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【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著(上)

【PJ 2007年04月11日】− とにかくマスメディアが機能しなくなっていることを論じているのはタイトルの示す通り。特に著者のひとりの森達也氏は、テレビ局の下請けの番組制作会社勤務からフリーのディレクターとなってドキュメンタリーなどの番組制作に携わり、フジテレビなどと仕事をしていたという経歴の持ち主で、業界の内部事情にも詳しいようだ。

 テレビ局の正社員は高給取りのエリートで、始めはそれなりの心意気があろうもののマンネリ化して保身に走るようになる。その結果、要するに「事勿れ」主義になっているのが現状らしい(官僚と同様の既得権益の死守ということか)。よって不祥事だけは起こしたくないし、そして自分の乗っかっている船(会社組織)が安泰であることを願う。

 だから権力に逆らうような記事を書いてお上からクレームが付くようなことはなるべくしたくないし、一般視聴者から抗議が殺到するような記事も書きたくない。記者クラブも同じで、だから何の質問もせず、発表内容をそのまま横流しするような単なる広報に成り下がっているというわけだ。

 視聴者への迎合、それを端的に表したのが視聴率至上主義だ(新聞の場合は販売数)。視聴率が高く、抗議がこなければそれは視聴者に支持されていると解釈する。だから視聴率稼ぎは単なるスポンサーへの奉仕だけではなくて、世論の声に支えられているという「心の拠り所」にしているというわけだ。

 「世論をマスメディアが扇動する」という弊害を森巣博氏は糾弾するが、森達也氏のほうはそれはマスメディアと民意との共同正犯であると主張する。民意が支持するから「あなた好みの報道になっている」というわけだ。くだらない番組と言われても視聴率が高いということは多くの視聴者がそれを望んでいるからではないかと。卵が先か鶏が先かということか。

 結局、その悪循環を断ち切る方法は、マスメディアが視聴率主義を捨てて信念(それが正しいかどうかはまた別な問題)を貫くこと、さもなければ民意(の一部が)がきちんと抗議することしかない。マスメディア側は抗議されること、支持されないことを一番恐れているのだから(繰り返すが、それが彼らの心の拠り所だから)。だからこそ市民記者がマスメディアの立場からではなくて、民意の立場から抗議し続けることに意義があるのだ。【つづく】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 和田 牧夫【 東京都 】
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