IGDA日本代表 新清士氏
 アジアオンラインゲームカンファレンス東京2007(AOGC2007)で23日、IGDA日本代表の新清士が「RMT取引の現在〜北米、韓国の最新事情を中心に〜」と題した講演を行った。新氏はRMTのアングラ化には反対だが、安易なRMT規制や法整化もイノベーションの芽を摘むとした。その上でコンシューマ機による、メーカー主導のRMTに可能性を示した。

 新氏はまず個人的な見解と断った上で、「RMTは結局、インターネット上の権利の問題に行き着く」と結論づけた。

 スタンドアロンの時代はゲームのセーブデータはモノに納められており、ユーザーの所有物だったが、オンラインゲーム時代を迎えてセーブデータがサーバ上に移管すると、その所有権が曖昧になる。さらにこれをユーザーが交換できるようになると、RMT行為が自然発生的に生まれるのは避けられない。この問題を解決するには、インターネット上のデータに個人の財産権を認めるか、という問題に行き着くわけだが、これには時間がかかる。

 さらに現在では、RMTにもさまざまな形態が存在する。MMORPGで見られる古典的なRMT行為。RMT行為をメーカー側が取り込んだ「アイテム課金」。RMT行為を運営側が保証した「セカンドライフ」のスタイル。Xbox Liveのマーケットプレイスや、Wiiのバーチャルコンソール、PS3でもアイテム課金や、それに類するサービスが始まっている。国内でもMMORPGのレベル上げ代行サービスなどが見られはじめたが、これもRMTの一種なのかなど、定義自体も難しい。そのため現時点での法整備は意味がない、というわけだ。

 その後、新氏はアメリカ、韓国でのRMTを巡る最新の状況について報告した。アメリカではバーチャル経済に対する課税の検討が始まり、2008年初頭までに議会で結論を出すとされているが、反対派の意見もあり、先行きが不透明なこと。アメリカ最大のオークションサイト、eBayでバーチャルアイテムの取引が停止され、多くのアイテム出品が削除されたが、「セカンドライフ」関連は残されていること。韓国では昨年12月に「ゲーム産業振興に関する法律」が改正され、RMTとボットが禁止となり、4月20日から運用が開始されたが、個人間での取引は可能なことなど、混沌とした状況が続いている。

 しかし、いずれのケースでもインターネット上のデータに対する知的所有権や財産権などの議論は、先送りされているのが現状だ。

 またバーチャルアイテムに財産権を認めるか否かの論議については、米インディアナ大学のジョシュア・ファーフィールド氏の「バーチャル・プロパティ」と、韓スゥオン地方裁判所判事、UngGi Yoon氏の「The Legal Ambiguity of MMO Play」の2つの論文について紹介された。詳細は省くが、どちらもバーチャルアイテムを現状の著作権法で定義づける難しさを示している。

 一方セカンドライフの成功で、これまでアングラ的な存在だったRMT業者から、新しいスターが登場した。セカンドライフの土地王者と言われるAnshe Chung女史だ。彼女はもともとRMT業者だったが、今では彼女の傘下でゴールドファーマーたちがアイテムを作り出し、コミュニティに価値を与える存在に転換を遂げている。セカンドライフでは、ユーザーが創出したアイテムに知的所有権を認めること。ゲーム内の通貨をドルに変えられること。ゲーム内の土地を売買できること、などが保証されている。しかし、サーバの破損やサービス終了に伴う保証は適用外だ。

 この「セカンドライフモデル」は、他のタイトルに波及も見せている。国内でもジークレストが展開する「@games」で、4月からアバター向けの衣装をユーザーが自分で作り、販売できる「セルつく」サービスが開始される予定だ。セカンドライフと異なり、仮想通貨を現金化することはできないが、ユーザーが作成した衣装に著作権を認めるとしている。ただしサービス終了時の保証はない。さらに、すべてのゲームに応用できるわけでもないと指摘する。