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博物館が入館無料の時代へ

博物館が入館無料の時代へ
「モバイルミュージアム」はローン事業というより「実験展示」であると説明する西野教授。25日、東京都文京区の東京大学総合研究博物館で。(撮影:佐藤学)

博物館法の根本に帰り、自由な実験展示を行う東大博物館

【ライブドア・ニュース 2007年01月26日】− 世界最大の博物館の一つである大英博物館は1753年の創設以来、入館無料という。同じく入館料を取らない東大キャンパス内にある東京大学総合研究博物館。同館研究部主任の西野嘉章教授は、入館料を取らないことで冒険的な試みが可能と話す。その西野教授に、国内外の博物館の現状と未来像を聞いてみた。

 ── ニューヨークのメトロポリタン美術館(推奨料金約2400円)やパリのルーブル美術館(約1320円)では、それぞれ入館料を取っていますが、美術館や博物館の収入は、入館料の他にあるのですか?

 「基本的に入館料と付属する売店の売り上げです。実は、国際法と国内法に、博物館法というものがありまして、日本の法律の場合、『公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但(ただ)し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる』と記されています。これと同じような法律を守っているのが英国です。約250年間続いている大英博物館でも、運営が厳しいため、これまで4回ほど『有料にしたらどうか』という議論が起こりましたが、国民がそれを拒否したわけです。これこそ、文化的社会と呼ぶことができるでしょう」

 ── 日本の美術館や博物館はどのように作られ、展示を開いてきたのですか?

 「戦後、日本には美術・博物館の建設ブームと呼べるものが3回程ありました。国内に約5600の“箱モノ”となる美術・博物館が生まれたのですが、コレクション(芸術作品)数はそれ程、増えていないわけです。ちょうどバブル期に、企業は投資として、世界で名高い芸術家の作品を買い求めたのです。時期的に、名画と呼ばれる作品で市場に出回っているモノは、非常に少なくなっていましたから、例えば、ピカソの3流品を高値で買わされ、バブルが弾けて安値で買い取られてしまうようなことになりました。ですから、あまり増えていないわけです」

 ── 残った“箱モノ”を使って、どのように展示品を集めたのですか?

 「最初は、高いお金を支払って、海外からコレクションを借りて展示していました。しかし、短期的な企画を続けてるにしても、限界があり、飽きられてしまったわけです。以前、上野の森に『モナリザ』を呼んで大衆動員したことが、美術館・博物館のあり方を定着させてしまったのです。文化とはそもそも黒字になるものではありませんから、社会が初めから、毎日の入館者数を100−200人で良いと認識しておれば、今日のような状態にはならなかったはずです。むしろ、社会にとって、そうした考え方が健全だったのです」

── 欧米の博物館の事情はいかがですか?

 「持っているコレクションが最初にあり、建物を設置して、常設で展示していくという方法が普通です。選んだコレクションを一定の期間で入れ替えながら、次世代につなげていくわけです。日本の場合は“イベント”になってしまいました。現在、入館有料のパリのルーブル美術館やニューヨークのメトロポリタン美術館など先進的な美術館では、『そろそろ博物館法の根本に戻って、入館無料にできないものか』という試みや検討が行われています。一例として、メトロポリタン美術館では、外部の援助を得て、ピカソの特別展を入館無料で行う実験をしています」ライブドア・ニュース 佐藤学
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