国税庁のWebサイト「TAXアンサー」で基礎知識がわかる
 MMORPGのA3で日本初のプロゲーマー制度が始まった。既に2回のトーナメントが開催されて、8つの騎士団がプロゲーマーとなった。3月25日に開催される第3回トーナメントでプロゲーマー騎士団が入賞すると賞金が支払われる。これで“ゲームプレイで報酬を得る”という正真正銘のプロゲームチームの誕生というわけだ。ところで、プロゲーマーとして報酬を受け取れば、その賞金(あるいは賞品の対価)も所得税の対象になる。そこで、今回はプロゲーマーと税金について考察してみよう。ちょうど2月16日から確定申告が始まる。昨年、ゲーム大会で高額の賞金を獲得した人も注目して頂きたい。

 まず、ゲーム大会に出場して賞金を得た場合、それは収入となる。収入から必要経費を差し引いた額が所得であり、所得税の対象になると心得ておこう。ただし獲得した賞金額が少なければ各種の所得控除と相殺されてしまうので税金は発生しない。また、オリンピックのメダリストが日本オリンピック委員会から受け取る報奨金や学術奨励金は非課税になっている。先日、Eスポーツが2007年のアジア室内大会の競技種目として選ばれたが、もしここであなたが金メダルを取り、日本オリンピック委員会から報奨金を得た場合は非課税となる。また、韓国で開催されたWCG(World Cyber Games)で主催社が日本のゲーム雑誌に対して「選手に渡すお金は賞金ではなく奨学金である」というコメントを残しているが、これも実は、少年に巨額のお金が渡ることの是非を考慮したと言うより、課税、非課税の区分を意識したものだと思われる。

 では、どのくらいの賞金を獲得すると所得税がかかるのだろうか。所得税の有無を明確にする手段は確定申告なので、国税庁のWebサイトから確定申告特集やタックスアンサーを参照してみよう。あなたが学生、フリーター、サラリーマンである場合は、ゲーム大会の賞金は一時所得となる。この場合、賞金から賞金を得るために支出した金額を引き、さらに特別控除額の50万円を引いて、残った金額が所得となり、所得税の対象だ。

 つまり、賞金総額が50万円以下の場合は税金がかからない。残念ながら現在の日本では50万円以上の賞金がかるゲーム大会は開催されていない。A3の賞金トーナメントの優勝賞金は80万円だが、これは騎士団に対して支払われるから、1試合につき、ひとりあたりの賞金は20万円に満たないと思われる。したがって、現在、課税されるゲーマーは日本にはいない。

 それでは今回の話は終わってしまうので、もし日本で高額賞金を獲得し続けるプロゲーマーが誕生したら、という夢のような話をしてみたい。たとえば、あなたがゲーム大会に連続して出場し、年間賞金総額が500万円となった場合はどうなるか。この場合、先ほど示したように、賞金から賞金を獲得するために支出した金額、つまり経費を差し引く。そこからさらに50万円を引いた金額が課税所得になる。

 ここで問題になるのは経費だ。

 賞金を獲得するための金額とは何を指すだろうか。間違いなく経費になる金額は、自宅とゲーム大会の会場を往復するための交通費だ。しかし、ゲーム大会に参加するために新調したキーボードやマウス、ヘッドセット、衣類などは、全額経費にはできないと考えた方が良いだろう。ゲーム大会の練習のために買ったPCは経費だよね!というのも認められない。これらの物品はゲーム大会以外でも使うことになるわけで、経費算入する場合、全使用時間のうち、プロ活動で使用する時間を計算し、代金からその割合を計算せよ、となるだろう。これは税務用語で「按分(あんぶん)する」といい、自宅で仕事をしている人の電気料金などで使われる方式だ。では、ゲーム大会の参加の条件として、特定のマウスやPCなどの購入が義務づけられた場合はどうか、これはかなり難しい問題で、税理士でもない私が言及するには相応ではない。素直に税務署に相談することをお勧めする。実は経費には明確な基準が無く、納税者と税務署の間で見解が分かれることが多い。よく脱税事件のニュースで、税務の解釈の違いなどと釈明されることがあるけれど、実際こんなことは個人事業主レベルでもよくあることなのだ。