建設現場の鉄資材やガードレール、
さらにはマンホールのフタまで、昨年から全国的に多発している金属窃盗事件。警視庁の発表によると、昨年の金属窃盗による被害件数は全国で約5700件、被害総額は約20億円に上る。中でも大阪は金属窃盗のワーストワン地区であり、被害も増加の一途。
今年に入ってから2月末までに316件の被害が報告されており、すでに同府の昨年1年間の金属窃盗件数の半数を超えているという。
 この事態に大阪府警は、今年3月、
全国で初となる専門対策チーム「金属材窃盗事件対策室」を新設した。
 さて、盗難の背景には、北京オリンピックや上海万博を間近に迎えた中国での金属不足による鉄の高騰があるとされているが、なぜ大阪ばかりで被害が拡大し続けているのだろうか? 地理的なことを考えると、中国に近い九州地方に集中しそうなものだが……。
「大阪や神戸の港付近は、全国でも有数の、スクラップ業者が集中する地区。彼らの中には違法業者も多数おり、ここへ持ち込まれた盗品が、船で韓国や中国に運ばれていると考えられます。
あとは、工場や建設現場で働く人のモラルの低さも、大きく関係しているのではないでしょうか」(関西大手製鉄メーカー社員)
 この社員によると、大阪だけに限らず、建設現場や公共施設などのずさんな管理状況が、金属資源を盗みやすい環境をつくっており、さらに、「盗まれた金属資材が高値で取り引きされている」というニュースが、素人の犯行に拍車をかけているというのだ。
 実際、国内の鉄相場は、1週間で1トン当たり500円も価格が上がるなど?異例?の事態となっている。業界としては北京五輪の恩恵を被っているわけだが、「鉄だけに限らず、銅、ステンレス、アルミニウムなど、リサイクルできる鋼材すべての価格が上昇している」と、前出の製鉄メーカー社員は語る。だが、府内のスクラップ業者によると、それらの横流しは「罪を犯してまでする仕事ではないですよ(苦笑)。リスクの割に儲かりませんから」という。
 6年ほど前に底値に達した鉄の価格は上昇を続け、現在では1トン当たり約3万円で取引されているというが、
出所のわからない鉄の持ち込み価格は、1トン当たり約2万円程度。いくら価格が上昇しても、それだけの重量のものを盗ぶとなると、割の合わない重労働なのだろう。
 現在では、素人の小規模な犯行が多い現段階では、まだ小遣い稼ぎ程度の金属窃盗。個人的には、1トンもの鉄を運んで2万円ならば、普通にバイトをした方がお得な気もするが……。
         (スタジオKEIF)