J-CASTニュースのインタビューに応じるR25・藤井大輔編集長

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   無料の週刊誌として2004年7月に登場したリクルートの「R25」。現在は発行部数が60万部を超え、「R25世代」なる言葉も生まれた。想定読者は25歳から34歳の男性で、「ニート」「フリーター」「結婚予備軍」が混在する若者達。いったいどんな世代なのか、その特徴を藤井大輔編集長に聞いた。

――「R25世代」という言葉をよく耳にします。

僕らは誌面上で「R25世代」を使わないようにしていたんですが(笑い)。「R25世代」は一般的には団塊ジュニアとほぼイコールで語られているようです。朝日新聞は団塊ジュニアを「ロストゼネレーション」と呼び、バブルを経験していない可哀想な世代と捉えています。僕らは読者層を男性の25歳から34歳と明確に決めていて、この層を「社会人の思春期」と名付けています。男の子は35歳になったら、ちゃんとした社会人になってほしい。「R25」は25歳から34歳の男の子を応援し、サポートするのが目的です。

――この世代の特色を挙げてください。

キツイ言い方から始めると(1)情報を咀嚼し切れていない情報消化不良(2)自意識過剰で自己中心的(3)被害者意識がちょっと強い――などですね。肯定的に見ると(1)真面目(2)変化に強い(3)好奇心が強い――ですね。一つの価値観というものを疑って見ようという姿勢があって、広く知識を得たいと思っている。ただ、この世代はそうした好奇心が表面に出ず、隠れているので、おとなしそうに見えます。

――好奇心が強い。ちょっと意外な気もしますね。どこで分かりますか。

例えば、新聞を読んでいないと言われていますが、新聞はイラナイと明確に思っているわけではない。日経新聞を毎日ちゃんと読んで生活なり仕事なりに生かす。これが、理想的な姿だと考えているんです。でも、めんどくさいし、難しくて読めない、時間が無い。そんな自分の理想と現実のギャップを代替しているのがポータルのニュースや、トピックス、ブログなどのクチコミなんですね。J-CASTニュースもそのひとつでしょう。ただ、情報は持っているけど、何が問題なのか、なんで話題になっているのかがわからない。
それで、社会がどう動いているのか少し深く知りたいなら、新聞に代わるものを読んで頭を整理する時間を作りませんか、と「R25」を出したわけです。記事は政治から芸能、スポーツまで幅広い。「R25」が受け入れられたわけですから、好奇心は当然強いわけなんです。というか、好奇心を満足させるものがなかったというか。

就職を決めるのは、給料や人間関係ではない

――「ニート」「フリーター」が多い世代でもあるんですが、どんな価値観を持っているのでしょうか。

働くことでいうと価値観はありますね。景気が悪かった2年ほど前に比べ、少し未来が信じられる、明るく感じられるようになりました。だからといって、あまり変化はない。会社の商品やサービスが気に入っているとか、社会貢献している企業というのが就職先を決めるポイントになっているようです。仕事を選ぶ時に重要なのは、給料や職場環境(人間関係)とが第一ではない。転職でも、給料アップやキャリアアップという考え方もありますが、逆に給料が下がってもいい、というケースも増えているようです。仕事を通じて勉強したい、給料が安くても自分に適していれば、という感覚なんでしょうね。幸せや豊かさはカネではないという価値観。でもやっぱり、おカネは大事(笑い)。

――結婚についてはどうでしょうか。

結婚することにむちゃくちゃ憧れている、というより結婚した人を尊敬していますね。僕も結婚しているけど、「R25」の編集長という立場よりも、結婚の方が尊敬されるんですよ(笑い)。男の側は「結婚することと一緒に生活するのは契約書の問題だけ」という言い方をして、結婚になかなか踏み切らないのですが、実は、女性に対して将来の保障ができないからこんな事を言うんです。10年前なら年収300万円が将来は600万円になる予想ができましたが、今は300万円から逃れられない可能性がある。
また、子供の頃は親にファミコンを買ってもらったり、海外旅行にも連れて行ってもらいましたよね。今の年収なら自分一人ならなんとかなるけれど、親にしてもらったようなことが自分の子供にできるのか。そういう真面目で深刻な悩みをゴマカして、「契約書の問題」とか言ってるんです。


【「R25」藤井大輔編集長プロフィール】
1973年生まれ、34歳。富山県出身。大阪大学経済学部卒。95年、株式会社リクルートに入社。「ゼクシィ」「AB-ROAD」などの雑誌編集を経て、03年9月から「R25」の立ち上げに携わる。05年4月から編集長。「R25式モバイル」「L25」「L25モバイル」の編集長も兼任。