ソフトバンクモバイル コミュニケーション・サービス部 中谷友一氏
 オンラインゲームといえばPCのMMORPGというイメージが強いが、コンテンツをプラットフォーム別に見ると、PC、家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、そして携帯電話向けに分けられる。このうち最もユーザー数が多く、裾野が広いのが携帯電話向けに配信されているゲーム、いわゆるモバイルゲームである。

 2月22日・23日と開催中のアジアオンラインゲームカンファレンス東京2007(AOGC2007)で、ソフトバンクモバイルの中谷友一氏が講演した「S!タウン」もまた、携帯電話向けのオンラインゲームである。中谷氏は「モバイルの仮想空間コミュニケーション・サービス」と題して、「S!タウン」の企画趣旨と携帯電話ならではの開発の苦労、そして将来の展望について解説を行った。

 「S!タウン」は3D空間でMMORPG的に行動しながら、他のキャラクターとチャットなどが楽しめる、いわゆるアバタースタイルのチャットソフトである。スタート開始は昨年10月で、現在の対応機種は8種類。JAVAアプリとして端末にプリインストールされており、パケット料金のみで楽しめる。ユーザーはチャット以外に、ミニゲームで対戦したり、バーチャルペットを育成できる。

 中谷氏は「S!タウン」の開発動機について、もともとソフトバンクモバイルが前進のボーダフォンやJ-フォンの時代から、新しいコミュニケーションツールの提供に積極的に取り組んできた経緯を紹介した。スカイメールや写メールなど、今では多くの携帯電話に採り入れられている機能も、先鞭をつけたのはJ-フォンである。「S!タウン」もチャットという、メール以上に「繋がっている」感の高いサービスを携帯電話で提供し、新たなコミュニケーションシーンを生み出したいという意図で開発が始まった。

 ただしPCのアバターチャットなどと異なり、携帯電話では電車の待ち時間などの時間つぶしに使える点が重要だ。そのため通常のチャットでは時間がかかりすぎてしまう。逆に知り合いが一人もいない世界では、他人に声をかけにくい。そのため会話不要で対戦できるミニゲームも用意された。代表例が「ホイマッチ」、いわゆる「あっち向いてホイ!」ゲームである。このようにして「ケータイの街で自由気ままにチャットやミニゲームを楽しむ」というコンセプトが確立していった。

 開発において特に気が配られたのが、チャット用のインターフェースとセキュリティ対策。携帯電話の画面はQVGAと小さいため、文字入力ウィンドウを画面全体に表示してしまいがちだが、これではメッセージを入力している最中にログが流れてしまい、会話が噛み合わなくなる。そのため画面上部にログ画面を常に表示し、適切な会話が行えるように配慮された。

 また企画当初から懸念されたのが「出逢い系サイト」として利用されるのでは、という点。そのためペアレンタルロックやブロックリスト、不適切な内容のチャットやメールを事務局に申告できる「チャット申告」などが盛り込まれた。特に「チャット申告」についてはメニューの目立つ位置に配置。ユーザーとの接点となることが重要視された。これには悪質な行為などを取るユーザーに対して、心理的な障壁となることも想定されている。

 続いて中谷氏は携帯電話ならではの長所と短所を説明し、制限の中でどのような工夫がこらされたかを解説した。

 モバイルゲームの最大のメリットは、いつでも、どこでも、簡単に楽しめる点にある。しかしパケット量や通信速度、処理速度、アプリサイズ、電池の持ち時間、画面サイズの制限、操作性など、さまざまな制約が存在する。中でもアプリの起動中に着信割り込みが発生したり、電波が圏外になってしまうなど、携帯電話特有の問題が避けられない。常にサーバにアクセスする必要のあるオンラインゲームでは鬼門となる。