フランス代表のドメネク監督がユーロ2008予選のメンバーを発表した翌日のレキップ紙(16日付)は、トレゼゲの落選とともに、「ドメネク―ベンゲル、衝突」という見出しで、両監督の対立を大きく報じている。

 口火を切ったのはアーセナルのベンゲル監督。7日のチャンピオンズリーグ(CL)PSV戦でエース、ティエリ・アンリが負った3ヶ月の重傷について、「フランス代表による酷使」に責任があるとしてドメネク監督を厳しく批判した。

 これに対してドメネク監督は代表メンバー発表の記者会見の席で、「ベンゲル氏は私を疲れさせる。彼は多くの人を疲れさせているんだ。サッカー界に存在して何かをする権利があるのは彼だけじゃない。彼は3月のケガについて8月の試合を持ち出しているが、言い忘れているのは、アンリが代表の試合に出るたび、その3日後にアーセナルでプレーしていることだ。それにアンリは代表戦でケガをしたことなんて1度もない」と反論、代表戦とその「3日後」にアンリが出た例をひとつひとつ挙げ、「彼に教訓を言う資格などない」とベンゲル監督に反撃した。

 一方、ドメネク監督の反論についてベンゲル監督は16日付のレキップ紙で、「形式的には関心を引かない。内容的には回答になっていない」と一蹴した。代表戦の3日後にアンリを起用したという指摘にも、「アンリはアーセナルが高額で雇っている選手」、「なぜ代表の日程にクラブが合わせなければいけないのか」と疑問をぶつけた。ベンゲル監督の論点は、クラブの日程を知りながら、クラブにとって重要な選手を“親善試合にまでフル出場”させる必要があるのか、ということだった。しかしドメネク監督はこれに直接答えず、詭弁を用いたというのがベンゲル監督の主張だ。

 ベンゲル監督は、問題点はコミュニケーションの「完全な不在」にあると考えている。ドメネク監督から電話をもらったことは一度としてないことを明かした。コミュニケーションを頑としてとろうとしないドメネクという人物を「クラブに対する軽蔑」と「激しい敵意」をもった「挑発者」と断じた。「選手の状態についてたずねる電話一本、これは要求しすぎだろうか? このプロセスさえあれば、問題はなかったろう」と嘆く。その“証拠”に、他国の代表監督からは電話をもらって話し合い、いい関係を保っていることを挙げている。

 ドメネク監督に不信感を抱いているのはベンゲル監督だけではない。リヨンのウリエ監督も16日、「アーセン・ベンゲルにまったく共感する」と“連帯”を表明した。