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筑摩書房の奇跡の復活。現社長がはじめて全容を明かす。(中)

2007年04月13日07時23分 / 提供:PJ

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筑摩書房の奇跡の復活。現社長がはじめて全容を明かす。(中)
筑摩書房の菊池明郎社長は、再建のターニングポイントを一つひとつ挙げていく。(撮影:穂高健一)
(上)からのつづき。会社更生法が適用されると、従業員の給与は35%カット、ボーナスは2年間ゼロと決められた。再建がはじまると、205人の従業員から希望退職者を募った。手を上げたのは60人。退職金は取次店から売掛金を前借し、対応した。残った140人には資本金7000万円を持ち寄れという。「従業員がよくここまで金を集めたと思います。(実質7350万円)。なにしろ株主には配当ができない金ですから」と菊池明郎さんは話す。

 全国から『がんばれ、筑摩書房』と支援の声が上がった。「伝統ある出版社だったからでしょう。数多くの書店が『筑摩書房フェアー』をやってくれた。それは実にうれしかった」と話す。2年間は編集部にいた菊池さんだが、31歳で業務販売課長として営業に戻った。販売計画書を作った。「なかなか、いい計画だね」と部長がいう。「本来はあんたが考えることだろう」と反発した。当時の自分は生意気だったと語る。

 菊池さんは再建のターニングポイントを一つひとつ挙げた。85年には「ちくま文庫」の創刊があった。それ以前は単行本を出しても、他社に文庫で取られていた。まだ単行本を売っている最中に、他社で安価な文庫になってしまうのだ。「またとられたかと、悲しい思いがしていた」と営業担当の立場で話す。

 社内で『ちくま文庫』の検討がはじまった。オリジナル300冊は文庫として出せる。月5冊としても、5年間はつづくと判断し、文庫出版に踏み切ったのだ。それが正解だった。現在もつづく、大きな柱の一つになったのだから。

 88年には『ちくま文学の森』の成功があった。広告代理店から、朝日新聞の元旦・全五段の広告話しがもちこまれた。空きスペースで安価だった。新聞本誌でなく、折り込み別紙だったが、それに応じた。思いのほか目立つ広告で、大きな反響があった。『ちくま文学の森』は売れた。

 この年には大きな利益が出た。会社更生法が適用されていると、ボーナスは公務員並みの2ヶ月分。それ以上は裁判所が認めてくれなかった。従業員のつらい思いはつづいた。目立つ広告は売れる。そのうえ販売に勢いがつく。この判断の下に、『日本の歴史を読み直す』も大きく打ち出したかった。しかし、社内には消極派がいる。半五段の広告となった。

 営業面のみでは36億円の返済は難しい。固定資産の売却による、負担軽減策が打ち出された。小さな土地を2カ所売った。89年には本社ビルを高値で売却し、台東区蔵前の貸ビルに移った。むろん、それだけでは借金は解消しない。

 社内にはつねに再建途上だからといい、石橋を叩いても渡らない消極派がいた。99年に売り出された赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい)『老人力』は40万部売れた。それすら当初は発行部数が抑えられた。1500円の定価で10万部。売れるとまた10万部。在庫が無くなるギリギリの発行でつないでいた。

 営業は『新書』をやりたい。社内にはうまくいかないという反対意見があった。だが、94年には「ちくま新書」を創刊した。これもターニングポイントの一つになった。現在は文庫2種類、新書2種類で、売り上げの50%にまでなったのだ。【つづく】

■関連項目
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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