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【よこ顔】『沖縄暮らし』の魅力を語る元東京高裁長官=ゆたかはじめさん(上)

【よこ顔】『沖縄暮らし』の魅力を語る元東京高裁長官=ゆたかはじめさん(上)
ゆたかはじめさんは元東京高裁長官。定年後は夫婦で沖縄に渡り、14年間を暮らす。東京・九段会館で、(撮影:穂高健一、7日)
【PJ 2007年02月21日】− 団塊の世代が4月から大量にリタイアしてくる。いまや人生100年の時代だ。大都会の雑踏から逃れ、残る40年間は有意義に田舎暮らしで過ごしたい、と考える人が多い。現実問題となると家族とか、住居とか、職場とか、諸般の事情で壁が高く、脱大都会の実現は難しいものだ。しかし、沖縄を愛し、願望どおり、リタイアの後に沖縄永住を果たした人物がいる。

 ゆたかはじめさん(78)は東京生まれの東京育ちだ。東京高裁長官だった判事の職を終えたあと、夫婦で沖縄に渡り、14年間を暮らす。むろん、身内がひとりもいない、東京からはるか数千キロも離れた場所だ。

 ゆたかさんはこの度招かれて、7日、東京・九段会館の瑠璃の間で、『百歳目指す 沖縄移住』というタイトルの講演を行った。主催は『元気に100歳』。沖縄暮らしの魅力と体験をユーモアたっぷりに語った。

 列車の旅が好きだったゆたかさんは、判事の時代は暇を見ては列車を乗りに出かけていた。北海道から鹿児島まで、津々浦々の駅を知り尽くす。沖縄には鉄道がないと信じ込んでいた。ところが、沖縄本島から400離れた南大東島には、サトウキビを運ぶ鉄道が走っている、と知った。

「それに乗りたくなった」と話す。1月から2月にかけてサトウキビの搬送の最盛期で、客を乗せる余裕がない、と断られたという。

(何とか乗れる手立てがないか?)

 現地とやり取りした結果、一週間前には線路の整備で試運転する。それに合わせて来島すれば、列車に乗せてくれると、約束ができた。

 南大東島には9人乗りの小型機で、風速10ノット以上ともなると欠航する。10日間くらい島に閉じ込められる僻地だった。「それでも乗ってみたかった」と話す。判事の仕事は多忙だが、半年前から仕事のやりくりをして出向いた。

 「釣りに来る大和人はいるが、列車に乗りにきた物好きは初めてだ、といわれました」と笑わす。特別列車がキビ畑のなかを走る。キビの花はススキに似ている。朝の陽を浴びると銀色に輝き、夕日では金色に光る、感動的な情景だった。島人からは心温まる歓待を受けた。

 「沖縄に魅せられた最初が、南大東島でした」と語る。ゆたかさんは島の歴史にもふれた。無人島だった南大東島だが、明治時代に八丈島の島民が80人ほど移住してきてサトウキビ栽培をはじめた。沖縄のなかでも、異色の文化、つまり江戸の文化が根付いためずらしい島だとも語る。

 「その後、偶然にも、私は沖縄への赴任が命じられました」と話す。判事は日本中を回らなければならない仕事で、赴任期間はふつう一年半。「この間に、沖縄を自分の肌で感じよう、とジョギングと島巡りを試みました」。二つの目標を持った。一つは沖縄にある46、47島を回る。もう一つは沖縄本島(南北に130キロ以上)をジョギングで、『一人駅伝』を試みることだった。

 一人駅伝は路線バスで出向き、一区間を決めて走ってくる。「那覇に向かって走ってくるから、だんだんバス代が安くなる」とユーモアたっぷりに話す。この体験では、新聞や書籍で知った沖縄とは違うものが見えてきたという。

 「各地には石碑がいくつもありました。それは流歌という、琉球時代からの独特の文化でした。五七五とは違い、流歌は八八六。琉球の言葉、歴史、心、気質を知らないと歌は詠めない。理解もできないものです。琉球王国の万葉集で、いまも1300以上の歌が残っている」と語る。

 「沖縄が独立国だった。それすらも知らなかった」とゆたかさんは話す。琉球王国は約600年にわたって海外交易で繁栄していた。武器も持たず、憲法もなければ、鎖国もなかった。琉球王城は外国と戦ったことがない。「これはカルチャーショックでした」と話す。

 徳川時代は三百年安泰だったけれど、鎖国でしばられた文化だった。自由貿易のなかで、海外と仲良くして国を富むという、国策で琉球王国は安泰を保っていた。タイ、中国、朝鮮など各国の交易は沖縄王国を介して行われた。むしろ、琉球を通さなければならないくらい、アジアの中心的存在だった。

 「首里城は敵国と戦うための城郭でなく、宮殿です。外国からの来賓をもてなす迎賓館でした」とゆたかさんは、琉球国の素晴らしさを語る。【つづく】

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記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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