2月22日〜23日に開催されるアジアオンラインゲームカンファレス2007(AOGC2007)。多岐にわたる課題のひとつとして上げられているのがオンラインゲームとしては既に大国としてのポジショニングを確立しつつある中国。同時に注目されるのが海外におけるグローバルネットワークを生かしたコンテンツ開発システムの現状。これらの課題を一つにまとめたセッションをおこなうのが本誌のコラムを担当している立命館大学の中村彰憲氏だ。今回、中村氏に講演の概略について、メールでの事前インタビューをおこなった。


Q:今回のAOGCではどのような内容の講演をされるのでしょうか?

中村:今回の講演は、これまで継続的に研究テーマとして進めてきた、中国オンラインゲーム産業の現況と、ゲーム開発における国際分業の状況という二つの側面について言及していきたいと思います。

Q:それぞれの課題について講演のポイントは?

中村:まず、中国オンラインゲーム産業の状況についてですが、現在の市況や、課題など、出来るだけ分かりやすく伝えていきたいと思っています。

Q:2006年度の動きについて、特に重要な点として何が挙げられるでしょう?

中村:月額課金型 vs. アイテム課金型、というビジネスモデルの中国における現状や、中国独自に形成されつつある、ユーザを中心としたバリューチェーンについてですね。昨年はリアルマネートレードを中心としたバリューチェーンについて言及したのですが、これとはまた別の状況が生まれつつあるようです。

Q:2006年は、オンラインゲームのゲームプレイの時間を制限する規定が正式に設けられ、中国オンラインゲーム業界にとっては多難な一年だったようですが?

中村:たしかにそのような面もありますが、CNNICによる最新の調査結果によると、全人口の約1割にあたる1億3700万人がネットユーザであり、アンケート回答者の26%以上がネットで行う活動のひとつとしてオンラインゲームをあげています。このように巨大なユーザを抱える中国市場は、規制の存在を差し引いてもダイナミックです。

Q:また、今回はゲーム開発における国際分業についても言及されるとのことですが。

中村:ゲーム開発費の高騰化が進んだ今、ゲーム産業の現況を探る上で避けては通れない話題になりつつあると思います。最近話題の、アイデア重視・実用性重視のコンテンツであれば、少数グループで密にコミュニケーションをとりながら開発することが重視されると思いますが、オンラインゲームやポータルの場合、継続的にアップデートを行ったり定期的にカジュアルゲームコンテンツを導入しなければならないため、グローバルネットワークを活用する事を戦略のオプションとして考慮することは、企業経営にとって意義があると感じています。

Q:やはり、コスト削減というのは重要な課題というわけですね。

中村:国際分業とは言っても、全てが全てコストダウンというわけではないのが現在の状況です。あるメーカーでヒアリング調査を実施した際、彼らがキーワードとして使っていた言葉はアウトソースではなくライトソースでした。

Q:権利、のライトですか?

中村:いいえ。「正しい」のRightですね。市場のニーズや状況にあわせ、コストで行くのかクオリティで行くのかと考えながら、パートナーとして連携しているスタジオの強みを生かせるような活用を考えていくということのようです。現在は大規模スタジオだけでなく、中小規模の海外ゲームスタジオも生き残りをかけて多様な連携を進めている企業が存在します。このような実態について、類型的に説明したうえで問題定義が出来ればと考えております。