あるある納豆ダイエット問題、ボイスオーバーに関する調査委員会の報告
2007年03月30日07時09分 / 提供:PJニュース
関西テレビの「発掘!あるある大事典II」(フジテレビ系)問題に関して、外部有識者でつくる調査委員会(委員長・熊崎勝彦元東京地検特捜部長)の調査報告書が、このほど関西テレビのHP上で公表された。調査報告書では、同社が今年1月7日に放送した「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」について、「納豆ダイエット回におけるねつ造などの問題点の検討」として、約20ページ(P41〜P64)にわたり、発覚の経緯、問題箇所、捏造等箇所の特定とその概要などが検証され、アメリカの大学教授のボイスオーバーに関する報告もあった。
調査委員会によるボイスオーバーに関する主要箇所、以下抜粋。
発覚の経緯
放送後、週刊誌の取材における指摘をきっかけに、関西テレビの内部調査が開始された。
問題箇所(問題箇所の内容・根拠)
1、ダイエットに成功したとする3人の写真は、番組で紹介した実験とは無関係であった。
2、F1教授のインタビューでなされているボイスオーバーの内容は、実際には発言していないものであった。
3、被験者の8名のうち2名の中性脂肪値が減少したとし、数字をテロップで出していたが、実際にはコレステロール値、中性脂肪値、血糖値の測定は行っていなかった。
4、納豆を2パックまとめて食べた場合と、朝晩にわけて2パック食べた場合との血中イソフラボン量の比較をグラフで表していたが、血中イソフラボンの測定は行っておらず、比較結果は架空のものであった。
5、体内のDHEA量は20代をピークに減少するとして、22歳、25歳、37歳のDHEA量を測定したとする結果を表示していたが、採血はしたものの実際はDHEA量測定の検査は行っていなかった。
6、番組で紹介されていたアメリカのダイエット研究は、F1教授のものではなく、ワシントン大学のF3教授のものであったこと
アメリカの大学教授に関する報告
F1教授の発言
番組では、F1教授が、「DHEAに高いダイエット効果があると確認できたんです。」「日本の方々にとっても身近な食材で、DHEAを増やすことが可能です!」「体内のDHEAを増やす食材がありますよ。イソフラボンを含む食品です。なぜならイソフラボンは、DHEAの原料ですから!」と発言したとある。
だが、取材テープに残された実際のF1教授の発言は、1)ネズミの実験においては、DHEAを投与することにより体重が減ったが、人間でそのような体重の減少効果があるかどうかはわからないこと、2)体重減少効果を生むためには、DHEAの一定量の摂取が必要であるが、人間の体内でDHEAは男性ホルモンに変異し、その男性ホルモンは善玉コレステロールを破壊するので、人間がDHEAを摂取することは薦められないこと、3)イソフラボンがDHEAを増やすことはないことなどというものであり、番組のボイスオーバーによって語ったような発言はなく、その部分は捏造である。
研究主体の誤認惹起について
番組の構成上、アメリカのダイエット研究の紹介部分で、ワシントン大学のF3教授の研究が、あたかもテンプル大学のF1教授が行った研究であると視聴者に受け取られてしまうおそれのあるものとなっている。
納豆のダイエット効果について
「DHEAには痩せる効果がある」→「イソフラボンを摂取するとDHEAが増える」→「納豆にはイソフラボンが含まれている」という三段論法が、納豆のダイエット効果の論拠となっている。しかし、イソフラボンを摂取するとDHEAが増えるという点については、学術的に賛否両論があり、メカニズムも不明である。また、取材においても、イソフラボンを摂取するとDHEAが増える旨の放送可能なコメントを専門家から得ることができなかった。
F3教授の論文について
DHEAには痩せる効果があるという点については、確かにF3教授の論文があるが、それは、「Effect of DHEA on abdominal Fat and Insulin Action in Elderly Women and Men」(高齢者における腹部肥満及びインシュリン作用へのDHEAの効果)と題するものであり、観察対象が高齢者に限定されている内容であった。
