、林野庁、緑資源機構、公益法人といった一連の税金の無駄遣い、不正利用といった「甘い汁連鎖」の実態をまず国民の前につまびらかに示してもらいたい。
そのうえで政府は国民の批判に真摯に耳を傾け、「国家公務員法等改正法案」や次期通常国会に上程予定の「国家公務員制度改革基本法(仮称)」の立法作業の過程でそうした意見を十分に反映してもらいたい。
その一方で、われわれ国民も公務員制度改革を真に実効あるものとするために、今回の「緑資源機構」の捜査動向には注意深い視線を送り、今後の制度改革の議論に対しても事あるごとに「正当な民の声」を上げ続ける必要があると考える。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 野田 博明
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