「コトブキヤ」が街の活性化のきっかけだった

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   東京都立川市は秋葉原、中野に次ぐ「オタクの聖地」なのだそうだ。多摩地区のオタクだけでなく、長野、山梨のオタクもJR中央線に乗ってやってくる。街にはアニメ、美少女フィギュアなどの専門店が相次いでオープンしている。

   JR立川駅北口を降りて左側にある「第一デパート」。創業は1961年。天井は低く床の一部が剥げているなど建物も古い。そこに集まってくる人たちの雰囲気やファッションは、立川の街を歩く人達とは少し異なり、「アキバ系」なのだ。アニメやフィギュアのショップが並び、買い物客は真剣に商品を物色している。

オタク系を増やし、差別化できた商業ビル

   立川が「オタクの聖地」と認識され始めたのはここ1〜2年だ。立川市産業振興課によると、オタク動員の中核になっているのがJR立川駅周辺にある、この商業ビル「第一デパート」と「フロム中武」。もともとは地元の地権者が中心になって建てた小さなデパートだったが、高島屋伊勢丹ビックカメラなどの大型店が次々に出店。大型店の過当競争の末に2つのビルがオタク系を増やし、差別化に成功したのだという。

   「第一デパート」はJ-CASTニュースの取材に対し、

「もともとは古くから入居しているテナントさんがオタク系と言われる商品を展開したところ、支持を得た。その成功を見て他店も追随し、現在のようなショップ形態になっていった。うちが意識してテナント構成したというわけではないんです」

と話した。

   この「第一デパート」のテナントで、立川のイメージを変えたとされるのが、オタクに大人気のフィギュアショップ「コトブキヤ」である。もともとは普通の人形店だったが、マニア向けの組み立てキットも展開するようになり、約10年前に美少女フィギュアを扱ったところ大ブレークした。立川が1号店だが、アキバにもショップを出店して、立川店の認知も格段に上がり、東京多摩地区のオタクが押し寄せるようになった。
   「コトブキヤ」を展開する壽屋はJ-CASTニュースに対し、

「多摩地区だけでなく長野や山梨からも来ます。JR中央線を利用した場合、新宿まで行かなくていいから来やすいのでしょう。立川店は戦車や飛行機など品揃えの幅が広いので、親子連れやサラリーマンも多いです」

と現状を話す。ウインドウショッピングはなく目的を持って来店し、必ず何か買っていくのも特徴だ、とも言う。

ファンは「よくぞ立川に出店してくれた!」

   さらに、「オタクの聖地」を決定付けたとされるのが06年6月10日に「フロム中武」に出店した美少女フィギュア、ロボットなどを扱う「ボークス立川ショールーム」である。売り場面積は「首都圏最大級」を謳う約660平方メートル。京都府に本社を構えるボークスは、オタク憧れのホビー会社で、ファンはブログに、「よくぞ立川に出店してくれた!」と歓喜の文章を綴っている。
   立川市産業振興課は、

「立川駅周辺はJR、モノレールを合わせ乗客が年々増えていて1日平均18万人とその数は吉祥寺を越えた。オタク自体がいいとか悪いとかではなく、街に色んな特色があるのはいいことだし、街の活力にもなる」

と話し、今のところはオタク歓迎といったところだ。