不二家に続く「お詫び合戦」と「ISOの神通力」
2007年02月14日07時32分 / 提供:PJ
経済産業省は、先に不二家が取得した品質・環境管理の国際規格ISOが適正に順守されていたのか審査するよう同省所管の財団法人「日本適合性認定協会」を通じ民間の認証機関に要請した。その後1月31日に不二家は、一般菓子を製造する平塚など3工場が既に取得している品質管理の国際規格「ISO9001」の基準を満たさず、認証機関から是正勧告を受けたことを明らかにした。さらに2月8日、洋菓子の埼玉工場で環境管理の「ISO14001」の登録が7日付で一時停止になったと発表した。
不二家不祥事のあと、食品メーカーは賞味期限切れ原材料の使用や異物混入等の事実を続々と公表し、まるで「お詫び合戦」の様相を呈している。その食品メーカーは、はごろもフーズ、ロッテ、味の素、丸美屋食品工業、加藤産業、サントリー、コカ・コーラ、ユニリーバ・ジャパン、三井農林、おたべ、ダスキン、ニチロ(東京新聞2月10日付「不二家問題発覚後の主な食品回収」のうち食品メーカー列挙)と、一流企業と言われる名前がずらりと並ぶ。そのお詫びの内容には幸い事故にはつながらなかったものの、カッターナイフの欠片やガラス片や金属片等の混入といった物騒なものもあった。またそれ以外のものでは賞味期限切れ、消費期限切れ、遺伝子組み換え米の原料混入という食品メーカーにとって品質管理の根本的な姿勢にかかわるものも散見された。
こうした不良品がこれだけこの時機にしかも短期間に集中して発生することは通常では考え難い。これまでもこうした事例は起こっていたと考えるのが常識的なとらえ方ではなかろうか。2000年の雪印乳業の集団中毒事件が風化しかけたこの1月、不二家不祥事が公表された。そこから食品業界に雪印乳業の悪夢が再びよみがえったとしか考えられない。
喉もと過ぎて忘れ去られていた危機管理意識が急速に高まった結果とも見られる。不良品がわずかでも出荷された場合でも即座に公表しないとどんな風評被害が出るかも知れぬと慌てふためく様がどこか情けなくもある。ただこうした企業体質の透明性は消費者にとって「食の安全」意識が高まるなかで歓迎されることではある。また今度こそ、われわれの口に毎日入る食品を扱うメーカーとしての企業倫理の定着を強く望みたいところである。
ところで不二家で今回、認証登録が一時停止となったISOとは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称であるが、1946年にロンドンで「製品サービス」などの世界的な標準化を目的として設立された組織である。品質面でのマネジメントシステムがISO9000シリーズ、環境面でのマネジメントシステムがISO14000シリーズと言われる。今回の不二家が是正を求められたのは品質管理の「ISO9001」であり、登録の一次停止となったのが環境管理の「ISO14001」である。
最近、日本では中小企業に至るまでISOを取得したと標榜する企業が多い。商取引、なかんずく、国際間取引ではISOの認証がなければ商売が成立しないといっても過言ではない。とくにISOの本場であるヨーロッパ市場における取引ではその認証登録は必須である。品質面や環境面の条件をクリアーした工程管理マニュアルの整備こそISO認証の条件であり、そのマニュアル通りに商品を作れば、品質面、環境面においても妥当な水準を超えたものが出てくるということを保証するのがISOの認証制度であると言える。
そうした制度自体は国際基準として確立されたものであり、国際間の取引が進展するなかで客観的な基準としてISO認証が使われる意味合いは大きい。
しかし不二家を含め何らかの不良品出荷を公表した前述のはごろもフーズ以下食品メーカー13社のうち、ISO9001の取得企業が9社(69%)、14001の取得企業は8社(62%)を数える。そうした企業が問題を起こす、それも6〜7割の割合であるから半端ではない。ISO認証機関から品質面、環境面について工程管理上の問題はないとお墨付きをもらっている企業である。
そう考えるとマニュアルだけどんなにりっぱなものを作成し、備え付けたところで、物作りに従事する人間一人一人の意識が常に人の口に入る商品を作っているのだと言う緊張感や職業に対する誇りのようなものがなければ、意味がないということをこのISO認証方式はいみじくも示してくれたとも言える。今回の食品メーカーの引き続く不祥事は、分厚いマニュアルやどんな神通力よりも人間の物作りに対する真摯な意識がもっとも大切であることを改めてわれわれに教えてくれているような気がするのである。【了】
