敵地での第1戦を、ヴァン・ブイテンのロスタイムでの劇的なゴールにより引き分けとしたことで、圧倒的有利の状態でホームに帰ってきたバイエルン。2戦目では、出場停止処分の解けたGKカーン、MFファン・ボメルが登場することもあって、好材料はさらに増したとされていたが、その一方で攻撃面の要のひとりであるシュバイシュタイガーを負傷で欠いた他、ルシオ、サリハミジッチ、ハーグリーブスも完調でないという、不安点も存在していた。

とはいえ、ホームチームは序盤、ミランを攻め立てる。中盤を掌握したことでペースを握り、8分にはオットルのヘッドがGKジダの頭上を越えたが、これはDFオッドによってライン上でクリアされた。さらには、ポドルスキー、マカーイらが惜しいシュートを放つなど、バイエルンは徐々に先制ゴールに近づいていた。

ところが、これで前がかりになると、バイエルンは守備面で綻びを見せはじめ、ミランは攻撃のためのスペースを得られるようになる。カカやセードルフらテクニックに長けた選手は、自由に動ける余裕を与えられ、そこから27分、セードルフがDFをかわしてのミドルで先制弾を突き刺した。

このころから、ミランはMFガットゥーゾの奮闘もあって中盤の主導権を奪い返していた。そして30分、中盤のダイレクトのパスワークから、セードルフがヒールで前線に出したボールは、フリーのインザーギに渡る。オフサイドか否か、微妙な位置ではあったが、彼は迷わず右足を振り抜き、大きな2点目をアウェーチームにもたらした。

これ以降、ミランが2点を守る戦いにシフトチェンジしたこともあって、ボール支配率では明らかにバイエルンが上回るものの、まったく衰えることのない運動量を誇るガットゥーゾの中盤での守備、マルディーニ、ネスタの最終ラインでの奮闘の前に、バイエルンはゴールを奪うための、力強さとアイデアに欠けた。

互いにホームゲームで痛い思いをした準々決勝は、試合運びの巧みさで、ミランに軍配が上がった。