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【よこ顔】これぞ夫婦愛、市民ランナーを支える妻=平沢のり子さん(下)

【よこ顔】これぞ夫婦愛、市民ランナーを支える妻=平沢のり子さん(下)
優勝争いから落ちた平沢直樹さんだが、全力を尽くしたゴール。消防署の救急隊員から、大丈夫ですか、と声をかけられた。(撮影:穂高健一、18日) 写真一覧(2件)
【PJ 2007年03月31日】− (中)からのつづき。07年度・荒川市民マラソン大会では、TV映像車が巨大なデジタル画面で、レース情報を流しつづけていた。平沢のり子さん(埼玉県所沢市、29)はゴール付近で、夫の直樹さんを待つ。折返し地点まで、夫の直樹さんはトップを走っていた。

 『三度目の正直』という諺がある。夫は雪辱へのつよい執念で走っている。直近の大会では、06年10月の弘前・白神アップルマラソンで三連覇している。5カ月後だから、のり子さんの期待度にも高いものがあった。

 ゴールしてくる前に、フルマラソン18回優勝の夫を語ってもらった。「これぞ、と決めた大会では、その一点に向かって進む、集中力と気迫はすごい、と思います。数日前から、神経がビリビリしています」と話す。他方で、夫が優勝する都度、「よっしゃー、やったー、と心のなかで叫びます」という。

 優勝できないレースもある。「レース展開の落ち度を語とき、愚痴の聞き役に徹しています。ただ何日もグジクジしていると、いい加減にしろよ、だったら止めちまえ、と突き放してカツを入れます」と夫唱婦随の呼吸を語るのだ。

 直樹さんの実父の平沢吉雄さん(65)からも、話しが聞けた。「今年は、レースのコース地図を用意しています。昨年度のことがありますからね。なにかアクシデントがあれば、すぐ駆けつけられるように」とそれを見せてくれた。「息子は優勝回数をずいぶん重ねてきた。もう無理するな、完走狙いでいい、という気持ちです」とつけ加えていた。

 トップ・ランナーが35キロ地点にもどってきた。ゴールへの両側には大勢が集まる。各ランナーがライトスパートをかける、ゴール手前の約400メートル地点。そこにはのり子さんの姿があった。『ラスト、がんばれ』と声援を送るには最適の場所らしい。

 ふたりのランナーがゴールにむかってトップを争っている。デッドヒートだ。優勝テープを切ったのは柿沼貴樹さん。4秒差で藪下大雄さんだった。3位からも平沢直樹さんの姿はなかった。さらに6位入賞のランナー、10位のランナーと続く。疲労困憊の姿でたどり着いたランナーがいた。平沢直樹さんで、15位だ。消防署の救急隊員が声をかけてきたほどだ。

 観客席では、のり子さんが夫をじっと見ていた。足取りが戻った直樹さんが歩み寄った。のり子さんが先に声をかけた。「2位のランナーに、平沢がんばれー、てめぇ抜かせー、と声をかけたら別の人だったじゃない」と顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

 2位入賞の藪下さんと体形は違うし、ゼッケンも違う。毎日顔を合わせる夫と、別人と、なぜ見間違ってしまったのか。のり子さんには、夫は優勝すると信じて疑わない、強い想いがあった。ランナーが確認できる前に、興奮して我を忘れていたのかもしれない。

 「追い風の折返し地点まで、ハイペースでレースを引っ張り強敵の消耗戦を図った、作戦通りだった。最後はこっちの足が動かず、ジョギングになってしまった」と直樹さんが冷静な口調で分析して聞かせていた。「引退したら」と冷たくいったのり子さんだが、ごく自然に夫の手を握りしめていた。

 「また来年も挑戦する」と小声で言った。直樹さんのことばには、荒川への執念が感じられた。のり子さんが導くように、夫婦は肩をならべて歩きはじめた。いつしか『のり子大好き』のゼッケンが、夫婦の原点・荒川で輝くときがくるだろう。【了】

■関連情報
平沢直樹さんHP
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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『息子にアクシデントあれば、今度はすぐに駆けつけられる』と平
   
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