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【書評】「小関順二の必殺ドラフト」小関順二著
【PJ 2007年03月23日】−
1998年11月27日、プロ野球オリックス球団の三輪田勝利スカウト(九州地区担当)が、沖縄市内の11階ビルから転落して死亡した。その死を沖縄・那覇署は「自殺」と断定した。警察が、三輪田スカウトの死を自殺と断定したことで、オリックス球団関係者、マスメディアは、三輪田スカウトの自殺の原因を「スカウト活動による過度のストレス」と位置づけ、当時、論議や報道が成された。
記者の父、渡辺省三(1998年まで、プロ野球阪神タイガーススカウト)(九州地区担当)は、三輪田スカウトが亡くなる3カ月前の同年8月31日、神戸市中央区の11階ビルから転落して死亡した。三輪田スカウトは、渡辺省三の葬儀に参列。「自分から死を選ぶなんてことをしない人だから、いまだに自殺なんて信じられない」と、渡辺省三の死に対する思いを報道陣に話したという。
九州地区担当の2人のスカウトが転落死を遂げて2年経過した2000年9月、記者の自宅にスポーツ・ジャーナリストの小関順二氏が訪れた。小関氏は自身の著書「小関順二の必殺ドラフト」(発行:千早書房、発行日:1999年11月11日)と、「プロ野球問題だらけの12球団」(発行:草思社、発行日:2000年3月24日)を、記者に手渡した上、「三輪田スカウトの死について、取材を進めたところ、渡辺省三さんに行き当たりました」と話された。
記者は小関氏との出会いを機に、三輪田スカウトの奥様と交流を持つことができ、三輪田スカウトの死について、奥様の知り得る情報を記者に教えていただいた経緯がある。奥様から教えていただたい内容はそれから2年後、三輪田スカウトの学生時代の友人で毎日新聞記者をされていた六車護氏が「名スカウトはなぜ死んだか」 というタイトルの本を刊行され、その本の中に記載されているため、ここでは紹介を省きたい。
また当時、記者が三輪田スカウトの奥様から聞き取った内容と、小関氏からいただいた本を持って、神戸地検に出向き、「オリックス・スカウトの死と阪神スカウトの死には、何らかの因果関係があり、両者とも自殺ではなく、誰かに殺されたのではないでしょうか」と他殺の観点で捜査を嘆願した。担当検察官は「小関順二氏の本をお借りしていいですか」と記者に問い、記者はしばらく小関氏の著書を、神戸地検の検察官にお貸しした経緯もある。
前置きが長くなったが、今から8年前に刊行された小関氏が書いた「小関順二の必殺ドラフト」には、昨今のプロ野球界の問題を洞察する記載が数々ある。中でも、ドラフトについての記載は、現在、問題となっていることがわかりやすくまとめられている。
「ドラフト会議は、特定の人気球団に偏りすぎたアマチュアの有力選手を、他球団にも公平に行き渡らせることを目的に、1965年(昭和40年)からスタートした。その根本にあるのは「一球団の繁栄・衰退が11球団の繁栄・衰退につながる」という共存共栄の思想だった」
「戦力の均等化は、ドラフト発足後10年経った75年(昭和50年)から顕著になる。球界の盟主を自認していた巨人がV9以降の25年間で優勝した回数は9回(日本シリーズ制覇3回)。ドラフトは巨人一極集中の球界勢力図を見事に塗り替えてしまったのだ。しかし、ドラフトが戦力の均等化に果たす役割が大きければ大きいほど、それを阻止しようとする力も大きくなり、93年(平成5年)からスタートした「逆指名ドラフト」は、まさにドラフトの骨抜きを願う勢力が生み出した「鬼っ子」だった」
「天下の悪法『逆指名ドラフト』は、巨人が中心となって実現させたもので、大学、社会人の1位、2位指名選手に限り入りたい球団を選べる、という制度である。この制度以降、逆指名が認められていない高校生の間に不公平感が生じ(高野連が「高校生は未成年だから、まだ、自分の意思では適切な選択ができない」として高校生の逆指名を認めていない)、逆指名選手に対しては『契約金1億円、出来高払い5000万円』の協約が有名無実化し、10億、12億円の大金が投じられていると噂されていることは誰でも知っているとおりである」
あとがきでは、三輪田スカウトの死についても、触れている
「三輪田さんの死の背景となったのが、この逆指名ドラフトだった。新垣渚(沖縄水産高から九州共立大学)が執拗に『ダイエーが意中の球団』といい続けたのは、『大学、社会人だけが希望球団に入ることを認められて、どうして俺たち高校生には認められないんだ』と不公平感が疼いていたからに他ならない」
「諸悪の根源は、そういう不公平感を作り出してしまった制度そのものにあり、それを生み出したコミッショナーや12球団の見通しの悪さにあるのだ。僕のこういう意見は、正論ゆえに冷笑されることがある。しかし、正論が表通りを堂々と歩くことができない世界って、やっぱりどこかおかしいんじゃないだろうか」
「戦力均等化というドラフトの精神に忠実に従った三輪田さんが非業の自殺を遂げ、さらに三輪田さんの死にドロをかぶせるような「高校生の逆指名」を具体化する動きって、何かが狂っているんじゃないだろうか」
このほか、本書では「三輪田編成部長投身自殺の衝撃」という小見出しで7ページにわたって、三輪田スカウトの当時のスカウト活動などについて触れている。
小関氏は最後に、「球団が野球協約に違反しても、日本国の法律に抵触しない限り、罰せられることはないが、野球ファンがおかしいことに「おかしい!」と言えば、それは日本国の法律に匹敵する協約違反への抑止力になる。そのようなファンであることを願って、かなり乱暴に書き殴って出来たのが本書である」と、結んでいる。【了】
