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温家宝中国首相、「融氷之旅」の真実。
2007年04月15日06時53分 / 提供:PJ
【PJ 2007年04月15日】−
4月11日、中国の温家宝首相が来日。6年半ぶりとなる中国首脳部の訪問を、温首相自ら「融氷之旅」として位置づけ、国内外に訪日成功との声が高い。同国新華社のネット記事にも、『韓国と日本への中国首相温家宝の訪問は相互に有益な協力を強化し、中国と2カ国の間の経済および取引関係を進めることでの大成功』だと報道。さらに『中国の首相が過去7年で2カ国を訪問したのはこれが初めて』とある。主たる訪日の目的は、中日関係の修復というより、環境、エネルギー等中国が抱える課題の解決と、さらに日韓両国の賛同を得て、北京オリンピックを成功裏に終らさせたいという、したたかな計算があったのだ。
首相帰国直後、各紙の報道を丹念に読み返すと、国会での演説。早朝のジョギング。歓迎晩さん会での「昴」に感動。京都・西京極球場での野球など、日本の春を楽しんだ温首相の姿が報じられた。だが、温家宝首相は中国内にあっては、「温和な笑顔」で「人民を懐柔する政略家」。かの国で発表される多数の写真がそれを如実に物語っている。ある程度の譲歩を日本側に示し、国内で異論が出た場合、温家宝首相の責任に回避する「戦略的訪日」と読めなくもない。
14日。意外にも朝日新聞と産経新聞の両紙に、同じ文言の「温首相、薄氷を踏む旅」の署名記事が掲載された。朝日とサンケイの両社の関係から、これは珍なる記事。朝日の坂尻信義氏は05年9月から、中国総局(北京)勤務。北朝鮮の核問題をめぐる6者協議関連記事のほか、胡錦濤主席のインド初訪問などを特報した記者。 片や産経新聞の矢板明夫氏は、1972年、中国天津市生まれの残留孤児2世。97年に慶応大学文学部卒業後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、天津市の南開大学非常勤講師を経て、02年から産経新聞社記者になった人物である。対極的な両者が異口同音に、「温和そうな温首相が、薄氷を踏んだ」と指摘したのである。
昨年のこと。中国紹興市にある魯迅記念館での展示物と、その丁寧な取り扱いにわたしは驚いた。仙台留学中の魯迅と藤野厳九郎先生の師弟関係の深さや、日本で受けた様々な恩恵について淡々と展示され、荒れ狂う抗日運動が続く中でさえ、反日的文言の一行もそこにはなかった。また、唐代の詩人張継の「楓橋夜泊」で知られる寒山寺には、「日本国首相伊藤博文」寄贈の名鐘があり、「倭によって持ち去られた」という伝聞を気にした博文の気遣いだったという。
後年、ハルピン駅頭で暗殺された博文の暗殺犯は朝鮮人安重根。日本ではテロリストとする安は、韓国朝鮮では愛国の義士である。中国でこの史実を知らないはずはない。日中韓に横たわる「歴史認識」とはその程度であり、韓国の盧武鉉大統領が、執拗に繰り返す「抗日論」とは意味が異なる。
しばらくうち続く日中関係の不和を、虚影と断定するものではない。だが、「国家的危機はここに氷解」という表現を、わたしは単純に認めない。両国の首脳らが、来ては喜び、来なければ憂い、一喜一憂してはならないのだ。朝日、サンケイ両新聞の記者が案じるように、温氏個人の実力が維持される保障はかの国にはない。政治的配慮によって、関係が改善することもあれば、事情に応じて関係悪化を創り上げる国が中国政府、あるいはそれこそが外交政策なのである。温首相の人柄と中国の国家政策とは何の関係もない。そのことを熟知した上で、今回の訪問を「熱烈歓迎」すべきだ。今回の訪日は巧妙な政治的演出だとわたしは見た。
温家宝氏の中国人民に向ける様々な「融氷」の姿写真を、ここに添付できないのは残念である。中国が「知的所有権」に鈍感な国であっても、日本国の矜持(きょうじ)を守りたかったからである。 【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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首相帰国直後、各紙の報道を丹念に読み返すと、国会での演説。早朝のジョギング。歓迎晩さん会での「昴」に感動。京都・西京極球場での野球など、日本の春を楽しんだ温首相の姿が報じられた。だが、温家宝首相は中国内にあっては、「温和な笑顔」で「人民を懐柔する政略家」。かの国で発表される多数の写真がそれを如実に物語っている。ある程度の譲歩を日本側に示し、国内で異論が出た場合、温家宝首相の責任に回避する「戦略的訪日」と読めなくもない。
14日。意外にも朝日新聞と産経新聞の両紙に、同じ文言の「温首相、薄氷を踏む旅」の署名記事が掲載された。朝日とサンケイの両社の関係から、これは珍なる記事。朝日の坂尻信義氏は05年9月から、中国総局(北京)勤務。北朝鮮の核問題をめぐる6者協議関連記事のほか、胡錦濤主席のインド初訪問などを特報した記者。 片や産経新聞の矢板明夫氏は、1972年、中国天津市生まれの残留孤児2世。97年に慶応大学文学部卒業後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、天津市の南開大学非常勤講師を経て、02年から産経新聞社記者になった人物である。対極的な両者が異口同音に、「温和そうな温首相が、薄氷を踏んだ」と指摘したのである。
昨年のこと。中国紹興市にある魯迅記念館での展示物と、その丁寧な取り扱いにわたしは驚いた。仙台留学中の魯迅と藤野厳九郎先生の師弟関係の深さや、日本で受けた様々な恩恵について淡々と展示され、荒れ狂う抗日運動が続く中でさえ、反日的文言の一行もそこにはなかった。また、唐代の詩人張継の「楓橋夜泊」で知られる寒山寺には、「日本国首相伊藤博文」寄贈の名鐘があり、「倭によって持ち去られた」という伝聞を気にした博文の気遣いだったという。
後年、ハルピン駅頭で暗殺された博文の暗殺犯は朝鮮人安重根。日本ではテロリストとする安は、韓国朝鮮では愛国の義士である。中国でこの史実を知らないはずはない。日中韓に横たわる「歴史認識」とはその程度であり、韓国の盧武鉉大統領が、執拗に繰り返す「抗日論」とは意味が異なる。
しばらくうち続く日中関係の不和を、虚影と断定するものではない。だが、「国家的危機はここに氷解」という表現を、わたしは単純に認めない。両国の首脳らが、来ては喜び、来なければ憂い、一喜一憂してはならないのだ。朝日、サンケイ両新聞の記者が案じるように、温氏個人の実力が維持される保障はかの国にはない。政治的配慮によって、関係が改善することもあれば、事情に応じて関係悪化を創り上げる国が中国政府、あるいはそれこそが外交政策なのである。温首相の人柄と中国の国家政策とは何の関係もない。そのことを熟知した上で、今回の訪問を「熱烈歓迎」すべきだ。今回の訪日は巧妙な政治的演出だとわたしは見た。
温家宝氏の中国人民に向ける様々な「融氷」の姿写真を、ここに添付できないのは残念である。中国が「知的所有権」に鈍感な国であっても、日本国の矜持(きょうじ)を守りたかったからである。 【了】
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