精密な完成度を誇った タミヤ『ラジコン』の魅力

自動車、航空機、戦車、船舶などさまざまなラジコンがある。その操縦・改造に燃えたエンジニアも少なくないはずだ。中でも有名メーカーであるタミヤRCへの思いに迫ってみたい。

タミヤとは?

1953年に建築資材の販売から模型専業メーカーとなったタミヤ。プラスチックモデル販売としては後発の会社であったが、 パンサー戦車(※1) で初ヒット。プラモデルにモーターを搭載し、よく走る、組み立てやすい、説明文が丁寧と好評を得る。金型にも力を入れ、初心者にも作りやすく、完成度の高い製品でトップメーカーに躍り出た。
タミヤの星のマークは有名。

RC開発一筋のエンジニアが語る、タミヤ「ラジコン」のこだわり

■ラジコンとの出会い
そもそも私がラジコンの魅力に目覚めたキッカケになったのは、今から30年ほど前にタミヤが出した、初めての本格的電動ラジコンカー「ポルシェ934」でした。
特に衝撃的だったのは、「デファレンシャルギア」。
デファレンシャルギアとは、カーブをスムーズに走行するための重要なパーツで、一本のアクスルシャフト上で成立させるのは、当時としては非常に画期的な技術だったんです。
雑誌に載っていた宣伝写真を眺めるだけではよくわからなかったのですが、実機の、アクスルシャフトが貫通してフリーに回転する右側ベベルギヤとホイールを見て、「これを開発した人は天才だ!」って感動しました(笑)。
それから趣味として長くラジコンにはまり、その流れでタミヤに入ったんです。


■ラジコン開発ならではの苦労とやりがい
タミヤに入社後は、シャーシから駆動系、サスペンションにいたる、ラジコン車体設計の担当をすることになったんですが、ラジコン開発ならではの難しさというと、「すべてのパーツを機能的にバランスよく配置する」ことがまず挙げられます。
とにかくあの小さな個体の中に、モーター・バッテリー・サスペンション・ステアリング機構・タイヤetc……という、大きさも違えば重さも違うあらゆるパーツを、ただ置けばよいというのではなく、干渉を避けながら重心位置や後のメンテナンス性をも考慮してバランスよく組み込む必要があり、そのことで家に帰っても絶えず考えていることもしばしばです。それこそ、ネジ位置ひとつ取ってみても、「この場所でしか絶対に成立しない」というところまで考え抜かれているほどの精密さが、ラジコン開発には要求されます。
それらのパーツは主に射出成形品やプレス品、金属の切削品でできていますが、なるべくコストのかからない構造・形状・材質も常に考慮した上でさらに、ラジコンにとって最も重要な「趣味性」を演出しなければなりません。
つまり、ただ単に機械としての性能が高くなるような設計をすればいいというわけではなく、ユーザーに、いじって楽しく、「自分なりのカスタマイズテクニック」を生かせる余地を残す配慮が必要になってくるわけで、これは一般の自動車開発とは決定的に異なる点です。

ただ実際に、そうした数々のハードルの高い制約をすべてクリアした理想の配置がビシッと決まったときは、とても大きな充実感を得られるんですよ。


■ラジコン開発のこだわりはずばり、「タイヤ」
ラジコン開発に対するこだわりは多々あるんですけど、その中でも特に重視しているパーツのひとつに、車で最も重要な部品の一つである「タイヤ」が挙げられます。
昔のラジコン用のタイヤには、一般的にスポンジ製のものが使用されていたんです。
確かにスポンジ製は軽くてグリップ力が高いので、特に小さな車体で高速走行するラジコン用には最適な素材ではあるんですが、スポンジであるが故、路面との摩擦による消耗が激しく、また、濡れた路面の走行には適さないというデメリットがありました。

それで、発泡していないソリッドなゴム製のタイヤに着目したんですが、やはりスポンジ製に比べるとグリップ力に難があるんです。
そこで私は、「スーパースリックタイヤ」というグリップ力の高いタイヤを新しく開発しました。使用されているのは、消耗の少なさと摩擦係数の高さを両立した特殊な素材で、磨耗粉を嫌うコピー機の紙送りローラーに使用されていたものをアレンジしたんです。

それによってゴム製タイヤとは思えないほど性能は上がったんですけど、さらに一歩進んで先述したパーツの配置を工夫した結果、TA03Fという車では重いモーターを車体の一番前に配置して重心位置を最適化し、前後輪とも同じ幅・同じ材質のタイヤをはいても安定して走れるようになりました。これって今では当たり前のことですけど、前後タイヤの組み合わせで悩むことがなくなるため、当時はかなり画期的なことだったんですよ(笑)。


■ 今後の目標・夢・メッセージ
今後はよりユーザーにとって、今より低コストで簡単に、ラジコンの走行はもとよりカスタマイズやメンテナンスができるように設計に工夫を凝らしていきたいと思っています。なぜなら現代はラジコン以外にも魅力ある趣味はたくさんありますし、経費や整備の手間の関係で、ラジコンが敬遠されるようなことがあってはほしくないと願うからです。

最近の子供は「モノづくり」に携わる経験が圧倒的に不足していると思うんですが、そういう意味において「ラジコン」は、自分の場合もそうであったように、メカニック的な技術を養う最高の教材なんです。
だからこそラジコンを通して、一人でも多くいいエンジニアに育ってほしいと思うし、できたらその中から私と同じように、ラジコン開発の醍醐味を共有できたらと願ってます。

サイトでは<タミヤ『ラジコン』がエンジニアの生き方にどのように影響したか?>をテーマに座談会の模様を掲載中
 :
 :
この記事の続きは[livedoor キャリア]で


■関連リンク
livedoor キャリア
高性能技術への飽くなきこだわり ソニー『ベータ』の魅力
『資格』を取るのはお金のため?スキルアップのため?
自分と比較!もしエジソンが29歳でレジュメを書いたら
【面接対策】面接になると緊張してしゃべれない人は必見!
【面接必勝法】情報を活かすことができるかが合否のポイント