■関連情報
「小関順二の必殺ドラフト」小関順二著
「プロ野球問題だらけの12球団」小関順二著
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 渡辺 直子【 兵庫県 】
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記者の父、渡辺省三(1998年まで、プロ野球阪神タイガーススカウト)(九州地区担当)は、三輪田スカウトが亡くなる3カ月前の同年8月31日、神戸市中央区の11階ビルから転落して死亡した。三輪田スカウトは、渡辺省三の葬儀に参列。「自分から死を選ぶなんてことをしない人だから、いまだに自殺なんて信じられない」と、渡辺省三の死に対する思いを報道陣に話したという。
九州地区担当の2人のスカウトが転落死を遂げて2年経過した2000年9月、記者の自宅にスポーツ・ジャーナリストの小関順二氏が訪れた。小関氏は自身の著書「小関順二の必殺ドラフト」(発行:千早書房、発行日:1999年11月11日)と、「プロ野球問題だらけの12球団」(発行:草思社、発行日:2000年3月24日)を、記者に手渡した上、「三輪田スカウトの死について、取材を進めたところ、渡辺省三さんに行き当たりました」と話された。
記者は小関氏との出会いを機に、三輪田スカウトの奥様と交流を持つことができ、三輪田スカウトの死について、奥様の知り得る情報を記者に教えていただいた経緯がある。奥様から教えていただたい内容はそれから2年後、三輪田スカウトの学生時代の友人で毎日新聞記者をされていた六車護氏が「名スカウトはなぜ死んだか」 というタイトルの本を刊行され、その本の中に記載されているため、ここでは紹介を省きたい。
また当時、記者が三輪田スカウトの奥様から聞き取った内容と、小関氏からいただいた本を持って、神戸地検に出向き、「オリックス・スカウトの死と阪神スカウトの死には、何らかの因果関係があり、両者とも自殺ではなく、誰かに殺されたのではないでしょうか」と他殺の観点で捜査を嘆願した。担当検察官は「小関順二氏の本をお借りしていいですか」と記者に問い、記者はしばらく小関氏の著書を、神戸地検の検察官にお貸しした経緯もある。
前置きが長くなったが、今から8年前に刊行された小関氏が書いた「小関順二の必殺ドラフト」には、昨今のプロ野球界の問題を洞察する記載が数々ある。中でも、ドラフトについての記載は、現在、問題となっていることがわかりやすくまとめられている。
「ドラフト会議は、特定の人気球団に偏りすぎたアマチュアの有力選手を、他球団にも公平に行き渡らせることを目的に、1965年(昭和40年)からスタートした。その根本にあるのは「一球団の繁栄・衰退が11球団の繁栄・衰退につながる」という共存共栄の思想だった」
「戦力の均等化は、ドラフト発足後10年経った75年(昭和50年)から顕著になる。球界の盟主を自認していた巨人がV9以降の25年間で優勝した回数は9回(日本シリーズ制覇3回)。ドラフトは巨人一極集中の球界勢力図を見事に塗り替えてしまったのだ。しかし、ドラフトが戦力の均等化に果たす役割が大きければ大きいほど、それを阻止しようとする力も大きくなり、93年(平成5年)からスタートした「逆指名ドラフト」は、まさにドラフトの骨抜きを願う勢力が生み出した「鬼っ子」だった」
「天下の悪法『逆指名ドラフト』は、巨人が中心となって実現させたもので、大学、社会人の1位、2位指名選手に限り入りたい球団を選べる、という制度である。この制度以降、逆指名が認められていない高校生の間に不公平感が生じ(高野連が「高校生は未成年だから、まだ、自分の意思では適切な選択ができない」として高校生の逆指名を認めていない)、逆指名選手に対しては『契約金1億円、出来高払い5000万円』の協約が有名無実化し、10億、12億円の大金が投じられていると噂されていることは誰でも知っているとおりである」
あとがきでは、三輪田スカウトの死についても、触れている
「三輪田さんの死の背景となったのが、この逆指名ドラフトだった。新垣渚(沖縄水産高から九州共立大学)が執拗に『ダイエーが意中の球団』といい続けたのは、『大学、社会人だけが希望球団に入ることを認められて、どうして俺たち高校生には認められないんだ』と不公平感が疼いていたからに他ならない」
「諸悪の根源は、そういう不公平感を作り出してしまった制度そのものにあり、それを生み出したコミッショナーや12球団の見通しの悪さにあるのだ。僕のこういう意見は、正論ゆえに冷笑されることがある。しかし、正論が表通りを堂々と歩くことができない世界って、やっぱりどこかおかしいんじゃないだろうか」
「戦力均等化というドラフトの精神に忠実に従った三輪田さんが非業の自殺を遂げ、さらに三輪田さんの死にドロをかぶせるような「高校生の逆指名」を具体化する動きって、何かが狂っているんじゃないだろうか」
このほか、本書では「三輪田編成部長投身自殺の衝撃」という小見出しで7ページにわたって、三輪田スカウトの当時のスカウト活動などについて触れている。
小関氏は最後に、「球団が野球協約に違反しても、日本国の法律に抵触しない限り、罰せられることはないが、野球ファンがおかしいことに「おかしい!」と言えば、それは日本国の法律に匹敵する協約違反への抑止力になる。そのようなファンであることを願って、かなり乱暴に書き殴って出来たのが本書である」と、結んでいる。【了】
■関連情報
「小関順二の必殺ドラフト」小関順二著
「プロ野球問題だらけの12球団」小関順二著
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