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筑摩書房の奇跡の復活。現社長がはじめて全容を明かす。(上)

2007年04月11日10時03分 / 提供:PJ

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筑摩書房の奇跡の復活。現社長がはじめて全容を明かす。(上)
筑摩書房の菊池明郎社長。筑摩書房の復活について語る。東京・文京区の男女平等センターで。(撮影:穂高健一)
出版不況といわれる現在、倒産(会社更生法の適用)から立ち直った筑摩書房に対して、世間の関心が高まっている。筑摩書房の菊池明郎社長(60)は公の場で、倒産から復活まで語ったことはまずなかった。業界の経営者の集まりで、経営の参考としては2、3度軽く触れた程度だった。

 「筑摩書房は完全に自立できました。歳月も経ってきたことだし、辱や恥部をさらけ出すことに、いまやためらいはない」と全容を語ったのは、『本の会』(代表:大出俊幸さん、新人物往来社)が主催した、3月度の講演会だった。場所は東京・文京区の男女平等センターで定員20人。出版関係者、新聞などの活字媒体のマスコミ関係者が多く出席し、立ち見席すら不足ぎみだった。

 講演のテーマは『筑摩書房はどのようにして復活したのか、倒産30年の軌跡』だった。筑摩書房はなぜ倒産したのか。菊池社長はずばり、「当時の社長が労働組合を極度に恐れ、ボーナスなどを大盤振る舞いしていた。放漫経営と呼ばれる状態がつづいたからです」と明瞭に語った。

 筑摩書房の創業は1940(昭和15)年6月だった。東京帝国大学出の古田晃(あきら)さんが大戦前に創立した。『損をしてもいいから、良い本を出そう』が創業精神で、高級な文学書などを出版していった。戦後は月刊誌『展望』や全集(『現代日本文学全集』、『太宰治全集』、『定本柳田国男集など)、筑摩叢書などを刊行してきた。

 他方で、何度も経営ピンチを迎えた。危機を迎える都度、古田社長が山を売る、林を売って赤字を補填してきた。つまり、創業者の私財に寄りかかりってきたのだという。

 菊池さんは46年4月に筑摩書房に入社した。すんなり採用の入社ではなかった。就職活動の折、平凡社など片っ端から出版社を受験したが、すべて不採用だった。筑摩書房からも不採用の通知をもらっていた。出版関係は諦め、他業界に就職を決めていた。

 ある日、筑摩書房から呼び出しを受けた。内定者のひとりが辞退したからといい、補欠採用となったのだ。入社後は営業畑だった。やがて、労働組合の三役のひとりになった。経営の実態をみる機会を得たのだ。

 社長は、二代目以降はみなサラリーマンだった。会社が傾くと、緊急出版だといい、全集を焼きなおしで売り出す。全集ブームに乗り、儲かると、ボーナスは大盤振る舞いする。「そんなにもボーナスを出したらダメですよ。会社がおかしくなりますよ」と、労組執行部の菊池さんが社長を諌めたほどだった。むろん、聞き入れてくれなかった。

 1冊5万円もする医者向け書籍を120巻も売り出す。営業の菊池さんは売りに歩かされた。とても売れるものではなかったという。『企画が大雑把で、このままやっていると、筑摩はつぶれる』と思った。それはまさにマーケッティング不在の経営だったと語る。

 会社更生法の申請は78年7月12日だった。TVカメラの前で、経営者が頭を下げて謝罪した。菊池さんが入社7年目のことだった。「労働組合はたしかに強かった。しかし、労務倒産というよりも、組合の顔色を見てばかりの、経営不在の倒産だった」と菊池さんは分析するのだ。

 約4カ月後の11月15日に会社更生法の適用が認められた。借金は36億円で確定した。つまり、筑摩書房が16年間で36億円を支払えると裁判所が判断したのだ。会社の売上げは年率6%で成長していくという前提だった。「高度成長期の試算であり、いまならば震え上がる」と菊池さんは話す。【つづく】

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記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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