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【よこ顔】『沖縄暮らし』の魅力を語る元東京高裁長官=ゆたかはじめさん(下)
2007年02月22日11時59分 / 提供:PJ
【PJ 2007年02月22日】−
(上)からのつづき。ゆたかはじめさんは「判事の仕事は厳しい。判決を出せば、決まって負けた片方からうらまれる。判事は命がけの仕事です。何度も命を奪われそうになったことがある。白と黒は神様しかできないこと。無罪でも、無実かどうかわからない」という。
法律は権利・義務を定めた皆の幸せの道具。いまでは喧嘩の道具となってしまった。東京高裁長官になったゆたかさんは「定年後、法律以外のことで過ごしたい。いい知恵はないか? 東京に残れば、法律の仕事に縛られる。一生、法律に殺されてしまう」。列車好きで全国を知り尽くす。地方に住むならば、寒いよりも暖かいほうが良いと考えたのだという。
ゆたかさんは夫婦で、好きになっていた沖縄に沖縄移住を決断した。「刺激を受けながら生きていくのが、長生きの秘訣。それには沖縄しか浮かばなかった。いざ住みはじめると、見聞してきた沖縄とはかなり違っていた」と話す。『百歳目指す 沖縄移住』の講演会では、いくつもの事例を挙げられた。
琉球王国はかつて中国、東南アジア、薩摩、さらに江戸文化なども受け入れ、世界を相手にした交易で栄えていた。だから、ジャミセンはインドニシキヘビの革を使う。泡盛はタイ米で発酵させて作る。特産品の昆布料理は、北海道産の昆布を使う。幅広い交易が文化や特産品として継続されている。ほかにも早くから中国の航海術を学びいれていた。華岡青洲よりも、約100年前に全身麻酔の技術が琉球にあったのだという。
琉球王国は永く独立性を保ってきた。しかし、豊臣秀吉からのいじめから端を発し、兵力を持った薩摩の侵攻を受けた。武力を持たない国王は「民の命を守りたい」といい、薩摩の属国になった。国王は囚われの身となり、江戸にも送られた経緯がある。それでも、沖縄は独立国に変わりなかった。黒船に乗ったペリーが琉球にやってきて独立国として条約を結んだ。アメリカすらも独立国として認めていたのだ。ペルーはその後に日米和親条約を結んだ。
明治政府が廃藩置県のあと、明治12年に沖縄県として琉球を吸収したのだ。しかも、法律の面では本土と差別されてきたのだ。第二次世界大戦の末期には、日本が沖縄に軍隊を送り込み、地上戦が行われた。この戦いで文化、歴史、人の生命も失った。そして、アメリカの支配下に置かれた。やがて、本土復帰だ。
「なにが本土復帰かわからない。ことばが通じる、それだけのことだった。琉球王国の風土が根づいた沖縄では、グローバルに世界を見つめている。沖縄のどんな小さな島に行っても、外国の話が出てくる。東京指向はない。なんとか銀座もない。日本は外国扱いだ。沖縄の人は『日本人が来ている』といい、遠く離れて日本を見ているのだ」と語る。
「沖縄の人は、基地は嫌いだが、アメリカ人は好きだ。日本よりも好きだ。こういうことを、日本人はわかっていない」と教える。沖縄の人は自然と闘わない。台風の受け方もちがう。渇水で困ると、「そろそろ台風が来るよ」と語り合う。台風は恵みの雨で、海をきれいにしていく。3日もすれば通り過ぎるもの。自然に逆らっても仕方ないと考える。
沖縄の人は家族とも、友達とも、他国とも仲良くする。長い歴史から、それを心得ている。「沖縄の島には警察も、裁判もない。それがあると世の中がおかしくなる。横社会で、縦社会でなく、人間として付き合えるところだ」と話す。
年配者は元気だ。80歳、90歳は現役。歯が丈夫だから、ステーキをもぺろりと食べる。78歳のゆたかさんはまだ若手。「80歳にもならないで、なにを言うか」、と叱られる。沖縄にはパワーを感じるのだという。ゆたかさんは沖縄の魅力の裏づけとして、「娘夫婦も、沖縄に移り住みました」とつけ加えた。
