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シド・ビシャスの「狂気の舞台」、NYのチェルシーホテル

シド・ビシャスの「狂気の舞台」、NYのチェルシーホテル
"The lobby of the Chelsea Hotel" (撮影:池野 徹)
【PJ 2007年02月04日】− 1979年2月2日、イギリスのパンクバンド、セックス・ピストルズのベーシスト、シド・ビシャス(1957-1979)は、恋人、ナンシー・スパンゲンを1978年、ニューヨークのチェルシーホテルのバスルームで刺殺。逮捕されて保釈中であったが、「ナンシーが待っている」と言い残し、ヘロイン中毒過多のため、死亡した。恋人の死後3カ月、同じニューヨーク、チェルシーホテルでの出来事であった。1986年「シド・アンド・ナンシー」として、映画にもなったが、21歳の若さ、今からちょうど28年前の事である。

 ニューヨークの空港へ着く。タクシーを呼ぶ。運転手に「23rd、 Between 7 & 8」と言うと、チェルシーホテルに着くのである。ニューヨークに行った時は、よく泊まる大好きなホテルである。1970年代から行っているが、友人のヘアデザイナー、ミッキーこと、三川朝男がチェルシーホテルのペントハウスに住んでいたからである。このホテルは1883年創設。ビクトリアン・ゴシックのレンガ造り12階建て、屋根裏部屋在り、ペントハウススタイルでアパートメントになっている。それから、114年にもなるニューヨークでも古いホテルである。特徴は、画家、ミュージッシャン、写真家、俳優等様々なナショナリティ、マルチなクリエイティブのアーティストが、このホテルを通り過ぎて来ている事である。

 詩人ディラン・トーマス、「写真家集団マグナム」の写真家アンリ・カルティエ・ブレッソン、映画、「2001年宇宙の旅」のSF作家、アーサー・C・クラーク、小説家・俳優、ウイリアム・S・バロウズ、歌手、パティ・スミス、写真家、ロバート・メイプルソープ、俳優・劇作家、サム・シェパード、画家、アンディ・ウオーホール、歌手、ジャニス・ジョプリンそして、「セックス・ピストルズ」のシド・アンド・ナンシー。1950年代から80年代これらのアーティストがニューヨークのチェルシーホテルのある、街に強烈な光と影を残したのである。

 エントランスを入ると、ロビーがあり、そこには、このホテルにペイできなかった若き作家たちの作品が、所狭しとディスプレイされている。右手のエレベーターは2基あるが、実に頼りなげに動いている。時々途中停車する。このホテルの祟りだと諦めて驚きもしない不思議さだ。建物の中央に螺旋状の階段がある。上から見ると吸い込まれそうに恐い。事実年に何人もの自殺者が出るという。夜中に酔っていたら、決して覗き込まない事だ。100年以上も経っているから、古いのは当たり前で、ゴーストが出ても当たり前と住人は思っている。

 ペントハウスから屋上に出ると植物が植えられている。夜のマンハッタンの中に、エンパイアステートが美しく見える。アーサー・C・クラークの部屋に泊まった事あるが、窓からは向かいのビルに住む猫の家族が見えた、此処で「2001年宇宙の旅」の脚本を書いていたのだと思うと想像力の豊かさが感じられた。

 シド・ビシャスが恋人ナンシーを刺し、自殺したのも、このチェルシーホテルの舞台があったからと思えるのは、不思議ではないのである。彼等のパンクバンド「セックス・ピストルズ」はロンドンのキングスロードにあるファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドのブティック「SEX」のマネージメント、マルコム・マクラレンが、ニューヨークのロックバンド「ニューヨークドールズ」から、ニューヨークパンクムーブメントをロンドンで仕掛けて結成したロックバンドである。

 1976年にデビューして、ショートカットのつんつんヘッド、切り裂いた服を安全ピンで留める、南京錠のネックレス、リングベルトと、長髪に対するアンチファッションを装い登場、Fuck用語を連発。当時の不満の若者労働者階級をとらえたのだ。シングルで「Anarchy In The U.K.」「God Save The Queeen」アルバム「勝手にしやがれ」と暴れまくり、1978年にボーカルのジョニー・ロットンが脱退、わずか2年で解散となった。

 あっという間の2年間を、光と影のごとく通り過ぎたのである。しかし、そのサウンド、パンクロック、パンクファッションは、いまだに21世紀にも引き継がれている。ロックムーブメントは、1980年「ビートルズ」のジョン・レノンがニューヨークのダコタハウス前で凶弾に倒れ、1994年グランジロックを代表するロックバンド、「ニルバーナ」のギタリスト、カート・コバーンの衝撃死以来、最長最強のビッグジャイアンツ、ロックバンドは、ローリング・ストーンズになってしまっている感がするのも、何とも信じられない事であるが、その存在に乾杯せずにはいられない。ロックの舞台となったチェルシーホテルで、ミックやキース、ロンやチャーリーと再会する日も来るような気がする。

 “The time as it passes,Keep rolling !”【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 池野 徹【 千葉県 】
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