今週のお役立ち情報
筑摩書房の奇跡の復活。現社長がはじめて全容を明かす。(下)
2007年04月14日06時03分 / 提供:PJ
【PJ 2007年04月14日】−
(中)からのつづき。「倒産から学んだことは、ずさんな経営体質でした」と菊池明郎さんは語る。返品条件付きで取次店に納本すれば、入金がある。30%、40%の返品があれば、それに見合った返金があるのに、すでに使っていた。赤字が累積する一方だった。結果として倒産だった。
再建とは体質を変えることだった。これまでは単なる勘で発行部数が決められていた。『マーケティング重視への転換。実売率を高めていく』。菊池さんはそれにこだわった営業システムの確立をおこなったのだ。
人手はかかるが、スリップでデータを取り、分析、解析していた。やがて、POSデータの活用など、きめ細かな営業を推し進めるために、パソコン導入を申請した。PCは稼いでくれないと、社内ではなかなか予算が認められなかった、と当時をふり返る。
マーケティング重視は徹底しているようだ。「システムの開発には金をつぎ込んでいます」。最近では約2000店の書店のデータを解析している。オンラインの受発注システムをも活用している。「地方紙の宣伝効果ひとつをみても、想定していなかった効果ある地方紙が見つかる。その逆もある。ブロック3紙も同様です」と話す。
同業他社に比べ、早くから社内ランを導入し、全員がパソコンを持つ。倉庫にも無線ランを使い、返品、入庫のデータを飛ばす。物流と営業は自社に見合ったパソコンで武装しているのだと明かす。
マーケット・リサーチが進むほど、読者の求める変化が見えてきた。出版はそれにあわせていく必要がある。時代に見合ったものとして『金持ち父さん 貧乏人父さん』を打ち出した。ところが社内でぼろくそに言われたという。しかし、いまシリーズとして250万部以上が売れているのだ。実売率は群を抜いて高い。
バブル崩壊後は、経済成長が鈍化してきたし、再建は厳しくなった。それでも、筑摩書房は再建できた。15年とプラス1年(銀行利子分)で返済が完了できたのだった。
菊池社長は過去の倒産の経験から、借金が年商の3分の1を越えたら危険だという認識を持つ。「原価率の管理はしっかりやっている。コストダウンは常に図っています」。それは出入り業者を泣かすのでなく、一つひとつを見直すことだという。
新書の帯はぜいたくすぎないか。社長車は持たない、秘書は置かない。ハイヤーは使わないし、タクシーにはめったに乗らない。宣伝広告は広告代理店の出物、安い物を漁る。結果として5年間で、1億円のコストダウンが達成できた。
「変化が激しい世の中だから、長期計画は作りません。単年度の事業計画はしっかり作る。そのほうが真剣になる。作文はダメ」。長期計画は退職金などの一部予測コストを押さえておくだけだという。
社内の人事交流は盛んで、それぞれ適性をみて営業と編集の入れ替えをやっている。同時に、編集と営業の交流を進めている。「編集企画会議には営業の担当者を参加させて、マーケットの様子を伝えさせています」と話す。
出版不況の中で、どう生き残るか。各出版社には大きな課題だ。「リストラはやらない。社員が安心して働ける会社づくりが大切」と菊池さんは強調する。
「筑摩書房は早い時期に倒産し、会社更生法の適用を受けた。出版不況を20年まえに経験した。だから、打たれ強い」と語った。
菊池明郎さんは入社試験で、一度は筑摩書房が不採用となった。補欠入社だった。数十年後には生き残りに賭けた社長として、再建に尽くしてきた。人間社会はとかく計算外で動くものだし、それが人生のおもしろさだと思う。【了】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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再建とは体質を変えることだった。これまでは単なる勘で発行部数が決められていた。『マーケティング重視への転換。実売率を高めていく』。菊池さんはそれにこだわった営業システムの確立をおこなったのだ。
人手はかかるが、スリップでデータを取り、分析、解析していた。やがて、POSデータの活用など、きめ細かな営業を推し進めるために、パソコン導入を申請した。PCは稼いでくれないと、社内ではなかなか予算が認められなかった、と当時をふり返る。
マーケティング重視は徹底しているようだ。「システムの開発には金をつぎ込んでいます」。最近では約2000店の書店のデータを解析している。オンラインの受発注システムをも活用している。「地方紙の宣伝効果ひとつをみても、想定していなかった効果ある地方紙が見つかる。その逆もある。ブロック3紙も同様です」と話す。
同業他社に比べ、早くから社内ランを導入し、全員がパソコンを持つ。倉庫にも無線ランを使い、返品、入庫のデータを飛ばす。物流と営業は自社に見合ったパソコンで武装しているのだと明かす。
マーケット・リサーチが進むほど、読者の求める変化が見えてきた。出版はそれにあわせていく必要がある。時代に見合ったものとして『金持ち父さん 貧乏人父さん』を打ち出した。ところが社内でぼろくそに言われたという。しかし、いまシリーズとして250万部以上が売れているのだ。実売率は群を抜いて高い。
バブル崩壊後は、経済成長が鈍化してきたし、再建は厳しくなった。それでも、筑摩書房は再建できた。15年とプラス1年(銀行利子分)で返済が完了できたのだった。
菊池社長は過去の倒産の経験から、借金が年商の3分の1を越えたら危険だという認識を持つ。「原価率の管理はしっかりやっている。コストダウンは常に図っています」。それは出入り業者を泣かすのでなく、一つひとつを見直すことだという。
新書の帯はぜいたくすぎないか。社長車は持たない、秘書は置かない。ハイヤーは使わないし、タクシーにはめったに乗らない。宣伝広告は広告代理店の出物、安い物を漁る。結果として5年間で、1億円のコストダウンが達成できた。
「変化が激しい世の中だから、長期計画は作りません。単年度の事業計画はしっかり作る。そのほうが真剣になる。作文はダメ」。長期計画は退職金などの一部予測コストを押さえておくだけだという。
社内の人事交流は盛んで、それぞれ適性をみて営業と編集の入れ替えをやっている。同時に、編集と営業の交流を進めている。「編集企画会議には営業の担当者を参加させて、マーケットの様子を伝えさせています」と話す。
出版不況の中で、どう生き残るか。各出版社には大きな課題だ。「リストラはやらない。社員が安心して働ける会社づくりが大切」と菊池さんは強調する。
「筑摩書房は早い時期に倒産し、会社更生法の適用を受けた。出版不況を20年まえに経験した。だから、打たれ強い」と語った。
菊池明郎さんは入社試験で、一度は筑摩書房が不採用となった。補欠入社だった。数十年後には生き残りに賭けた社長として、再建に尽くしてきた。人間社会はとかく計算外で動くものだし、それが人生のおもしろさだと思う。【了】
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