また、テンプル大学のF1教授の研究も、確かにDHEAが肥満解消に一定の効果を有している旨のものであるが、あくまでマウスでの実験にとどまっている。したがって、上記三段論法は、科学的にはいまだ人間一般に適用されるべきものではないと考えられるが、もし仮に、人間への適用が可能であったとしても、その場合は、番組中にその旨を主張する専門家等のデータやコメントを使って示すべきであり、今回の番組のように、この点に否定的な教授のコメントをボイスオーバーなどの手法によって捏造するなどということは論外というべきである。
F3教授への取材について
米国在住のD3コーディネーターは、インターネットを通じ、上記DHEAの研究者がワシントン大学のF3教授であることを探し出し、その研究論文の原文をウェブサイトからダウンロードし、アジトにファックス送信した。その後、同教授に電話して、DHEAを含む食物の摂取によって痩せる、という番組趣旨を説明し、取材協力を依頼した。しかし、同教授は、「被験者がDHEAを摂取したのは、50ミリグラムのサブリメントの形である」「痩せるメカニズムは不明」「大豆や納豆に含まれるイソフラボンの摂取によってDHEAが人間の体内に作られるかどうかわからない」等と語る一方、「カメラ・シャイ(恥ずかしがり屋)なので、テレビカメラによるインタビューはお断りしたい」と言った。
F1教授への取材について
米国在住のD3取材コーディネーターはインターネット検索を続け、平成18年11月27日、もう1人のDHEA研究者として、フィラデルフィア市にあるテンプル大学のF1教授を探し出した。その研究データをダウンロードし、C1ディレクターにファックスするとともに、それを読んでわかったこととして、「しかし、1つ困るのは、人間で実験したのではなくネズミなのです」と書き添えた。
C1ディレクターが米国取材に出発したのは平成18年12月5日、帰国は8日である。テンプル大学があるフィラデルフィアに夜到着し、翌日にF1教授を取材したあと、街の実景やインタビューに向かう自分自身の様子を撮影し、翌々日の早朝には帰国便に乗る、という強行軍だった。小型ビデオカメラを持参し、C1ディレクター自身が撮影した。
取材テープを確認すると、D3コーディネーターがF1教授の言葉を何とか通訳しようと努力しているさまはうかがえるものの、専門的内容や用語でつまずき、あちこちで要領を得ない通訳になっている。また後半、C1ディレクターは、(納豆に含まれる)イソフラボンがDHEAを増やすかどうか、F1教授に繰り返し訊ねている。しかし、教授の答えは、そういうことはない、というものだった。後の編集段階において、F1教授のこうした発言は、逐語対訳が作成されることもないまま、たんなる映像として使われ、そこにC1ディレクターが番組の都合に合わせて捏造した台詞がボイスオーバー処理によってつけられることになる。【了】
■関連情報
PJニュース.net
調査委員会によるボイスオーバーに関する主要箇所、以下抜粋。
発覚の経緯
放送後、週刊誌の取材における指摘をきっかけに、関西テレビの内部調査が開始された。
問題箇所(問題箇所の内容・根拠)
1、ダイエットに成功したとする3人の写真は、番組で紹介した実験とは無関係であった。
2、F1教授のインタビューでなされているボイスオーバーの内容は、実際には発言していないものであった。
3、被験者の8名のうち2名の中性脂肪値が減少したとし、数字をテロップで出していたが、実際にはコレステロール値、中性脂肪値、血糖値の測定は行っていなかった。
4、納豆を2パックまとめて食べた場合と、朝晩にわけて2パック食べた場合との血中イソフラボン量の比較をグラフで表していたが、血中イソフラボンの測定は行っておらず、比較結果は架空のものであった。
5、体内のDHEA量は20代をピークに減少するとして、22歳、25歳、37歳のDHEA量を測定したとする結果を表示していたが、採血はしたものの実際はDHEA量測定の検査は行っていなかった。
6、番組で紹介されていたアメリカのダイエット研究は、F1教授のものではなく、ワシントン大学のF3教授のものであったこと
アメリカの大学教授に関する報告
F1教授の発言
番組では、F1教授が、「DHEAに高いダイエット効果があると確認できたんです。」「日本の方々にとっても身近な食材で、DHEAを増やすことが可能です!」「体内のDHEAを増やす食材がありますよ。イソフラボンを含む食品です。なぜならイソフラボンは、DHEAの原料ですから!」と発言したとある。
