講義の風景
 CESA(コンピュ−タエンタ−テインメント協会)は、2005年度より「学生・生徒向け『ゲーム業界』学習講座」を実施している。その2007年度の第一回講座が4月12日に開催された。参加した生徒は福島県郡山市立郡山第四中学校の男子生徒11名。2泊3日の修学旅行の、職業教育コースとして選択したそうだ。ミニテストあり、ビデオ鑑賞ありと凝った趣向だ。興味深いゲーム業界の一端に触れ、誰もが真剣な表情で受講していた。講師はCESA事務局の町谷太郎氏。中学時代はゲーム誌の投稿まで、かつてはデバッガーのアルバイトをしていたほどのゲーム好き。中学生にとってはゲームファンの先輩だ。

 カリキュラムはゲーム業界に関するミニテストから始まる。質問は2005年の家庭用ゲーム機・ソフトウェアの出荷総額とその国内・海外比、2005年に世界でもっとも売れたゲーム機とその台数、2005年に日本と世界でもっとも売れたゲームソフトのタイトルと本数、日本のゲーム参加人口、日本の有料ネットワークゲームの市場規模、表現に関する自主規制関連など多岐にわたる。基礎的な知識とはいえ、中学生にとっては知らなくても恥ずかしくない。しかし筆者も3つしか合わなかった(これは少々問題だ。今月末には2006年のデータが発表される予定とのことなので目を通しておかなければ)。

 続いてCESAの紹介。国内のゲームメーカーが共同で作っている組織、イベント委員会、人材育成委員会など8つの委員会とその役割について説明された。生徒たちは会員企業リストから知っているメーカーを探していた。

 CESAの紹介の次はテストの答合わせ。テストの意味は知識を試すことではなく、テストの答を解説してもらいながら、ゲーム業界の実像を把握してもらうという趣向だ。自分が抱いていたゲーム業界のイメージよりも、遙かな大きな市場規模に生徒たちは驚いていた。

 続いて「ゲームソフトができるまで」というテーマに移る。インベーダーゲームの頃は「ゲームはひとりで作るもの」だった。しかし今は違う。ゲーム制作の現場は分業制であり、町谷氏は生徒ひとりひとりにプロデューサー、プログラマー、グラフィックデザイナーなどの職務を割り当て、ゲーム作りの工程とチームワークを解説した。ゲームの開発費も億円の単位になることを知り、生徒たちは想像も付かないという表情だ。

 引き続き、完成したゲームがショップに並ぶまでの流通ルートを解説。ゲームメーカーがマスターROMをゲームメーカーに納品し、ゲームメーカーが量産する仕組みを紹介。また、生産されたゲームはゲームメーカーには納品されず、そのまま流通へと流れていくと説明した。

 このあと、CESAが開催する東京ゲームショウとCESAゲームアワードについてビデオで紹介。質問コーナーではなぜか「どうしたらゲーム記者になれるのか」という質問も飛び出し、筆者が答えることになってしまった。逆に筆者から中学生に「どんなゲームで遊んでいるか」と聞いてみたところ、オンラインゲームでは「メイプルストーリー」と即答。ゲーム上で知り合った女の子のプレーヤーとクエストを楽しんでいるという。しかし、ゲームを離れてメールやチャットをしているかというと「それは危険な気がしてできない」そうで、なかなかしっかりしている。自分なりに自己防衛する術を身につけたのか、あるいは教育現場でネットワークに関するリスクをきちんと教えているのかもしれない。

 概ね1時間半から2時間でカリキュラムは終了。CESAからポスターなどのお土産を貰い、受付のCESAロゴ前で記念写真を撮影して、生徒たちは帰っていった。昨年はこのようにCESAを訪れた中学生は48校、生徒数は約300人だったそうだ。