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不二家不祥事のあと、食品メーカーは賞味期限切れ原材料の使用や異物混入等の事実を続々と公表し、まるで「お詫び合戦」の様相を呈している。その食品メーカーは、はごろもフーズ、ロッテ、味の素、丸美屋食品工業、加藤産業、サントリー、コカ・コーラ、ユニリーバ・ジャパン、三井農林、おたべ、ダスキン、ニチロ(東京新聞2月10日付「不二家問題発覚後の主な食品回収」のうち食品メーカー列挙)と、一流企業と言われる名前がずらりと並ぶ。そのお詫びの内容には幸い事故にはつながらなかったものの、カッターナイフの欠片やガラス片や金属片等の混入といった物騒なものもあった。またそれ以外のものでは賞味期限切れ、消費期限切れ、遺伝子組み換え米の原料混入という食品メーカーにとって品質管理の根本的な姿勢にかかわるものも散見された。
こうした不良品がこれだけこの時機にしかも短期間に集中して発生することは通常では考え難い。これまでもこうした事例は起こっていたと考えるのが常識的なとらえ方ではなかろうか。2000年の雪印乳業の集団中毒事件が風化しかけたこの1月、不二家不祥事が公表された。そこから食品業界に雪印乳業の悪夢が再びよみがえったとしか考えられない。
喉もと過ぎて忘れ去られていた危機管理意識が急速に高まった結果とも見られる。不良品がわずかでも出荷された場合でも即座に公表しないとどんな風評被害が出るかも知れぬと慌てふためく様がどこか情けなくもある。ただこうした企業体質の透明性は消費者にとって「食の安全」意識が高まるなかで歓迎されることではある。また今度こそ、われわれの口に毎日入る食品を扱うメーカーとしての企業倫理の定着を強く望みたいところである。
ところで不二家で今回、認証登録が一時停止となったISOとは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称であるが、1946年にロンドンで「製品サービス」などの世界的な標準化を目的として設立された組織である。品質面でのマネジメントシステムがISO9000シリーズ、環境面でのマネジメントシステムがISO14000シリーズと言われる。今回の不二家が是正を求められたのは品質管理の「ISO9001」であり、登録の一次停止となったのが環境管理の「ISO14001」である。
最近、日本では中小企業に至るまでISOを取得したと標榜する企業が多い。商取引、なかんずく、国際間取引ではISOの認証がなければ商売が成立しないといっても過言ではない。とくにISOの本場であるヨーロッパ市場における取引ではその認証登録は必須である。品質面や環境面の条件をクリアーした工程管理マニュアルの整備こそISO認証の条件であり、そのマニュアル通りに商品を作れば、品質面、環境面においても妥当な水準を超えたものが出てくるということを保証するのがISOの認証制度であると言える。
そうした制度自体は国際基準として確立されたものであり、国際間の取引が進展するなかで客観的な基準としてISO認証が使われる意味合いは大きい。
しかし不二家を含め何らかの不良品出荷を公表した前述のはごろもフーズ以下食品メーカー13社のうち、ISO9001の取得企業が9社(69%)、14001の取得企業は8社(62%)を数える。そうした企業が問題を起こす、それも6〜7割の割合であるから半端ではない。ISO認証機関から品質面、環境面について工程管理上の問題はないとお墨付きをもらっている企業である。
そう考えるとマニュアルだけどんなにりっぱなものを作成し、備え付けたところで、物作りに従事する人間一人一人の意識が常に人の口に入る商品を作っているのだと言う緊張感や職業に対する誇りのようなものがなければ、意味がないということをこのISO認証方式はいみじくも示してくれたとも言える。今回の食品メーカーの引き続く不祥事は、分厚いマニュアルやどんな神通力よりも人間の物作りに対する真摯な意識がもっとも大切であることを改めてわれわれに教えてくれているような気がするのである。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 野田 博明
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