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相談者は被疑者です!?

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相談者は被疑者です!?
警察庁が入る東京・霞が関の合同庁舎。法案をめぐって、「依頼者との信頼関係が崩れてしまう」と訴える日弁連と対立している(撮影:徳永裕介)

弁護士らに当局への通報義務付け 政府が法案提出準備

【ライブドア・ニュース 2007年01月31日】− 弁護士に相談したら、知らない間に捜査当局に通報されていた──。こんなことが、近い将来現実になるかもしれない。政府がマネーロンダリングなどへの対策として国会提出を準備している「犯罪収益流通防止法案」(仮称)。疑わしい取引を知った場合に当局への報告義務を約50の職種で課す内容だけに、「国民を警察の手先にするのか」と反対の声が上がっている。

 マネーロンダリング対策では、すでに金融機関に本人確認と疑わしい取引を捜査当局に届け出る義務を課しており、利用者には知らされずに当局へ届け出される情報は年1万件にも上るといわれる。「ゲートキーパー(門番)法案」や「警察への依頼者密告法案」と呼ばれる今回の法案では、これらの届け出義務を約50の職種に広げる。

 対象となるのは弁護士のほか、公認会計士、税理士、司法書士、不動産業者、郵便受取代行業、電話受付(電話秘書)代行業など。いずれも個人情報を扱う職種なのが特徴だ。

 ポイントは、これらの業種の人が主観的に「疑わしい」と思った情報ではなく、“客観的に”犯罪と関係がある情報を、相談者には内密に届けなければならないこと。義務違反になることを恐れ、少しでもあやしい情報は届け出ることになりかねない(日弁連関係者)という。

 そもそも今回の立法は、1989年の仏アルシェ・サミットで設置が決めれれたFATF(金融活動作業部会)の勧告に依拠している。2003年に出された勧告では、マネーロンダリング規制の対象を、それまでの金融機関から弁護士、会計士などへ広げ、顧客の本人確認および疑わしい取引の届出の義務付けを参加各国に求めた。

 特に熱心に取り組んだのは英国。相談内容を捜査当局に通報する弁護士を、相談者は信頼をしなくなったと指摘され、他のEU各国も立法化はしたものの運用面で形骸化させている。米国も金融機関以外に広げる部分は法制化していないのが実情だ。

 この問題に詳しい山下幸夫弁護士は、「弁護士は依頼者から重要な情報はすべて教えてもらえないと、適切なアドバイスができるか疑問だ。不正確な情報で判断せざるを得なくなると、依頼者にとっても不利益なはず」と警鐘を鳴らす。さらに「弁護士は信頼して相談できる対象ではなくなるわけだから、市民が司法制度の中で権利行使が十分できなってしまう」と、弁護士制度自体の危機でもあると訴えている。

 ファイル交換ソフト「ウィニー」により警察の捜査情報の流出が相次いだのは記憶に新しい。当局に個人情報を大量に蓄積させる今回の法案の内容は、まだ国民には十分伝わっていない。【了】

ライブドア・ニュース 徳永裕介
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