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「千の風」と落語「死神」、そして「平和」。

2007年02月26日06時49分 / 提供:PJ

pj
落語で「死神」という演目がある。ある時、貧乏で死にたくなった八五郎が死神と知り合い、死神が、足元に座るか、枕元に座るかで、その人の余命がわかるというので、医者になり、カネに目がくらんだ八さんが、素早く病人の頭の位置を入れ替えて、大金を得る。その後、死神に案内されて寿命の蝋燭のある洞窟で自分の寿命の蝋燭を繋ぎそこねて…。という内容だ。

 それと、「千の風」とでは、奇妙な組み合わせのように感じるかもしれないが、三遊亭円朝が作ったこの「死神」という落語の原作はグリム童話らしいのである。つまりは、ヨーロッパのお話なのだ。この落語の、人間の寿命を蝋燭に喩え、その火が消えるところが死である発想は、グリムが収拾した民話のなかにあり、古来から伝えられていたことなのだろうか。

 「千の風」の詩を聞いていて、唐突にこのことを思い出した。寿命の蝋燭は、普段は静かにその燃え尽きるのを待っている。しかし、突然の旋風により、多くの蝋燭がその長さにかかわらず消されてしまうことがある。事故・戦争・テロなど、自分の意思ではなく消された命は、すべてこの風に消された蝋燭なのである。
その長さの寿命をおえ、安らかに眠りにつくのが普通である。それらは、墓に居るのが当然で、そこで永遠の眠りに就く。けれども、風に消されたものは、風となり、生きているものの身近にあるのだ。そしてそれは、生きているものの傲慢に対しては、自然の災害となって警告を与えてくれる。

 そう思ったら、「千の風」という詩が表す、その深い内容が自分自身の中にスーと入ってきた。死には、寿命として、安らかに眠れるものと、自らの意志と異なり、理不尽にも奪われた多くの消された命があり、それはすべて風となり自然となって、地球を形づくって居る。その自然を、地球環境を、生きている人間のエゴは、どんどんと破壊している。それは、人類の発生以来連綿と続いてきているものであるが、今、それが飽和状態となり、共存できない状態となった。

 日本人は、伝統的に八百万の神として、人が取り巻く環境に対して尊敬と敬愛で生きてきた。米を主食とする農耕民族は、米を作り出してくれる大地と雨と太陽の自然に対しそれぞれへの感謝の心で接してきた。祭りは、その最も良い例である。春、その年の豊作を祈願し、秋、その年の豊作に感謝する日本の神は自然そのものであった。ところが、この自然の恵みを、生産物としての経済活動の「モノ」としたところから、自然破壊は始まったのだ。自然をコントロールして、決められた目標の収穫そして利益の確保、とどまることのない消費と作物を大切に扱わない人々、後を考えない乱獲、作付け、経済優先は、豊かであった自然を完全に破壊しきってしまったようだ。

 人の原点は、やはり、自然との共生である。人間がその傲慢さを捨て、この地球上で争いもなく平和に暮らせることが、最も大切だ。今、地球上に溢れている、「神」の対立、力で解決しようとする考えは、人の命の蝋燭を、大きな風で大量に吹き消すことでしかない。しかし、その風は、人の意思でコントロールできるものなのだ。

 自然現象の風は、高気圧から低気圧への大気の動きである。水が、水蒸気となり、雲をつくり、雨となって大地に戻る循環でしかない。その風や水、そして大地(土)から生命は生まれた。

 いまこそ、人類の原点に戻り、全世界に平和をもたらすことを真剣に考える時である。人の傲慢さを捨て、自然との共生を図らなくてはならない。「兵器」は不要である。「経済優先」は幸せをもたらさない。今始めないと、未来は暗黒でしかないと、私は考える。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 鈴木 修司

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