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【書評】『ウェブ2.0は夢か現実か?』佐々木俊尚著
2007年01月19日07時58分 / 提供:PJ
【PJ 2007年01月19日】−
「ウェブ2.0は夢か現実か?」(佐々木俊尚著、宝島社2006年8月刊)は、タイトルが、多くの「ウェブ2.0」関連書籍への疑問にピッタリとしていた。同時に、著者の佐々木俊尚氏が、インターネット新聞「オー・マイ・ニュース(日本語版)」の編集委員でありながら「オー・マイ・ニュース」への批判をインターネット媒体CNET−JAPANの個人ブログに展開していた面白さも気に入った。
「ウェッブ人間論」(梅田望夫・平野啓一郎対談、新潮新書2006年12月刊)、「ウェブ進化論」(梅田望夫著、ちくま新書2006年2月刊)では、「それではウェブ2.0は何を変えるのか?」についての明確な回答は得られなかった。しかしながら、本書はウェブ2.0のもたらす社会的影響を中心に解説しており非常にわかりやすかった。この理由の一つは、サイバーエージェント、アスクジープス(現アスクドットジェーピー)、ACCESS等の新興IT企業から、NTT、トヨタ、日本航空等の既存大企業に至るまで、具体的な企業名をあげながら最新のインターネット活用状況についても解説しており、一部は実務上参考になる記述も多かったこともある。
特に、第二章に書かれているライブドア事件の的確な分析は、事件直後のライブドア批判報道が続いていた時期に出版されたことを考えると、筆者の洞察力の鋭さに感心させられる。また、2ちゃんねるの西村博之氏とライブドアの堀江貴文氏に、「見も蓋もない」両者に共通する性格を見出している点も同意できる指摘であった。
テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力
この本のサブタイトルは、「テレビ・新聞を飲み込むネットの破壊力」である。そして、インターネットの個人ブログを始めとした消費者発信メディア(CGM)が有力になるとのテーゼ提起している。こうしたテーゼは、米ニューズウィーク誌が「Will the Blogs Kill Old Media?」で指摘し、日本でも時事通信社の湯川鶴章氏らが「ネットは新聞を殺すのか?」等で指摘しており、それ自体は珍しいものではない。
しかしながら、佐々木氏の指摘で感心させられたのは、第一章の「日本の新聞がなぜウェブ2.0に打ち倒されるのか」の記述や、「ウェブ2.0時代に出版業界はどうなっていくのか」で展開した新聞業界、出版業界の将来についての洞察である。彼の洞察を端的にいえば、紙面購読料に頼っている日本の大手新聞社は今のままでは衰退するが、企業規模の小さい出版業界は一発当てれば数年持つ側面があり当面は大丈夫というものだ。
佐々木氏は、1999年まで毎日新聞社会部の警視庁詰めの第一線記者としてテロや殺人事件の報道に携わってきた。そこにおける東京地検グループと警視庁グループの抗争について記述する。彼は、新聞社内の社内抗争は毎日新聞だけではなく、大なり小なり他の新聞社でも共通するという。こうした新聞社の内部事情についての記述は、ライブドア問題に関して手のひらを返したような報道がでてくる背景の一端が伺え、興味深く読むことが出来た。
とりわけ、佐々木氏が脳腫瘍で倒れ、その後回復して会社に出てきた時、敵対していた同年輩の同僚に言われたという言葉、「なんだまだ生きていたのか」の部分は、彼が毎日新聞社を辞めネット媒体に自ら飛び込んでいった要因を推察させ、非常に興味が惹かれたものである。毎日新聞を去りフリーランス・ジャーナリストとして生きる自分自身の正しさを再確認しながら書いていると考えると、記事内容に一層説得力も出てくる。
この本が取り上げているIT関連の話題は、多岐にわたり、一見経済週刊誌的な印象を受けるかもしれない。しかし、こうした記述のかいまを読み取ると、佐々木氏は、「ウェブ人間論」で語っている芥川賞作家、平野啓一郎氏と同様の文筆業でありながら、「こちら側」の世界から、「あちら側」の世界へと飛び立とうとしているパイオニアの一人なのかもしれない。【了】
■関連情報
次世代ウェブ グーグルの次のモデル佐々木俊尚著、2007年1月17日発売予定
