アジア大会種目のニードフォースピード・カーボンを実演
 Eスポーツとは何か、ゲームで競技するとはどういうことか。実施際に見てもらったほうが理解しやすい。ということで、A01セッションはEスポーツ大会を会場で再現した『シーディーネットワークス・ジャパン Presents Japan E-Sports Cup』が開催された。種目はアジア大会の競技種目にもなっている『ニードフォースピード・カーボン』だ。選手と実況アナウンサーは日本のHIPHOP界で活躍するミュージシャン、UZI the 9mm氏、DJ OASIS氏、大西響太氏の3名が演じた。

 UZI the 9mm氏はK-1グランプリのリングアナウンサーを務めるほかゲームにも造詣が深く、ウィニングイレブンの大会で準優勝したこともある。楽曲にはE-Sportsをテーマとした曲もあり、アルバム「美髭公」に収録されている。大西響太氏は多くのアーチストに楽曲を提供する一方、ゲームの音源製作にもかかわり、現在ベータテスト中のオンラインレースゲーム『Level-R』のBGMを手がけている。ゲーム、そしてE-Sportsは流行に敏感なアーチストに認知されており、今後のコラボレーションに期待が持てる。

 さて、2007年は日本のEスポーツにとって飛躍の年になる。アジア室内競技大会でEスポーツが種目として選ばれた。Eスポーツ自体が浸透していない日本で、果たして日本代表選手は派遣できるのか。Eスポーツをどう理解するか、Eスポーツは今後どうなっていくのか。その問いに答えるべく、日本でEスポーツ事業を手がけてきたGoodPlayerの犬飼博士氏と、電通スポーツ事業局の竹田恒昭氏が登壇した。犬飼氏はWCG(World Cyber Games)やCPL(CyberAthreet Professional Leage)の日本予選やBIGLAN、Eスポーツスタジアムをプロデュースした人物であり、日本のEスポーツ界の中心である。竹田氏は今は電通社員だが、昨年春まではPSYMINの取締役として、プロゲームチーム4dN_Psyminをプロデュースしていた。両名とも日本Eスポーツ界の軸となる人物だ。

 講演では犬飼氏の解説に重点が置かれた。まず犬飼氏が関わって制作し、昨年放送されたドキュメンタリー『プロゲーマーを目指す若者たち』のダイジェスト版を見ながら、日本のEスポーツの現状を紹介。続いてスライドに移行し、世界のEスポーツの事例をアメリカ、ヨーロッパ、アジアの順で紹介した。欧米では世界規模の大会がいくつも開催されていること、アメリカではディレクTVがEスポーツ番組を開始したこと、韓国ではEスポーツ大会が年間100以上も開催されており、賞金総額が45億ウォン以上になっていること、中国では政府がEスポーツを99番目の正式体育種目と認定したことなどが紹介された。どうやら中国は北京オリンピックでEスポーツを競技種目に加えることを本気で考えているらしく、今年マカオで開催されるアジア室内大会には、その試金石の意味も含まれているようだ。

 海外での進展が著しいEスポーツだが、日本ではいまひとつ理解が広まっていない。そこで犬飼氏は「Eスポーツとは何か」を人類の発達史に合わせた新機軸で紹介した。採集・狩猟社会に発祥したスポーツが格闘技、農耕社会に発祥したスポーツが球技、工業社会に発祥したスポーツがモータースポーツ、情報社会に発祥したスポーツがEスポーツだという。身体能力、技術、思考、精神を競う従来のスポーツとEスポーツの間に基本的な違いは無い。唯一、決定的な違いは、Eスポーツではプレイヤーの行動がすべてデジタルデータ化されて他のプレーヤーと関わっていくところだ。これはかなり解りやすい例えだ。モータースポーツがスポーツである理由もきちんと説明できる。人類は新しい道具を発明するたびに、新しいスポーツを創造してきたのである。Eスポーツもその延長にある。