だが、取材テープに残された実際のF1教授の発言は、1)ネズミの実験においては、DHEAを投与することにより体重が減ったが、人間でそのような体重の減少効果があるかどうかはわからないこと、2)体重減少効果を生むためには、DHEAの一定量の摂取が必要であるが、人間の体内でDHEAは男性ホルモンに変異し、その男性ホルモンは善玉コレステロールを破壊するので、人間がDHEAを摂取することは薦められないこと、3)イソフラボンがDHEAを増やすことはないことなどというものであり、番組のボイスオーバーによって語ったような発言はなく、その部分は捏造である。
研究主体の誤認惹起について
番組の構成上、アメリカのダイエット研究の紹介部分で、ワシントン大学のF3教授の研究が、あたかもテンプル大学のF1教授が行った研究であると視聴者に受け取られてしまうおそれのあるものとなっている。
納豆のダイエット効果について
「DHEAには痩せる効果がある」→「イソフラボンを摂取するとDHEAが増える」→「納豆にはイソフラボンが含まれている」という三段論法が、納豆のダイエット効果の論拠となっている。しかし、イソフラボンを摂取するとDHEAが増えるという点については、学術的に賛否両論があり、メカニズムも不明である。また、取材においても、イソフラボンを摂取するとDHEAが増える旨の放送可能なコメントを専門家から得ることができなかった。
F3教授の論文について
DHEAには痩せる効果があるという点については、確かにF3教授の論文があるが、それは、「Effect of DHEA on abdominal Fat and Insulin Action in Elderly Women and Men」(高齢者における腹部肥満及びインシュリン作用へのDHEAの効果)と題するものであり、観察対象が高齢者に限定されている内容であった。
また、テンプル大学のF1教授の研究も、確かにDHEAが肥満解消に一定の効果を有している旨のものであるが、あくまでマウスでの実験にとどまっている。したがって、上記三段論法は、科学的にはいまだ人間一般に適用されるべきものではないと考えられるが、もし仮に、人間への適用が可能であったとしても、その場合は、番組中にその旨を主張する専門家等のデータやコメントを使って示すべきであり、今回の番組のように、この点に否定的な教授のコメントをボイスオーバーなどの手法によって捏造するなどということは論外というべきである。
F3教授への取材について
米国在住のD3コーディネーターは、インターネットを通じ、上記DHEAの研究者がワシントン大学のF3教授であることを探し出し、その研究論文の原文をウェブサイトからダウンロードし、アジトにファックス送信した。その後、同教授に電話して、DHEAを含む食物の摂取によって痩せる、という番組趣旨を説明し、取材協力を依頼した。しかし、同教授は、「被験者がDHEAを摂取したのは、50ミリグラムのサブリメントの形である」「痩せるメカニズムは不明」「大豆や納豆に含まれるイソフラボンの摂取によってDHEAが人間の体内に作られるかどうかわからない」等と語る一方、「カメラ・シャイ(恥ずかしがり屋)なので、テレビカメラによるインタビューはお断りしたい」と言った。
F1教授への取材について
米国在住のD3取材コーディネーターはインターネット検索を続け、平成18年11月27日、もう1人のDHEA研究者として、フィラデルフィア市にあるテンプル大学のF1教授を探し出した。その研究データをダウンロードし、C1ディレクターにファックスするとともに、それを読んでわかったこととして、「しかし、1つ困るのは、人間で実験したのではなくネズミなのです」と書き添えた。
C1ディレクターが米国取材に出発したのは平成18年12月5日、帰国は8日である。テンプル大学があるフィラデルフィアに夜到着し、翌日にF1教授を取材したあと、街の実景やインタビューに向かう自分自身の様子を撮影し、翌々日の早朝には帰国便に乗る、という強行軍だった。小型ビデオカメラを持参し、C1ディレクター自身が撮影した。
取材テープを確認すると、D3コーディネーターがF1教授の言葉を何とか通訳しようと努力しているさまはうかがえるものの、専門的内容や用語でつまずき、あちこちで要領を得ない通訳になっている。また後半、C1ディレクターは、(納豆に含まれる)イソフラボンがDHEAを増やすかどうか、F1教授に繰り返し訊ねている。しかし、教授の答えは、そういうことはない、というものだった。後の編集段階において、F1教授のこうした発言は、逐語対訳が作成されることもないまま、たんなる映像として使われ、そこにC1ディレクターが番組の都合に合わせて捏造した台詞がボイスオーバー処理によってつけられることになる。【了】
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