佐々木俊尚「ジャーナリストの視点」(C−NET JAPANブログより)
佐々木俊尚さんとその責任の不在 オー・マイ・ニュース12月29日付記事
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 片岡孝二郎【 東京都 】
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「ウェッブ人間論」(梅田望夫・平野啓一郎対談、新潮新書2006年12月刊)、「ウェブ進化論」(梅田望夫著、ちくま新書2006年2月刊)では、「それではウェブ2.0は何を変えるのか?」についての明確な回答は得られなかった。しかしながら、本書はウェブ2.0のもたらす社会的影響を中心に解説しており非常にわかりやすかった。この理由の一つは、サイバーエージェント、アスクジープス(現アスクドットジェーピー)、ACCESS等の新興IT企業から、NTT、トヨタ、日本航空等の既存大企業に至るまで、具体的な企業名をあげながら最新のインターネット活用状況についても解説しており、一部は実務上参考になる記述も多かったこともある。
特に、第二章に書かれているライブドア事件の的確な分析は、事件直後のライブドア批判報道が続いていた時期に出版されたことを考えると、筆者の洞察力の鋭さに感心させられる。また、2ちゃんねるの西村博之氏とライブドアの堀江貴文氏に、「見も蓋もない」両者に共通する性格を見出している点も同意できる指摘であった。
テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力
この本のサブタイトルは、「テレビ・新聞を飲み込むネットの破壊力」である。そして、インターネットの個人ブログを始めとした消費者発信メディア(CGM)が有力になるとのテーゼ提起している。こうしたテーゼは、米ニューズウィーク誌が「Will the Blogs Kill Old Media?」で指摘し、日本でも時事通信社の湯川鶴章氏らが「ネットは新聞を殺すのか?」等で指摘しており、それ自体は珍しいものではない。
しかしながら、佐々木氏の指摘で感心させられたのは、第一章の「日本の新聞がなぜウェブ2.0に打ち倒されるのか」の記述や、「ウェブ2.0時代に出版業界はどうなっていくのか」で展開した新聞業界、出版業界の将来についての洞察である。彼の洞察を端的にいえば、紙面購読料に頼っている日本の大手新聞社は今のままでは衰退するが、企業規模の小さい出版業界は一発当てれば数年持つ側面があり当面は大丈夫というものだ。
佐々木氏は、1999年まで毎日新聞社会部の警視庁詰めの第一線記者としてテロや殺人事件の報道に携わってきた。そこにおける東京地検グループと警視庁グループの抗争について記述する。彼は、新聞社内の社内抗争は毎日新聞だけではなく、大なり小なり他の新聞社でも共通するという。こうした新聞社の内部事情についての記述は、ライブドア問題に関して手のひらを返したような報道がでてくる背景の一端が伺え、興味深く読むことが出来た。
とりわけ、佐々木氏が脳腫瘍で倒れ、その後回復して会社に出てきた時、敵対していた同年輩の同僚に言われたという言葉、「なんだまだ生きていたのか」の部分は、彼が毎日新聞社を辞めネット媒体に自ら飛び込んでいった要因を推察させ、非常に興味が惹かれたものである。毎日新聞を去りフリーランス・ジャーナリストとして生きる自分自身の正しさを再確認しながら書いていると考えると、記事内容に一層説得力も出てくる。
この本が取り上げているIT関連の話題は、多岐にわたり、一見経済週刊誌的な印象を受けるかもしれない。しかし、こうした記述のかいまを読み取ると、佐々木氏は、「ウェブ人間論」で語っている芥川賞作家、平野啓一郎氏と同様の文筆業でありながら、「こちら側」の世界から、「あちら側」の世界へと飛び立とうとしているパイオニアの一人なのかもしれない。【了】
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佐々木俊尚さんとその責任の不在 オー・マイ・ニュース12月29日付記事
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