【photo/B.O.S.】

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 昨季の決勝トーナメント1回戦の結果(2戦合計5−1でミラン勝利)だけでなく、バイエルンがGKカーン、MFファン・ボンメルというふたりの主力を出場停止で欠いたこともあって、戦前はホームチーム圧倒的有利と予想されていた。弱体化が懸念されたバイエルンに対し、ミランは守備の要であるネスタが完全復帰。アンチェロッティ監督が最も好む4−3−2−1システムで、地元サン・シーロでの必勝を誓った。
 
 ともに慎重なプレーに終始する中、最初のチャンスはバイエルンがつかみ、シュバイシュタイガーが惜しいシュートを放ち、FWオットルも後に続く。対してミランは、負けじとばかりにジラルディーノ、アンブロジーニがゴールを襲うが、ヂダ、レンジングら両GKの好守などによって得点には至らない。
 
 しかし前半40分、ミランはゴール前まで上がった中盤の要、ピルロが巧みなヘッドでレンジングの頭上を破って先制。リードを得て後半を迎えることとなった。
 バイエルンは攻撃が単発で、ファン・ボンメル不在の影響は否めず、ネスタ、マルディーニのミラン最終ラインをなかなか崩せない。もっとも、ミランもワントップのジラルディーノにボールがなかなかつながらないために組織が機能せず、カカら個人技に頼る攻撃に終始するしかなかった。
 
 ミランが1点を守ることに意識を置いたせいか、両チームにゴールの予感が感じられない後半だったが、ボール支配率で上回るバイエルンの努力が、後半33分になってようやく実る。ゴール前の混戦からDFヴァン・ブイテンが押し込んだ。
ここから試合は動き出した。
 
 ホームでの失点でまずい状況に追い込まれたミランだが、39分にカカがルシオに倒されてPKを得る。戦前にバイエルンは、主審の判定について不安を覗かせていたが、それが現実になったとも言える、微妙な判定だった。カカはレンジングの逆を突き、ミランが突き放した。
 
 バイエルンにとっては、アウェーでの1得点が唯一の収穫になると思われたロスタイム、しかし再び、ヴァン・ブイテンが角度のない位置から巧みなボールコントロールでGKヂダを破り、よもやの同点劇。あらゆる困難や不運を乗り越えて、勝利に近い結果を土壇場で手に入れた。
 
 対してミランにとっては、まさに悪夢のようなエンディング。すっかり、立場のまずくなったアンチェロッティ監督が、勝利だけが求められる第2戦に向け、この1週間でいかに修正を施すかが注目される。