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【よこ顔】『地球丸ごと高齢者社会』を語る=樋口恵子さん(上)
2007年04月03日09時43分 / 提供:PJ
【PJ 2007年04月03日】−
第二次世界大戦が終わり、数百万の兵士が戦地から自宅に帰ってきた。46年からはベビーブームとなった。これら世代が成人し、高度成長期の一翼を支えてきた。団塊の世代とよばれ、この4月から退職していく。このさき老齢者の比率が急増し、わが国はいよいよ高齢化社会に突入する。いかなる高齢化社会をめざすか、重要な政策課題の一つ。
わが国の介護保険成立は90年代最大の成果といわれている。樋口恵子さんは介護保険制度の結実に最も寄与した人物。他方で、地球規模で高齢化が進んでいる。シニア問題の国際会議でも活躍する樋口恵子さんだが、このたび単独インタビューに応じてくれた。
樋口さんは40歳代からバリバリの著名な評論家だった。高齢者問題に目をむけた動機から、まず聞いてみた。「そのころ母親を亡くしました。私は一人っ子でしたから、この問題が身近に感じていました。78年の厚生白書が『同居率の高さは日本の含み資産』と書いていました。同居率が高ければ、家族だけで介護可能、と考える極楽トンボぶりには怒りを覚えました」と語った。国家、社会から見ると、女性を一つの装置にしかみていなかったのだ。最近問題になった、『女は子を産む機械』という認識とつながるものだという。
70年代の日本は親との同居率が約8割だった。欧米では10%前後。女性が40歳代、50歳代になると、『老いた親の介護』という問題に突き当たる。『男は仕事、女は家庭。長男の嫁が親を看る』という状況下にあった。仕事を持つ女性は職場に未練を残して、親の介護のために退職していく。となると、給料が入らない。社会保障の権利も不満足なものになる。
親の徘徊、便の始末、身の回りの世話で、心身とも疲れ果てる。親の介護疲れから、心中や殺人など悲惨な事件があちらこちらで起きていた。それでも、『親の介護の辛さを口にするのは、悪い嫁だ』という風潮があった。世の男性はまだ介護への認識が低かった。
女性は平均年齢からして、男性よりも長生きをする。一人暮らしの老後がかつての早期退職により、充分な社会保障が受けられず、貧しいものになる。悪循環があった。樋口さんは中央社会福祉審議会で、40歳代の唯一の女性委員だった。女性が抱える、こうした高齢者問題の解決を提起していた。しかし、男性委員から満足な賛同が得られず、メイン・テーマにならなかった。
82年には老人問題シンポジウム『女の自立と老い』が開催された。83年には『高齢化社会をよくする女性の会』が誕生し、50歳になった樋口さんが代表になった。この会は力のある提言団体として、介護保険制定への強い牽引力となったのだ。マスコミが注目し、介護問題を取り上げはじめた。嫁の方が介護する親よりも先に倒れてしまう『介護地獄」が社会問題としてクローズアップされてきたのだ。「マスコミの後押しがつよい味方になり、介護保険制度の導入へと一気に進みはじめました」と語る。
樋口さん自身も90年代に介護保険策定に参画し、法律の成立をみた。オランダ、ドイツに次ぐ、三番目のものだった。「女性がしっかり発言すれば、良い高齢社会につながります。真っすぐな気持ちで訴えました。真実だから、伝わったのです」と樋口さんは話す。【つづく】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
PJニュース.net
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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わが国の介護保険成立は90年代最大の成果といわれている。樋口恵子さんは介護保険制度の結実に最も寄与した人物。他方で、地球規模で高齢化が進んでいる。シニア問題の国際会議でも活躍する樋口恵子さんだが、このたび単独インタビューに応じてくれた。
樋口さんは40歳代からバリバリの著名な評論家だった。高齢者問題に目をむけた動機から、まず聞いてみた。「そのころ母親を亡くしました。私は一人っ子でしたから、この問題が身近に感じていました。78年の厚生白書が『同居率の高さは日本の含み資産』と書いていました。同居率が高ければ、家族だけで介護可能、と考える極楽トンボぶりには怒りを覚えました」と語った。国家、社会から見ると、女性を一つの装置にしかみていなかったのだ。最近問題になった、『女は子を産む機械』という認識とつながるものだという。
70年代の日本は親との同居率が約8割だった。欧米では10%前後。女性が40歳代、50歳代になると、『老いた親の介護』という問題に突き当たる。『男は仕事、女は家庭。長男の嫁が親を看る』という状況下にあった。仕事を持つ女性は職場に未練を残して、親の介護のために退職していく。となると、給料が入らない。社会保障の権利も不満足なものになる。
親の徘徊、便の始末、身の回りの世話で、心身とも疲れ果てる。親の介護疲れから、心中や殺人など悲惨な事件があちらこちらで起きていた。それでも、『親の介護の辛さを口にするのは、悪い嫁だ』という風潮があった。世の男性はまだ介護への認識が低かった。
女性は平均年齢からして、男性よりも長生きをする。一人暮らしの老後がかつての早期退職により、充分な社会保障が受けられず、貧しいものになる。悪循環があった。樋口さんは中央社会福祉審議会で、40歳代の唯一の女性委員だった。女性が抱える、こうした高齢者問題の解決を提起していた。しかし、男性委員から満足な賛同が得られず、メイン・テーマにならなかった。
82年には老人問題シンポジウム『女の自立と老い』が開催された。83年には『高齢化社会をよくする女性の会』が誕生し、50歳になった樋口さんが代表になった。この会は力のある提言団体として、介護保険制定への強い牽引力となったのだ。マスコミが注目し、介護問題を取り上げはじめた。嫁の方が介護する親よりも先に倒れてしまう『介護地獄」が社会問題としてクローズアップされてきたのだ。「マスコミの後押しがつよい味方になり、介護保険制度の導入へと一気に進みはじめました」と語る。
樋口さん自身も90年代に介護保険策定に参画し、法律の成立をみた。オランダ、ドイツに次ぐ、三番目のものだった。「女性がしっかり発言すれば、良い高齢社会につながります。真っすぐな気持ちで訴えました。真実だから、伝わったのです」と樋口さんは話す。【つづく】
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