45分間の講演だったが、実体験から、退職後の人生の過ごし方へ豊富な示唆があった。思い切って踏み出す勇気、新たな環境から得られる刺激、貪欲な知識欲による自身への活性化など、学ぶ点が多かった。人生百年、残る生き方の重要性を教えてくれた。【了】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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法律は権利・義務を定めた皆の幸せの道具。いまでは喧嘩の道具となってしまった。東京高裁長官になったゆたかさんは「定年後、法律以外のことで過ごしたい。いい知恵はないか? 東京に残れば、法律の仕事に縛られる。一生、法律に殺されてしまう」。列車好きで全国を知り尽くす。地方に住むならば、寒いよりも暖かいほうが良いと考えたのだという。
ゆたかさんは夫婦で、好きになっていた沖縄に沖縄移住を決断した。「刺激を受けながら生きていくのが、長生きの秘訣。それには沖縄しか浮かばなかった。いざ住みはじめると、見聞してきた沖縄とはかなり違っていた」と話す。『百歳目指す 沖縄移住』の講演会では、いくつもの事例を挙げられた。
琉球王国はかつて中国、東南アジア、薩摩、さらに江戸文化なども受け入れ、世界を相手にした交易で栄えていた。だから、ジャミセンはインドニシキヘビの革を使う。泡盛はタイ米で発酵させて作る。特産品の昆布料理は、北海道産の昆布を使う。幅広い交易が文化や特産品として継続されている。ほかにも早くから中国の航海術を学びいれていた。華岡青洲よりも、約100年前に全身麻酔の技術が琉球にあったのだという。
琉球王国は永く独立性を保ってきた。しかし、豊臣秀吉からのいじめから端を発し、兵力を持った薩摩の侵攻を受けた。武力を持たない国王は「民の命を守りたい」といい、薩摩の属国になった。国王は囚われの身となり、江戸にも送られた経緯がある。それでも、沖縄は独立国に変わりなかった。黒船に乗ったペリーが琉球にやってきて独立国として条約を結んだ。アメリカすらも独立国として認めていたのだ。ペルーはその後に日米和親条約を結んだ。
明治政府が廃藩置県のあと、明治12年に沖縄県として琉球を吸収したのだ。しかも、法律の面では本土と差別されてきたのだ。第二次世界大戦の末期には、日本が沖縄に軍隊を送り込み、地上戦が行われた。この戦いで文化、歴史、人の生命も失った。そして、アメリカの支配下に置かれた。やがて、本土復帰だ。
「なにが本土復帰かわからない。ことばが通じる、それだけのことだった。琉球王国の風土が根づいた沖縄では、グローバルに世界を見つめている。沖縄のどんな小さな島に行っても、外国の話が出てくる。東京指向はない。なんとか銀座もない。日本は外国扱いだ。沖縄の人は『日本人が来ている』といい、遠く離れて日本を見ているのだ」と語る。
「沖縄の人は、基地は嫌いだが、アメリカ人は好きだ。日本よりも好きだ。こういうことを、日本人はわかっていない」と教える。沖縄の人は自然と闘わない。台風の受け方もちがう。渇水で困ると、「そろそろ台風が来るよ」と語り合う。台風は恵みの雨で、海をきれいにしていく。3日もすれば通り過ぎるもの。自然に逆らっても仕方ないと考える。
沖縄の人は家族とも、友達とも、他国とも仲良くする。長い歴史から、それを心得ている。「沖縄の島には警察も、裁判もない。それがあると世の中がおかしくなる。横社会で、縦社会でなく、人間として付き合えるところだ」と話す。
年配者は元気だ。80歳、90歳は現役。歯が丈夫だから、ステーキをもぺろりと食べる。78歳のゆたかさんはまだ若手。「80歳にもならないで、なにを言うか」、と叱られる。沖縄にはパワーを感じるのだという。ゆたかさんは沖縄の魅力の裏づけとして、「娘夫婦も、沖縄に移り住みました」とつけ加えた。
45分間の講演だったが、実体験から、退職後の人生の過ごし方へ豊富な示唆があった。思い切って踏み出す勇気、新たな環境から得られる刺激、貪欲な知識欲による自身への活性化など、学ぶ点が多かった。人生百年、残る生き方の重要性を教えてくれた。【了】
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