日本を含めさまざまな国のゲームクリエイターが登場した
 オーストラリア初のゲームイベント「GO3」では、カンファレンスとしてクリエイターを招いた講演会が催された。海外各地のクリエイターが招かれ、ゲームに対する様々な発表を行ったのだが、特徴的だったのが日本と海外のクリエイターの講演会に対するスタンスだ。

 日本のゲーム制作者で招かれたのは、キューエンタテインメントの水口哲也氏、グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏、七音社の松浦雅也氏、そしてコナミデジタルエンタテインメント小島プロダクションの小島秀夫監督。彼らはいずれも自らの個性を発揮して、オリジナルのゲームデザインをすることで知られている人物ぞろいである。

 対して、海外のゲーム制作者として招かれたのは、「Gears of War」でおなじみのEPIC GAMESのRod Fergusson氏、「ハンゲーム」で人気を集めるNHNのYoo Hee Dong氏、スウェーデンのゲーム開発会社Massive EntertainmentのNicklas "Cece" Cederstrom氏、北米のゲームパブリッシャーMidwayのHarvey Smith氏、グラフィックボードメーカーNvidiaの飯田慶太氏、テクニカルアーティストのLee Sandberg氏、マイクロソフトのNic Fillingham氏らである。

 比較するわけではないが、日本のゲーム制作者の講演は自らの経歴と、各タイトルにおけるゲームデザインの変遷を語っているのに対し、海外のゲーム制作者は、やや客観的。プロデュースや技術論として講演を行った。観客が求めているのは日本のゲーム制作者の作風や精神性、オリジナリティであり、海外のゲーム制作者からは技術、情報、スキルであるかのような印象を受けた。もちろん、これはあくまで印象であり、細部を見れば例外もあるだろう。だが、これほどにまではっきり浮き彫りになる機会も珍しい。

 なお、発表では任天堂で『マリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』の音楽を手がけてきた近藤浩治氏の講演も予定されていたがキャンセルとなった。今回は残念だったが、まだまだ「GO3」が発展の余地のあるイベントであることがある。今後の展開に期待したい。

 さて、ここでは日本人講演者の講義の内容をざっと追いかけてみよう。まずは『ルミネス』『メテオス』『Rez』などで知られる、水口哲也プロデューサーの講演である。

 水口氏はゲームの制作を刺激するインスピレーションについて、過去の経歴を振り返りながら語った。

 「私がゲームで大事だと思っているのは『コール&レスポンス』です。問いかけに対する、音声や映像のシンプルな返答こそが、FUN(面白さ)を生みだすのです。そこで、であったのが出会ったのがパフォーマンスグループSTOMPです。家具やあらゆるものを楽器にして、ダンスミュージカルを演じるSTOMPを見て、ミュージカルを題材にしたゲームを作ろうと思いました。それが『スペースチャンネル5』です。私は『コール&レスポンス』の面白さを追求するために『スペースチャンネル5』の開発中に、スタッフ全員で毎週パントマイムのワークショップをしました。どのようにグルーヴを生み出すか。どのように面白さを生み出すか。どのようにラブが生まれるのかを研究したのです」

 リズムにあわせて人々がダンスするハッピーなリズムゲーム『スペースチャンネル5』にはアーティストのマイケル・ジャクソンが参加している。こういった大胆なコラボレーションも水口作品の特色だ。

 「私は17年間のゲーム開発者の経歴がありますが、今後ゲームはどうなるだろうと考えることがあります。10年後は? 20年後は? 30年後は? 私はゲームはメディアに近づいていくのではないかと思っています。スポンジのように、映画、音楽、エンタテインメント……それらをつなげるテクノロジーこそがゲームなのです」