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恐ろしい誤報の連鎖、マスコミが創作する「事実」の再生産

【PJ 2007年01月31日】− 30日発行の『夕刊フジ』が「ライブドア自前報道部門を廃止」「不採算」「『だれでも記者に』たった2年で」との見出しを打った記事の中で、「市民記者(パブリックジャーナリスト)が本格的に活動するとして注目されたが、開始から2年足らずで『不採算部門』として切り捨てられることになった」などと、PJニュースが廃止されるかのような内容を掲載した。『夕刊フジ』からのPJニュースへの直接取材はなく、「関係者によると」などと真偽定かでない。

 この記事の出どころを辿ると日本テレビのニュース専門チャンネル「日テレNEWS24」ライブドア 自前の報道部門を閉鎖へ(1月30日午前8時19分付)と題した記事のようだった。内容が似通っているし、いずれもPJニュースとライブドア・ニュースを混同している誤報の個所が同じなのだ。

 この話題を先に報じた日テレNEWS24は、「ライブドア」が自前の報道部門を閉鎖することが、日本テレビの取材で明らかになった。ライブドアは記者、カメラマンなど約25人からなる自前の報道部門を持ち、ネット上でニュースを配信してきた。ライブドアへの強制捜査の際には、社内で堀江貴文被告に単独インタビューし、掲載するなど、注目を集めていた。しかし、経営の立て直しに伴う不採算事業の整理のため、2月末でこの報道部門を閉鎖することを決めたもの。閉鎖によるリストラ効果は2億〜3億円を見込んでいる。なお、新聞社や通信社などほかのメディアから供給を受けて配信するサービスは、継続する方針。などと記した。

 夕刊フジには「自前の報道部門を廃止することが30日、分かった」「現在は約25人の記者とカメラマンが所属している」「ライブドアの強制捜査時には困惑する社内の様子や堀江被告のインタビューを”スクープ”して話題となった」「関係者によると、今回の廃止で2−3億円のリストラ効果があるといい、報道各社が配信するニュースは引き続き掲載する」と記されていた。

 PJ小田はPJニュースの編集長であり、その責任をすべて負っている立場にあるのだが、この件に関して「日テレNEWS24」からも、「夕刊フジ」からも一切の取材はなかった。30日はこの誤報のおかげで、PJのみなさんや知人からPJ小田の電話はなりっぱなしだし、メールもあふれた。読者から危惧(きぐ)する声も数多く届けられた。幼稚園に通う息子からは「パパのお仕事なくなっちゃうの」と心配された。

 PJ小田の場合、大手マスメディアにははるか及ばないものの、PJニュースという誤報を質す表現の場があるからまだいい。これが市民社会に広く伝わる表現の道具を持たない市井の人々だったりすれば・・・。その人の生活自体が成り立たなくなってしまう危険性があるのだ。

 ドイツの社会学者、ニクラス・ルーマンはマスメディアによって現実世界が作り出されるといったが、今回の誤報の件でそれを実感する恐ろしい思いをした。市井の人々はマスメディアを疑いながらも、現実的にはそこに表象されるものでしか現実世界を受け取れないのである。マスメディアによって映し出される出来事に誤謬があっても、それが「事実」とされて再生産されていく。「事実」がマスメディアによって作り出されていくのだ。

 マスメディアによる事実創作の過程を批判的に検証し、反論する仕組みが無いことは、政治的な権力や経済的な権力を監視する仕組みが無いことよりも恐ろしい。市井の人々にとっては、区別の付かない事実と「事実」の両方を疑わなければならないのだから。【了】

■関連情報
PJニュース.net
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【 東京都 】
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