今季終了をもってインテル退団を表明しているMFルイス・フィーゴが15日、敗戦濃厚のチームを救った。セリエA第32節、この日唯一のナイトゲームとなったインテル対パレルモの1戦はパレルモが2点を先制するまさかの展開。サンシーロに漂い始めたインテル“今季初黒星”ムードを吹き飛ばしたのは、熟練フィーゴの右足だった。

2点ビハインドで迎えた後半22分、フィーゴが反撃の狼煙を上げた。左サイドでボールをキープしたフィーゴは、ゴール前で待つFWクルスに絶妙なクロスを送り、まずは1点。直後の同29分、同じ位置から放り込まれたフィーゴの右足クロスは、アドリアーノの頭に吸い込まれるような軌跡を描き2−2に。独特のリズムあるドリブルで相手選手を翻弄し、クロスの機会を伺うフィーゴ。試合の流れを巧みに読む経験と、研ぎ澄まされた技術を併せ持つ34歳のベテランが、今季初黒星の危機からチームを救った。翌日付の現地紙もフィーゴを大絶賛。「7.5=来季のアラブ挑戦を寂しく思うサポーターが急増」(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)を始め、各紙でMVPに選出された。

試合後、テレビカメラの前で「長い間、ハイレベルな世界に身を置いた。この世界が寂しくなるだろうが、もう休む年齢に達している。今は(ユベントスB降格による)昨季の昇格優勝とは全く違う意味合いを持つ今季の優勝のことしか頭にない」と流暢なイタリア語で語ったフィーゴ。18日、暴動により延期されていた第22節対ASローマ戦で勝利すれば今季のインテル優勝が決まる。満員が予想されるサンシーロで決める“無敗優勝”。これ以上ない置き土産をサポーターに、老兵が惜しまれつつイタリアを去る。

佐藤 貴洋