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言論の自由と平和憲法は、ペンの力で守れ!

【PJ 2007年02月18日】− 日本ペンクラブ(井上ひさし会長)の07年初の例会が15日、東京千代田区の東京會舘で開催された。総合司会の高橋千劔破常務理事の進行で、恒例となったミニ講演会が行われた。今回は辻井喬さんで、「老いと文学、老いの文学」だった。辻井さんは開口一番、むずかしいテーマを引き受けたという。

 老いについて書かれた本は最近、関心を集めている、と語る。黒井千次さんのエッセイから引用し、ここ20年で男性の平均寿命は4年延び、78.53歳。女性は5年延び、85.49歳になったと紹介する。「寿命は伸びたが、成熟した年寄りが少なくなった」と話す。かつて60歳にもなれば、還暦の重みがあった。お隣のご隠居は怖かったものだ。しかし、いまでは70歳になっても威厳がないという。

 辻井さんは、シェークスピアの『リア王』をたとえに出す。王には三人の娘がいた。長女、次女はつねに父親を褒め称えていた。三女はお世辞を言わないし、自己の考えを述べる。しかし、80歳になったリア王は優遇していた長女、次女から追い出されてしまった。人を見る目がなかったと、臍(ほぞ)をかむ。リア王のように80歳になってでも、成熟の境地にはまだ達しないようだ。「私はひとを見る目がなかったから、文士になれた」と辻井さんは会場を笑わす。

 年取るほどに、マイナスが重なる、という考えは最近のもの。世阿弥は『年を取るほど、いい花が咲く』と述べている。日本の文化や芸術のエッセンスは、老いは人生の問題として受け止めており、新しい宇宙を開くものだ。

 老いの文学の名著として、五人の作家をあげた。そのうちの一人、良寛の晩年を書いた瀬戸内寂聴さんを取り上げた。彼女の意欲的な活動を褒め称えた。「瀬戸内さんを見るかぎり、うまく年を取ることは異性を知ることのようだ。男が成熟するには、女性からいろいろことを学ぶこと。異性を知り、深く付き合うことが必要だ」とユーモアたっぷりに語った。そして、テーマの核心に入った。

 平和憲法を守るために、年寄りが前に出て行くと、「いくつになったら、書生論を止めるんだ」と阻む。「青臭い議論をするな」といわれる。年寄りは疎外される面がある。「戦争を知る世代が発言しなくなれば、平和憲法が守れない。老いの問題は、戦争と憲法の問題に踏み込むことだ」と話す。

 平和憲法があればこそ、貿易もうまくいくし、国は安心して発展していける。平和憲法の維持は大切。国民の90パーセントの人が「平和と人権を守るべきだ」と賛成しているはず。ところが、国政選挙になると、旧憲法を目指すひとが増えてくる。「改革」を口にする説明抜きのキャッチフレーズで、国政選挙で当選してくるからだ。歴史的に見ても、「改革」を口にする人で、改革が出来たためしはない。

 文学者にも責任がある。単に「平和憲法を守れ」というだけでは表現が硬い。憲法は生活の問題だ。思想を日常生活として受け止め、書きたいことを書いた結果が戦争反対にならなければならない。
「私たちの世代は、かつての戦争を覚えている。ここで平和憲法が守るためにも、いい老人として頑張らなくてはならない」と辻井さんは強調した。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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