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任天堂の宮本茂氏、GDCで基調講演--ゲーム開発には「バランス」と「リスク」必要

 サンフランシスコ発--当地で開催のGame Developers Conference(GDC)において米国時間3月8日午前に1つ明らかになったことがあるとすれば、任天堂の宮本茂氏をビデオゲーム開発者らは支持しているということだ。

 その理由は明白だ。任天堂の専務取締役情報開発本部長を務める宮本氏は、「ドンキーコング」、「マリオ」シリーズ、「ゼルダの伝説」シリーズなどの著名なビデオゲームの開発に携わった人物である。

 宮本氏が8日にGDCで行った基調講演を聴くために多くの参加者が集まるであろうことは誰もが予測していたことである。同氏のGDCでの講演は8年ぶりである。

 同氏からは何も新しい発表はなかったが、1時間以上にわたり、世界中のプレーヤーを虜にするビデオゲーム設計に対する自身の見解についてあらゆる側面から語った。

 また宮本氏は世界で最も有名なゲームデザイナーの1人だが、任天堂においてどれほど多大な影響力を持っていようとも自分は大企業の中の1人にすぎないことを強調した。

 宮本氏は通訳を介して、自分自身のビジョンがいかに明確であったとしても、それが自分の所属する会社のビジョンと何らかの形で同調している必要があると理解することが重要だと述べた。

 そして同氏は、自身と任天堂のビジョンを説明するために、自身の経験に基づくいくつかの事例について約45分間語った。

 まず対象ユーザー層を拡大する方法を探すことであると同氏は述べた。

 同氏は、数年かけて自分の妻がビデオゲームに興味を持つように努力してみたと述べた。最初興味を示さなかった同氏の妻も、任天堂のゲームがより幅広い層に受け入れられるようになり、戦闘ものから子供を対象としたものへと移行するにつれ、興味を持ち始めたという。

 同氏は、自身の進捗状況を自分の妻の様子で表す「妻メーター」で測定したという。

 例えば、脳を試すクイズが次々と出題される任天堂のヒットゲーム商品「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、「妻メーター」で非常に高い評価が出ているという。

 宮本氏は、「現在妻は、このゲームなら私に勝てることを自慢している」と述べ、「残念ながら、彼女の言うとおりだ」と付け加えた。

 個人的な例ではあるが、ポイントは、任天堂のゲームが対象者層を拡大するよう設計されてきており、その戦略が成功したようだという点である。ゲーム機「Wii」ではさらに一歩進んで、非常にシンプルな「Wii Sports」シリーズで大きな成功を収めている。キャラクターは非常に基本的なものだが、プレーヤーはWiiリモコンのモーションセンサーを最大限に活用して、野球、テニス、ボクシングなどを楽しむことができる。

 同氏のビジョンの2つめの要素は「バランス」である。

  宮本氏によると、これは任天堂の複数のチームが同じ考えを持つこと、そして、企業として前進して革新を起こそうしつつもこれまで培ってきたものを捨て去らないことを意味するという。

 Wiiリモコンは、ハードウェアとソフトウェアの両方に革新をもたらしたいという要求を同時に満たすことができることを表しているという点で、バランスを表すよい例であると同氏は述べた。

 同氏のビジョンにおける次の主要な要素は「リスク」である。

 同氏は、任天堂は、新システムに関しては常に挑戦を続けてきたと述べ、「ニンテンドーDS」のデュアルスクリーンとタッチ入力をその例として挙げた。

 Wiiに関しても同様である。

 「Wiiほど(大きな)リスクを背負ったことはなかった」と宮本氏は述べた。「20年もの間、両手を使ってゲームをしてきたし、両手で持つコントローラを開発してきた。それをやめてしまっていいのか?」(宮本氏)。

 しかしWiiリモコンは、片手での使用を可能とした。ただしアクセサリである「ヌンチャクコントローラ」を使えば、両手で操作することになり、一部のWiiゲームではこれが必須となっている。

 同氏のビジョンにおける次の主要な要素は、コミュニケーションであるという。

 これは、ゲーム中のプレーヤーの気持ちを分かるようにすることも意味する。

 宮本氏にとって最も大切なのは、プレーヤーがどれだけ楽しそうにプレーしているかである。新たなユーザー層を獲得しようとする任天堂にとって、これは特に重要である。

 「あなたがた開発者に必要なのは、新しい分野へのチャレンジだ。そして、ゲームをしない人たちの興味をどれだけ集められるかを考えることだ」と同氏は述べた。

 同氏は、同氏のゲーム設計ビジョンの残り2つの要素として「優先度付け」と「ねばり強さ」についても語った。

 同氏は「Wiiスポーツ」のベースボールを開発する際も、任天堂では複雑なキャラクターやエレメント作りをあきらめざるを得なかったという。その代わり、投球と打球のみで試合が運ぶようにフォーカスし、初めての人もすぐになじめるようにした。

 同氏はまた、新しいユーザーに受け入れられる、成功するゲームをデザインするためには、オープンなマインドをもつ必要があると述べた。

 「今日の一番伝えたかったメッセージは、クリエイティブなビジョンをもつことは、ゲームデザインにおける1つの要素であるどころか、ゲームデザインの本質なのだということだ」と宮本氏は述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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