前編からのつづき)コンプライアンス重視や残業代支給もいいけれど、がむしゃらだったあの頃が懐かしいーー。今もなおライブドアに勤務する現役社員が語る、ライブドア今昔物語!!

堀江貴文元社長ら旧経営陣が逮捕され、平松庚三氏が代表に就任して約1年、株式の上場廃止や子会社の売却が続き、もはや解体は不可避ともささやかれるライブドア。世間の風当たりも厳しい中、なおも同社で働く3000人弱の社員は今、何を思うのか?

何をやるにも優柔不断!? 悲しき平松新体制

男性社員A(以下、A) 今は、事件前と違って、申請すれば残業代が出るようになったり、パソコンも会社から貸与されるようになったりと、労働環境も良くなりましたね。数字、数字、というプレッシャーも全くなくなって、目の前の仕事をゆっくり確実にこなせるようになった。
女性社員C(以下、C) でも、それは良し悪しですよ。確かに大変でしたけど、目標をクリアすれば、わかりやすい査定で給料が上がるという点も、LDの魅力だったから。私は社内に活気のないのが気になりますね。以前は何に関しても、全社員メールで激しく議論してたけど、今はそれもないですし……。
A 旧経営陣なら、「俺についてこい」的な、威圧感のあるガツンとした返事をくれたけど、平松さんは優しすぎて、一般的な意見しか返してくれない。
男性社員B(以下、B) でも、それは平松さんが、新株主である海外のベンチャーキャピタルや投資ファンド、それからUSENとの絡みの中でしか物事を決められない立場だから、仕方ないと思うね。そもそも、堀江貴文・宮内亮治・熊谷史人という奇跡的な3人組がいたからこそ可能だったマネージメントを、ひとりで全部なんてできるわけがないよ。
C 平松さんは確かに使命感や責任感はあるし、人間的にもすごくいい人だとは思います。堀江さんと全く逆で、
人の意見をちゃんと聞くし、調整能力も高い。でも、逆に言うと、みんなの話を聞くからこそ、方針を打ち出せないんですよね。
A いい人なのは認めます。でも経営者としては……。例えば事業部長会議のとき、堀江さんは資料なんか見ず、矢継ぎ早に細かい数字の質問や的確な指示をしてました。
でも平松さんは、事業部長の発言から無関係な雑談に入ったりして、結局、なごんで終わり。
C しかも、堀江さんを意識してか、妙なところで自分流みたいなものを出そうとしている気が。節分に豆まきをやったりとか。でも社内の反応は、「若干スベってるよね」みたいな(笑)。
B 平松さんはLDを、社内システムもきっちりしててコンプライアンスもできてる「普通の会社」にする、という使命を果たそうとして、細かな組織作りを始めたりしたけど、あれもLDには合わないよね。LDはもともと組織らしい組織のないアメーバみたいな会社で、だからこそ、いろいろな企業を吸収したり新しい事業をがんがんやったりできたんだから。
A そう。利益優先をやめて、コンプライアンスとコーポレートガバナンスをしっかりやる、という茫洋とした方針を立てただけで、具体的に何をすればいいのか社員には全くわからないし。
C 以前は"打倒Yahoo!"という明確な目標と航路図があって、それに向かって全社一丸となっていたけど、今は上層部の考えがわかりませんよね。
B でもまあ、あの事件に関与してない幹部で、会社のトップに適任なのは平松さんだけだったし、引き受けただけでも立派だと思うよ。
A そうですけど、堀江さんならもっと素早く、効率的に再建できた気がします。矛盾しますけどね。堀江さんがまた会社を立ち上げたらどうします?
C 入りたいですね。忙しくて大変だろうな、とは思いますけど(笑)。

柳 一人|文