エフ・イー・テクノロジーズ
 4月11日から13日まで開催された国際フラットパネルディスプレイ展「Display2007」を見学した。ディスプレイの話ばかりが続いて恐縮だが、いま、もっとも元気の良い分野はフラットパネルディスプレイだということも事実。しかもこのイベントは最新の有機EL、液晶、プラズマ、商品化が待たれるFEDなどを直接見るチャンスでもある。出展全体の傾向としては、大きな画面で滑らかな動画、明るさ、発色をアピールしていた。しかし私はゲーマーである。前々回のこのコーナーで、反応速度と遅延を学んだばかり。各メーカーの担当者に、ゲーマーにとってその製品は使えるのか、と直撃質問を試みた。

 まとめるとこうだ。

 ・新技術「FED」はゲーマーの希望の星だ
 ・液晶系パネルも新技術で応答速度は改善へ
 ・もともと応答の早いプラズマは大型化を志向
 ・ソニーが先行する有機ELは今後に期待

 まずは今回の出展でもっとも注目されたソニーの有機ELテレビ。デモ映像の作りも良く、とてもきれいな映像だ。有機ELは素子自体が発光するため、液晶のようなバックライトシステムが要らない。だから製品をとことん薄くできる。展示されていた11v型はなんと3mmという薄さ。ボール紙ほどだ。しかし、私の興味は薄さではない。反応速度と遅延だ。

 説明員氏に反応速度と遅延について訊ねた。展示されている有機ELテレビは映像回路を経由して絵作りをしているそうだ。「液晶ディスプレイのようにフレーム遅延の可能性がありますね。実はゲーム用途ではそこがシビアな問題です」と問いかけると、説明員氏は困った表情をされた。私たちはやっとテレビを作り上げた段階で、PC用途向けの開発はこれからなんですよ、と。

 確かに。私の問いかけは時期尚早だ。

 同時開催されている「フラットパネルディスプレイ研究開発・製造技術展」にも有機EL関連の出展が多かったが、どこも小さなパネルや色見本程度である中で、ソニーはもうテレビを作り上げた。有機ELでテレビを作ること自体が快挙なのだ。

 ただ、説明員氏によると有機EL自体のポテンシャルは高く、応答性は液晶の比ではないという。映像回路をチューンアップすれば液晶よりも遙かに良いものができるそうだ。まずはテレビとしての製品開発に注力することになるだろうけれど、今後の進捗に期待したい。

 東芝松下ディスプレイテクノロジーは液晶の可能性を追求する。OCB(Optically Compensated Bend)という方式の液晶ディスプレイは応答速度が2ミリ秒(1000分の2秒)。家庭用テレビ向けとしては最速だ。しかし、PC用なら2ミリ秒の製品は既にある。ではOCBのメリットは何かというと、液晶自体のポテンシャルの高さと省電力性能だ。

 従来の液晶はシャッター方式で、液晶がバックライトを塞いだり開いたりして発光をコントロールする。これに対してOCBは、液晶を簾のように並べて、真横から力を与えることで簾を弓なりに曲げ、隙間を作って光を透過させる。液晶を開閉するよりも少ない力で光をコントロールできるため、応答性が高く省電力になるというわけだ。

 PC用の従来型2ミリ秒の液晶パネルの場合と比較した場合、OCBは省電力なので大型化しやすいと考えられる。さらに、現在は2ミリ秒であるけれど、今後は1ミリ秒、さらには限りなくゼロへと応答速度の向上の可能性も見えてくる。展示ではCRTや在来型液晶との比較が行われたほか、寒冷地用の自動車内ディスプレイパネルとして、マイナス40度で動作させる比較も行われていた。ゲームを意識した展示ではなかったが、このOCBと映像回路のチューンの方向は期待できる。液晶はまだまだいけそうだ。

 プラズマの総本山パイオニアは、液晶との比較優位を押し出した展示だ。ブース内の小部屋に4枚の大型ワイドディスプレイが並べられている。ちょっと見ただけでは違いがわからないが、よく見ると左がもっとも動画をクリアに再生しており、中央より2枚はややブレる程度で同等。一番右は動画がぼやけていた。この並び順は、左からパイオニアの最新式フルハイビジョンプラズマディスプレイ、他社製の120フレーム対応ディスプレイ、在来のプラズマディスプレイ、60フレームの在来型液晶ディスプレイだ。